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連覇達成の桐蔭学園
1月9日(土)、大阪・東大阪市花園ラグビー場で、100回目を迎えた「花園」こと、全国高校ラグビー大会の決勝戦が行われた。史上最多の63校が参加した今大会。ラストの62試合目は、初優勝を目指す京都成章(京都)が、2年連続3回目の優勝を狙う桐蔭学園(神奈川)に挑んだ。
先制点を挙げたのは京都成章だった。2分、共同キャプテンSH(スクラムハーフ)宮尾昌典と、FB(フルバック)辻野隼大(ともに3年)、SO(スタンドオフ)大島泰真(2年)らを中心にテンポよくボールを動かし、相手の反則を誘ってFB辻野がPG(ペナルティゴール)を決めて、3-0とした。
その後、桐蔭学園がSH伊藤光希(3年)からのパスを中心に、ボールを継続してアタックを仕掛けるものの、なかなか京都成章の持ち味である守備の前に得点を挙げることができない。
京都成章のディフェンス
だが前半19分、自陣からラインアウトを起点に攻めて、HO(フッカー)中山大暉(3年)が抜けだし、ゴール前で相手の反則を誘って、スクラムを選択。主将NO8(ナンバーエイト)佐藤健次(3年)が仕掛け、ラックからLO(ロック)青木恵斗(3年)が近場でパワーを見せて中央にトライ。
決勝でも素晴らしいランを見せたFB矢崎
WTB(ウィング)今野椋平(2年)がゴールを決めて、7-3と逆転に成功する。さらに26分に、桐蔭学園は1年生FB矢崎由高のランでゴール前まで運び、反則を誘う。WTB今野がPGを決めて、10-3とリードを広げる。
京都成章も前半ロスタイム、LO本橋拓馬(3年)が力強いゲインを見せ、ラックからSH宮尾が持ち込んで中央にトライ。FB辻野がゴールを決め、10-10の同点に追いつき、ハーフタイムを迎えた。
桐蔭学園FL粟飯原。決勝でも存在感を見せた
後半、一気にギアを上げたのは桐蔭学園だった。SHのパス中心のアタックから、大きく左右に振る攻撃で仕掛ける。後半3分、ディフェンスでプレッシャーをかけてFL(フランカー)粟飯原謙が、相手のパスが乱れたボールを拾って中央にトライを挙げ、ゴールも決まり17-10。
今大会7トライをあげたLO青木
さらに相手キックオフのボールを継続して、LO青木が縦に抜け出しチャンスを形成。11フェイズ目、LO青木のオフロードパスを受けたWTB今野がトライを挙げ、22-10とリードを広げる。
そこから桐蔭学園は、11分にPGを決めた後、18分、相手がミスしたボールを継続。オフロードパスを3本つないで、最後はSH伊藤が左中間にトライを挙げ、ゴールも決まり、32-10として勝負を決めた。
30分、京都成章も意地を見せて、相手陣22mライン付近のラックからSH西村建哉(2年)、FB辻野、SO大島、LO本橋とつないで、本橋が右端に飛び込む意地のトライで追い上げを見せたが、試合はそのまま、32-15でノーサイド。
京都成章LO本橋
桐蔭学園は2大会連続3回目、神奈川県勢としては6度目の優勝を飾った。なお、連覇は第89回~91回に3連覇を達成した東福岡(福岡)以来となる9校目、東日本勢としては第73回、74回で優勝した相模台工業(現・神奈川総合産業)以来となる。
初の決勝進出ながら随所に持ち味を見せた京都成章の湯浅泰正監督は「楽しかったですね。子どもたちがしっかりと成章のアタックとディフェンスをやり切ってくれた。満足しています。感謝したい」。
「今季、(コロナ禍でも)子どもたちがよくやってくれた。新しい歴史を作ってくれました。今大会、6試合花園で戦わせていただいて、勉強になったことがたくさんあった。それを持って帰って次の2年生、1年生とまた構築していけたら」と先を見据えた。
初の決勝進出、準優勝の京都成章
連覇を達成した桐蔭学園の藤原秀之監督は「厳しいゲームになることは戦前から予想していました。少しでも、1センチでも前に出ると言うことをテーマに挙げていたので、彼らができていたのがよかった」。
「今大会は、3年生を全員連れて来ることができませんでした。今日も応援歌の映像をもらって最後ロッカールームで見て、それが力になった。ここ(連覇)まで来ることを私は想定していなかったので、本当に選手たちが努力した、強かったんだと思います」と振り返った。
全国高校ラグビー第100回記念大会
エンディングVTR〜その熱さが心に響く100年先も、熱い冬〜
主将としてチームを優勝に導いたNO8佐藤は「100回大会で、決勝の舞台で試合できるのはすごく嬉しかった。花園期間中に成長し続けることができた。(決勝戦は)FWはしんどかったが、我慢することができて、自分たちのスタイルを貫けたかなと思います」。
「(後輩たちには)3連覇とか、今季の代はしんどいとか言われるかもしれないが、自分たちの強みを考えて、自分たちの色を出して超えてほしい」と笑顔を見せた。
「楽しもう」と笑顔で試合に臨んだ桐蔭学園NO8佐藤主将
桐蔭学園の優勝で幕を閉じた100回目の記念大会。史上最多の63校が参加し62試合が行われたが、コロナ禍の中、無観客で行われた異例の大会となった。それでも多くの困難を乗り越えて、高校生たちが全力で試合に挑んでいる姿を見て、多くのラグビーファン、スポーツファンが心を熱くした大会となったことは間違いない。
高校3年生は花園での経験を胸に刻んで、それぞれ、次のステージで頑張ってほしい。また、1~2年生はまた花園で成長した姿を見せてほしい。そして来季の101回目の大会は、大勢の観客の前で行われることを願いたい。
文/写真:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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