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南半球3か国対抗戦「トライネーションズ2020」が最終ラウンド(第6戦)を迎えた。
ともに1勝1敗1分け(総勝点6)のオーストラリア代表とアルゼンチン代表は、12月5日(土)、オーストラリアのシドニー(バンクウエスト・スタジアム)で激突。
首位は2勝2敗(総勝点11)のニュージーランド代表。逆転優勝のためにはアルゼンチンが93点差、オーストラリアは101点差の勝利が必要であり、首位奪還は非現実的。
しかし2週間前の対戦(第4節)では15-15のドロー決着だった両者。今度こそ決着をつけ、年内の代表最終戦を勝利で飾りたいところだった。
アウェーとなるアルゼンチンは、先月亡くなったアルゼンチンの英雄、元サッカー同国代表のディエゴ・マラドーナ氏の背番号「10」が左腕に入った特製ジャージで登場。
また、試合前の国歌斉唱でサプライズ的な試みが。
先住民のデザインを採用したセカンド・ジャージーを着たオーストラリアが、まず先住民エオラ族の言語で国歌を歌い、続いて英語で歌い上げたのだ。オーストラリアの選手はこの日のためにエオラ語の歌詞を覚えたという。
オーストラリア vs. アルゼンチン トライネーションズ(ザ・ラグビーチャンピオンシップ)2020 最終戦
雨中戦となった最終戦は、序盤から「攻めるオーストラリア」「守るアルゼンチン」の展開となった。
ただアルゼンチンは、ここまで大会タックル数1位(約151回)、タックル成功率1位(89%)の守備力をこの日も見せつけた。
4戦先発のHOフリアン・モントージャ、LOマルコス・クレメルといった強力FWが4週連続の試合とは思えぬ粘り強いディフェンス。
一人ひとりが激しくしつこく絡みつき、押し戻し、オーストラリアの展開力を封じていく。ゲームキャプテンを務めたCTBヘロニモ・デラフエンテが相手プロップ(アラン・アラアラトア)を一人で押し戻すなど、バックスも高い守備力で貢献した。
ただアルゼンチンは前半16分、LOクレメルがノーバインドの危険なクリーンアウトでシンビン(10分間の一時退場)。14人になってしまう。
トライネーションズ(ザ・ラグビーチャンピオンシップ)
【ハイライト】オーストラリア vs. アルゼンチン
オーストラリアがこの反則によるPG(ペナルティゴール)を決めて3点を先取。しかしアルゼンチンも前半18分にPKを奪うと、ここまでチームの全得点を決めているSOニコラス・サンチェスがPG成功。すぐに3-3とした。
すると前半27分、今度はオーストラリアのFLマイケル・フーパー主将が、ラックのクリーンアウトが危険だったとしてシンビンに。
ここから勝負の振り子はアルゼンチンに振れた。
アルゼンチンがPGを追加して6-3としていた前半34分、自陣22m付近からラインアウトモールで大きく前進。ここでSHフェリペ・エスクラが狭いサイドを突破し、快足のWTBバウティスタ・デルギイにつなぎ、右中間に大会初戦以来のトライ。ゴール成功で13-3とした。
その後にオーストラリアも前半43分にPGを返して、前半はアルゼンチンの7点リード(13-6)で折り返した。
後半は雨脚が強くなり、7点ビハインドのオーストラリアは苦しい状況に。ただゴールドジャージーの軍団はスクラムに光明を見出した。
後半11分、オーストラリアは堅固にまとまりスクラムでペナルティを奪取。ここでPGを狙って4点差(9-13)に詰め寄ると、2分後にも途中出場のPRタニエラ・トゥポウの馬力もあって相手スクラムをターンオーバーした。
しかし、すぐに勢いは削がれた。
後半20分、途中出場していたオーストラリアのルカーン・サラカイアロトが、守備時に相手頭部へバインドをしないコンタクト。一発退場(レッドカード)となり、残り20分間を14人で戦うことになってしまったのだ。
このペナルティによるPGをアルゼンチンがHポールに通し、“ロス・プーマス”のリードはふたたび7点(16-9)に。
しかし14人のオーストラリアはこの後、アルゼンチンの牙城を崩してトライを奪うのだった。
きっかけはSHニック・ホワイトのジャッカル。ここから敵陣22m内に侵入するとラインアウトモールで攻勢をかける。ここで反則によりトライを防いだとして、アルゼンチンのルーカス・パウロスがシンビンに。
両軍通じて4枚目のカードが相手に掲げられ、オーストラリアにさらなる追い風が吹いた。
すると後半27分、モールの攻防を制し、グラウンディングに成功したFLフーパー主将が珍しく雄叫び。その後のFBリース・ホッジのコンバージョンも成功し、ついにスコアは振り出し(16-16)となった。
さらにオーストラリアに勝ち越しのチャンスが到来する。
後半39分、アルゼンチンがモールで反則を犯し、ここでオーストラリアのFBホッジがショット選択。しかし40m超のキックはHポールの右に反れ、FBホッジは頭を抱えた。
その後攻防で両者に得点はなく、フルタイムの笛。計4枚のカードが乱れ飛んだ雨中戦は2度目のドロー(16-16)で終幕。前回対戦に続いて勝敗はつかず、ニュージーランドの優勝が決定した。
アルゼンチンのマリオ・レデスマHC(ヘッドコーチ)は試合後、現地メディアに対して「私たちは4週続けて試合があり、他のチームが休んでいる間も休息がありませんでした」とした上で、それでも1勝1敗2分け(2位)で大会を終えた選手の努力を「素晴らしい」と誇った。
オーストラリアも1勝1敗2分けだったが、順位は3位でフィニッシュ。
デイヴ・レニーHCは自軍にレッドカードもあった最終戦を振り返り「今夜の規律面は残念」と語った。
ただ2020年はコロナ禍もありながら、21歳のNO8ハリー・ウィルソンなど新戦力が台頭。オーストラリア代表“ワラビーズ”の今後は楽しみだ。
「私たちにはハードワークできるチームマンの好漢が揃っています。ただそれがパフォーマンスに反映されているかは検討する必要があるでしょう」(オーストラリア・レニーHC)
レニーHCが「成長中」と語るワラビーズのこれからに期待は高まる。2023年のフランスW杯は一体どんな陣容で迎えるのだろう。
もちろんアルゼンチン代表のこれからも見逃せない。
今大会ではオールブラックスから歴史的な初勝利を奪い、オーストラリアとは2度引き分けた。格が一段上がったと感じたファンも多いのではないだろうか。FLパブロ・マテーラ主将率いるアルゼンチン代表の2023年W杯が、今から楽しみでならない。
文:多羅正崇
多羅 正崇
1980年2月1日生まれ、神奈川県出身。法政大学第二高校、法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻修了。スポーツジャーナリストとして『ラグビーマガジン』『Number』『J SPORTS』などに寄稿する傍ら、ユーモアコラムの執筆も行なっている。スポーツにおけるハラスメント防止を目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」理事。共著に『子どもがラグビーを始めたら読む本』(ベースボール・マガジン社)がある
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