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東海大大阪仰星vs.東福岡の激戦
1月3日(日)、大阪・東花園ラグビー場では「花園」こと、100回目を迎えた全国高校ラグビー大会の準々決勝4試合が行われた。
1試合目はシード校の関西学院(兵庫)を破って勝ち上がってきた流経大柏(千葉)が、シード校の大阪朝鮮高(大阪第2)にチャレンジした。
流経大柏はキックを使い敵陣で戦う意識が高く、大阪朝鮮高はフィジカルと守備で相手の突破を許さない。先制点は前半16分、ハイパントキックから相手のミスを誘い敵陣深く攻め込んだ大阪朝鮮高が、ゴール前でスクラムのチャンスを得ると、主将のNO8(ナンバーエイト)金勇哲(3年)が豪快にトライを挙げて7点を先制する。
トライを上げる大阪朝鮮高NO8金勇哲
後半に入ると流経大柏が反撃。4分、モールから共同キャプテンの1人、HO(フッカー)當眞蓮(3年)が押さえて5-7とする。しかし6分、大阪朝鮮高がキックカウンターからFB(フルバック)金昴平(3年)が、スピードとステップで一気にトライを奪い、14-5と突き放した。
だが、アタックにリズムが出てきた流経大柏は9分、ゴール前のチャンスから1年生のLO(ロック)中川功己が押さえて10-14と4点差に追い上げた。
ここから一進一退の攻防が続き、試合終了間際、相手反則から敵陣奥深くでラインアウトのチャンスを得た流経大柏はモールを押し込もうとするが、大阪朝鮮高がしっかり押さえる。
流経大柏ディアンズ・ワーナーの突進
ラックとなった後、身長201cmのNO8ディアンズ・ワーナー(3年)らを中心に執拗にサイドを突くが、大阪朝鮮高がゴールラインを割らせない。ロスタイムは9分を超える攻防となったが、大阪朝鮮高が守り切り、そのまま14-10でノーサイド。大阪朝鮮高が10年ぶりとなるベスト4進出を決めた。
権晶秀監督は「ディフェンスはだんだん良くなってきている。本大会入って、1戦1戦、1日1日成長しています。技術面でもそうですし、気持ちの面でも強くなっている」と胸を張った。
大阪朝鮮高がゴール前のディフェンスで粘りノーサイド
大会を盛り上げた1人である流経大柏のNO8ワーナーは「(負けて)寂しい。トライは取れなかったが、FWで前に出られた。最後までやり切れた。花園はとても大切な場所でした」と振り返った。
2試合目は連覇がかかるシード校の桐蔭学園(神奈川)と、同じくシード校の御所実業(奈良)の対戦という、昨年度の決勝と同じカードとなった。
継続ラグビーだけでなく、例年よりFWに強みを持つ桐蔭学園は前半8分、LO小椋健介(2年)がラックサイドを突いて先制する。さらに11分、モールを押し込んでFL(フランカー)粟飯原謙(3年)が押さえてトライ。
桐蔭学園1年生のFB矢崎由高のトライ
桐蔭学園は攻撃の手を緩めず、23分にはモールを起点にHO中山大暉(3年)が、25分にはキックカウンターから主将NO8佐藤健次(3年)が抜けだし、フォローした1年生のFB矢崎由高が走りきってトライ。26-0と大きくリードする。
桐蔭学園HO中山大暉が飛び込んでトライ
御所実業も前半終了間際、ボールを大きく動かし、最後はLO平井半次郎(4年)がトライを挙げ、7-26として前半を折り返した。ただ、後半も桐蔭学園のペースは変わらず、HO中山、FB矢崎らが計4トライを重ねて、桐蔭学園が50-7で快勝した。
桐蔭学園の藤原秀之監督は攻撃面に関して「だんだん良くなってきている」と話しつつも、「(花園の)準々決勝や準決勝ではこういう(点差になる)こともある」と接戦を勝ち上がってきたライバル校をおもんばかった。
監督は続ける予定だが、今年度で定年のため教員として最後の花園を迎えた御所実業の竹田寛行監督は「シード校の責任で、強い相手と対戦して最後までやりきった。教師生活最後なので『みんなよく頑張ったね』『これからの人生の方が長いから』と言ってあげたい」と話して、花園を去った。
3試合目はシード校の京都成章(京都)に、10回目の挑戦で初めてベスト8に進出した中部大春日丘(愛知第1)が挑んだが、地力で勝る京都成章が攻撃でペースをつかむ。
前半7分、ラックからSH(スクラムハーフ)宮尾昌典(3年)のパスを受けたFWリーダーのLO本橋拓馬(3年)がトライを挙げて先制。さらに16分、再びSH宮尾のパスからCTB(センター)松澤駿平(3年)が抜けだし14-0とリードする。
トリプルタックルを見せる京都成章
その後は中部大春日丘もFW(フォワード)、BK(バックス)一体となったアタックで攻めに転じるが、「ピラニアタックル」と称される京都成章のディフェンスを破ることができず、14-0と京都成章のリードで前半を折り返した。
後半3分、中部大春日丘がSO(スタンドオフ)堀日向太(3年)のPG(ペナルティゴール)で3-14とした。その後はお互いに攻め込むが、ゴールラインを割ることができずノーサイド。京都成章が6大会ぶり4度目のベスト4進出を決めた。
「姫野2世」と呼ばれた中部大春日丘1年LO物部耀大朗
