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ラグビー コラム 2020年12月25日

優勝候補の東海大大阪仰星、「真の紺色」を目指す戦い。ラグビー全国高校大会

ラグビーレポート by 斉藤 健仁
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6度目の優勝を目指す東海大大阪仰星

12月27日(日)、大阪・東大阪市花園ラグビー場で開幕する100回目の「花園」こと、全国高校ラグビー大会。今大会は記念大会のため通常より12校多い63校が出場する。

コロナ禍で選抜大会や6月のブロック大会などが行われなかったため、過去9年間の大会で、ベスト8進出した都道府県を集計し、その上位の8都府県の代表8校がシード校に選ばれた。そしてシード校8校のうち抽選の結果、唯一、1回戦が免除されたのが、紺のジャージーでお馴染みの地元大阪の東海大大阪仰星(大阪第1)だ。

仰星は過去5度、花園を制覇しており、過去10年を見ても優勝3回と準優勝2回の強豪で、今大会も優勝候補の一角を占める。前回大会こそベスト8止まりだったが、新チームとなり、2月の近畿大会では京都成章(京都)に勝利して優勝した。そして府予選も一昨年度の花園王者・大阪桐蔭に0-8から19-8と逆転勝利を収めて、20回目の出場を決めた。

練習は中等部のメンバーも一緒に行われる

2017年10月にグラウンドが人工芝となった東海大大阪仰星と言えば、中等部ラグビー部65人と高等部の部員98人、合計150人ほどが一緒に練習をすることで知られている。なお中等部は昨年度まで全国中学ラグビー大会で3連覇しており、今の高校3年生の半数ほどは、3年前に中等部で初優勝した代の選手である。

監督となって9年目を迎え、OBでもあり選手、コーチで5度の優勝すべてに絡んでいる湯浅大智監督は2年前から「(リーダシップを)1人に抱え込ませないように」と、チャンピオンになるためのチームリーダー、ラグビーを追求するゲームリーダー、クラブの文化や伝統を継承していくクラブリーダーの3人を置いている。

そのメリットを湯浅監督は「1人の責任が小さくなるわけでもなく、責任ある人が増えて、チームのいい部分が倍増していく」と感じている。今年度はインサイドCTB(センター)近藤翔耶がチームリーダー、アウトサイドCTB河村凌馬がゲームリーダー、PR(プロップ)前川直哉(いずれも3年)がクラブリーダーを務めている。

仰星のリーダー陣。左からPR前川、CTB近藤、CTB河村

花園予選まで練習試合は5試合のみだったこともあり、ゲームリーダーCTB河村は、入りが悪かった大阪予選決勝を振り返りつつ、「相手のディフェンスによって、どういったアタックをするのかという対応力、修正力が課題です」と話した。花園までは「自分たちの形に持っていければトライを取れると思うので、最後はディフェンスの部分で粘ることができるか」と冷静に話した。

また、中等部から6年間、仰星を見続けているクラブリーダーのPR前川は「優勝した代は2年生の押し上げがあった。まだ、1~2年生の押し上げが足りないし、3年生が見せつけるのも足らない。自分の中ではFW(フォワード)の間のコミュニケーション、そして熱さが足りてないと思うので、それらを意識して取り組みたい」と話した。

練習でも熱い湯浅監督

そして、湯浅監督は「いろんなオプションはある程度、目に見えてきた。花園までは、とにかく基礎の徹底ですね。それが今の1~2年にもつながっていく」と語気を強めた。

1月、新チームになった後、チームの目標は日本一と定めた。そして今年度のクラブの目標は、選手たちがクラブミーティングで話し合った結果、「真の紺色とは何かを求める」となった。

仰星のファーストジャージーは紺色のため、湯浅監督が就任した当初から「紺の誇り」や「PRIDE」(PASSION、RESPECT、INTELLIGENCE、DEDICATION、ENDLESS-CHALLENGE=誰よりも熱い情熱を持って、敬う心を持ち続けながら、溢れる知性と思考力で、献身の理解と実践をして、諦めない心で挑戦することで、仰星のプライドを見せる)という言葉は使ってきたという。

選手たち自ら仰星の原点は、根幹は何かを考えることを、1年間のテーマに設定したというわけだ。

チームリーダーのCTB近藤は「(真の紺色とは)まだ確信を得ていませんが、花園を通して突き詰めていきたい。ただ、仰星の根幹は全員が身体を張る、仲間のために頑張れる集団だと思っています。(花園では)そういった愚直な部分やディフェンスからゲームを作っていきたい」と意気込んだ。

仰星が誇るWTB陣。(左から)市川、岡村、大畑

そんな仰星において、湯浅監督が「3人それぞれ特徴が違うので面白い」と名指しするのがWTB(ウィング)の3年生の3人である。それはフィジカル、ステップに長けている岡村優太、コミュニケーションとキックが長所の市川賢也、スピードが武器のフィニッシャー大畑亮太(いずれも3年)だ。

将来はトップリーガーを目指しているというCTB/WTB岡村は「コンタクトには自身があるので、そこでは負けない」と言えば、一般受験で大学を目指し、勉強しながら花園に臨むWTB市川は「周りに指示してゲームコントロールするのが役割。お互いに高め合っていきたい」と話し、予選決勝でトライも挙げたWTB/FB大畑は「小さな隙間を突いてゲインしたり、トライを取り切ったりするのが得意です」と胸を張った。

他にもバックスリーはWTB中俊一朗、OBのCTB野中亮志(清水建設)の弟・FB健吾(ともに2年)もメンバー争いに加わってくるが、湯浅監督は3年生WTBの3人を対戦相手や、点差などで前半と後半で使い分けをしていくようだ。いずれにせよ3人のWTBが、試合や状況によってどんなプレーをするか注目してほしい。

昨年度は準々決勝で御所実業に敗れた

昨年度の大会は御所実業に準々決勝で0-14と敗れて、「自分の責任です」と湯浅監督は振り返った。湯浅監督は、今年度のチームには「考え抜いて、しんどい選択をしないと勝てない」と「タフチョイス、オールウェイズシンキング」の2つを、監督自身がラグビー面においてチームに提示したテーマだという。

東海大大阪仰星は激しいディフェンス、FWとBK(バックス)一体となったアタック、「考えるラグビー」に裏付けされた個々の判断力にも長けたチームで、そのポテンシャルは優勝候補にふさわしい。チームリーダーのCTB近藤を中心に「真の紺色とは?」を求めつつ、3年ぶりの花園制覇にチャレンジする。

文/写真:斉藤健仁

斉藤健仁

斉藤 健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント

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