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短期決戦の関西リーグを3位で終えた京都産業大学は、12月13日(日)全国大学選手権の3回戦に登場する。
新型コロナウイルスの感染拡大により、異例続きだった2020年。世界中が厳しい日々を過ごす中、3月に学生から感染者が出た京産大も苦しんだ。インターネット上でのバッシングが続き、京産大に通っているだけでバイト先をクビになった、入店を断られたなど辛い思いをした人は多いと聞く。
ラグビー部も例外ではない。4ヶ月以上活動出来ず、段階的な練習再開後も公式戦が行われるか未定だった。そんな中、例年の半分程の試合数という短期決戦で開催された関西リーグ。
逆転トライに喜ぶ選手たち
伊藤監督が「ザ・開幕戦でした」と振り返った緊張感のある初戦は、立命館大学相手にラストプレーで逆転勝ち。最後のトライをとったのは、1年生の三木皓正(京都成章)だった。
「レベルアップ」をテーマに挑んだ2戦目の関西大学戦は、前半自分たちの強みを生かせず同点で折り返すも、後半に突き放して勝利。全国大学選手権を大きく引き寄せた。しかし、油断することなく気を引き締め臨んだはずの3戦目では、ライバルの気迫に圧倒されてしまう。
同志社大学に19-49の惨敗。京産大がこだわってきたセットプレーから流れをつかめない。前節からの課題だったブレイクダウンでの反則も目立った。伝統の一戦に敗北した京産大は、次の順位決定戦に負ければ全国大学選手権に出られないという崖っぷちに追い込まれた。
もう一度、自分たちのラグビーを取り戻すために、翌週はミーティングから始まったそうだ。「どんな時も学生らしくひたむきにプレーする」というチーム理念を再確認した後の練習は、非常に激しいものだった。
伊藤監督が「たくさん、ケガ人が出ました」と語ったその練習により、チームはもう一度まとまった。その練習の影響か、PR(プロップ)の平野叶翔(西陵)、SO(スタンドオフ)の西仲隼(近大付属)、FB(フルバック)の船曳涼太(神戸科学技術)らを欠く中行われた関西学院大学戦は、SO家村健太(流経大柏)が躍動。
ラグビー 関西大学リーグ2020
【ハイライト】関西学院大学 vs. 京都産業大学
昨年1年生ながら多くの試合で司令塔を務めた家村だが、今季はインサイドCTB(センター)として試合に出ていたため、久々にSOに入った。関学大は呉嶺太のキックを中心にエリアを獲得する戦法で、前節王者・天理大学と接戦をしていたが、家村が呉に蹴り負けず、強みを発揮させなかった。試合も28-21で京産大が勝利。全国への最後の枠に滑り込んだ。
全国大学選手権の初戦(3回戦)で当たるのは、関東大学対抗戦3位の慶應義塾大学だ。対抗戦の優勝は9回、全国大学選手権を3回制している、日本一歴史の古いラグビー部であり、泥臭い練習を重ねて、毎年早稲田大学や明治大学といった優勝候補と競り合ってきた。
今年は筑波大学と早稲田大学には敗れたものの、対抗戦優勝の明治大学に勝利。最終戦では帝京大学に逆転勝ちし、3位となった。昨年は全国大学選手権に出場できないという悔しさを味わっており、今年は雪辱に燃えているだろう。
この2チームは一昨年同じく大学選手権3回戦で激突しており、その時は43-25で慶應大が勝利している。京産大は強みのスクラムやモールなどのFW(フォワード)戦で優位に立てず、逆に慶應大にモールでトライを決められてしまっていた。
今シーズンの慶應大もFW戦で得点できるチームだ。前述の帝京大戦では、ラインアウトモール、さらにモールが崩れても執拗に近場のFWで攻め続けるアタックが印象的だった。
ラインアウトからモールを組む京産大
今回の対戦もFWのぶつかり合いが予想される。昨季に比べてセットプレーで強さを発揮できていない京産大は、一昨年の二の舞にならないためにそれらの精度を上げることを求められるだろう。
同じ関西で長らくライバルとして戦い、今年もともに全国大学選手権に出る予定だった同志社大ラグビー部が、部内での感染拡大により出場辞退。京産大はライバルの思いを背負っての戦いとなる。
キャプテンの田中利輝(東海大仰星)はリーグ戦後、「花園で暴れたいと思います」と力強く語った。春先のクラスター発生から1年間明るい話題のなかった京産大。苦しんだ学生たちのためにも、12月13日、勇気が出るような「ひたむきなラグビー」を期待したい。
文:岩田悠吾/写真:出口敬介(京産大アスレチック)
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