中部大春日丘の主将NO8福田大晟(3年)は「自分たちがやってきたラグビーで、気持ちでぶつかった。最後まで自分たちの展開ラグビーを貫けたので後悔はないです。後輩たちにはベスト8の壁を破ってベスト4に行ってほしい」と気丈に話した。
4試合目は近畿大会王者の東海大大阪仰星(大阪第1)と九州大会王者の東福岡(福岡第1)と、それぞれ優勝5回と6回を誇るシード校の優勝候補同士が激突した。花園の対戦成績でも、東海大大阪仰星の5勝4敗と拮抗している。
先手を取ったのは地元の東海大大阪仰星だった。自陣でボールを継続し、最後はNO8倉橋歓太(3年)が抜け出してトライを挙げ7-0。その後、東福岡もディフェンスで粘りを見せて失点を許さず、後半29分には相手陣奥まで攻め込み、FWで粘った後、最後はCTB平翔太(2年)が抜け出して7-7の同点で折り返した。
トライを取り切った東福岡CTB平翔太
後半、先手を取ったのは東福岡だった。スクラムから右に展開し、内に切れ込んできたWTB(ウィング)川端航聖(3年)が中央にトライ。さらに7分、相手のキックオフからカウンターを仕掛けて左サイドライン際を「ボールを持ったら速い」というPR(プロップ)本田啓(3年)が抜けだし、最後はフォローしたFB坂本公平(3年)が飛び込んで21-7とリードした。
トライをあげた東海大大阪仰星WTB大畑亮太
しかし、「14点差だったので3本取ろうと思っていた」(主将SO近藤翔耶)という東海大大阪仰星が反撃する。自陣で相手ボールをターンオーバーし、すぐに左サイドに展開し、WTB大畑亮太(3年)が走りきってトライ。さらに21分、ゴール前でFWにこだわり、PR前川直哉(3年)が中央に押さえて、21-21の同点に追いつく。
ロスタイムは15分を超え、18分に達した
23分、東福岡は相手の反則により、左中間からPGのチャンスを得るが、負傷交替していたキッカーのFB坂本に替わって蹴ったCTB平が外してしまい、21-21のままロスタイムに突入する。
東福岡に再び、PGのチャンスもあったが、ファーストキッカーが負傷していたためスクラムを選択。近場を攻めるものの、東海大大阪仰星のFW陣も踏ん張ってトライを許さない。
その後、東福岡がインゴールにキックを蹴って、トライと思われたが、その前に東海大大阪仰星の選手を倒していたという判定でノートライ。結局、ロスタイムは45分を超え、最後は東海大大阪仰星もチャンスも来たが、48分を過ぎたところでノックオン。そのまま21-21でノーサイドを迎えた
勝負は引き分けだったが、抽選の結果、東福岡のLO永住健琉(3年)が「次回出場権あり」を引いて、東福岡が準決勝に進出を決めた。
東海大大阪仰星の近藤翔耶主将
東海大大阪仰星のSO近藤主将は、試合終了したのが48分05秒だったことについて聞かれると「東福岡というスペシャルな、特別な相手なので、もっとやりたいと思いました。今までで一番長い後半だった」。
「敵と味方ではなく、30人で試合しているというか、トライ取られるとか勝敗もありますが、一体感というか、プレー中にノーサイドが先に来ていた気がします」と振り返った。
東福岡の藤田雄一郎監督は「仰星さんのFWとうちのFWが本当に気持ちいいくらいやり合って、48分。48分なんて見たことないです。100回大会で、仰星と熱いゲームができ、(準決勝で)抽選で行かせてもらうのは、清々しいというか、準々決勝で仰星と当たれて良かったな、高校ラグビーっていいなと思います」と振り返った。
そして、東海大大阪仰星の近藤主将のコメントを伝えると、藤田監督も「僕もそうだと思います。(お互いが)ノーサイドをしたくないというか、仰星と東福岡の友好関係というか、両校(の選手ともに)終わりたくないやろうなと」。
第100回 全国高校ラグビー大会 準々決勝
【ハイライト】東海大大阪仰星(大阪第一)vs. 東福岡(福岡第一)
「両監督、湯浅大智監督もあの時のゲームと、監督をする限りは語り継がれると思います。仰星というチームとやれて本当に良かった。東福岡らしくないと言われるかもしれませんが、仰星と湯浅監督の思いも背負って次の京都成章に挑んでいきたい」と話した。
史上最多の63校が出場した100回大会の花園は、いよいよ4校に絞られた。そして1月5日(火)に準決勝、1月9日(土)に決勝が行われる。
◆1月3日(日)準々決勝結果
●流経大柏(千葉)10-14 大阪朝鮮高☆(大阪第2)○
○桐蔭学園☆(神奈川)50-7 御所実業☆(奈良)●
○京都成章☆(京都)14-3 中部大春日丘(愛知第1)●
○東福岡☆(福岡第1)21-21 東海大大阪仰星☆(大阪第1)●
※抽選により東福岡が準決勝に進出
☆:シード校
◆1月5日(火)準決勝
・12:45 京都成章 vs. 東福岡
・14:30 大阪朝鮮高 vs. 桐蔭学園
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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