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ニュージーランド代表“オールブラックス”が鮮やかなカムバックを見せた。
南半球3か国対抗戦「トライネーションズ2020」の第5戦が11月28日(土)、オーストラリアのニューカッスルで行われ、1勝2敗のオールブラックスが、1勝1分けのアルゼンチン代表“ロス・プーマス”と激突した。
開幕戦こそ白星スタートだったオールブラックスだが、オーストラリア戦(22●24)、アルゼンチン戦(15●25)に連敗。3連敗となれば1998年以来22年ぶりの屈辱とあって絶対に負けられない状況だった。
試合前にはサプライズがあり、オールブラックス伝統の儀式「ハカ」の直前、FLサム・ケイン主将がハーフウェイラインへ歩み寄ってピッチに背番号「10」の黒衣ジャージーを置いた。ジャージーには試合3日前の11月25日に60歳で死去した元サッカー・アルゼンチン代表、ディエゴ・マラドーナ氏の名前が。
ピッチに背番号「10」の黒衣ジャージーを置くサム・ケイン主将
海外報道によれば、このアイデアは2021年シーズンのトップリーグでNTTドコモに参加するスクラムハーフ、TJ・ペレナラによるものだったという。
「ラグビーは何よりもまず、敬意によって成り立っていると信じています」とNZ代表のFLケイン主将。「(ジャージー贈呈は)敬意に溢れた正しい行為だったと思っています」
敬意を込めた追悼のハカは「カパ・オ・パンゴ」だった。このハカを気迫満点の表情で見つめていたアルゼンチンのFLパブロ・マテーラ主将は、試合前のコイントスのさいにFLケイン主将からジャージーの件を伝えられたという。
「サム・ケインとコイントスをするまで知りませんでした。ディエゴ・マラドーナはアルゼンチンにとって偉大な存在。感謝しています」(アルゼンチン・FLマテーラ主将)
オールブラックスがトライネーションズ試合前にマラドーナさん追悼ハカ「カパオパンゴ」
最高の雰囲気のなかでキックオフを迎えた第5戦。アルゼンチンは特に前半で、ここまでタックル成功率90%の防御力を存分に見せつけていた。
オールブラックスは序盤に連続攻撃を仕掛けるが、アルゼンチンの攻撃スピードを落とすチョークタックル、一撃で仕留める膝元へのタックルなど鉄壁防御に苦しみ、インゴールに近づけない。
しかし負けられない黒衣軍は前半12分、突破役を任されていたWTBケイリブ・クラークが期待通りのゲインで敵陣の懐へ。11フェーズ目で大外に待機していたHOダン・コールズにロングパスが通り、そのまま右隅にトライ。ゴール成功でニュージーランドが7点を先取した。
さらに前半17分にPG(ペナルティゴール)を決めて10-0としたオールブラックス。スクラムでは強烈プッシュで2連続のペナルティを奪うなど、セットピース(スクラム、ラインアウト)の安定性で優位に立った。
一方、ディフェンスには優れるがアタックに綻びが見られるアルゼンチンは、ハンドリングエラーを重ねるなどして攻撃回数が伸びない。得点を奪えず、前半を10-0で折り返した。
後半もアルゼンチンはHOフリアン・モントージャ、FLマルコス・クレメルらが驚異的なディフェンス力で失点を防ぐ。
しかし後半12分、オールブラックスはこの日成功率100%だったラインアウト(16回中16回成功)からのサインプレーで、NO8アーディ・サヴェアが豪快にトライ。17-0とリードを拡大する。
そしてこの日は、後半25分に途中出場した22歳のウィル・ジョーダンがシンデレラ・ボーイになった。
アタックの連携ミスが続くアルゼンチンにつけ込み、登場4分後の後半29分、相手のパスミスを捕球して独走。ゴール下に相手を突き放す殊勲のトライ。
さらに2分後、またも相手のパスをカットしたジョーダンはそのまま右隅まで独走し、ゴールも決まってスコアは31-0に。
オールブラックスは容赦なく攻め続け、ボールを出せばフルタイムの場面でも自陣からアタック。そして後半44分41秒、途中出場のパトリック・トゥイプロトゥがインゴールに駆け込み、38-0という完封勝利で、2020年最後のテストマッチを締めくくってみせた。
【ハイライト】アルゼンチン vs. ニュージーランド|トライネーションズ(ザ・ラグビーチャンピオンシップ)2020
NZはセットピースが安定。スクラムも成功率は100%(10回中10回成功)だった。一方のアルゼンチンはラインアウトが成功率80%(15回中12回成功)、スクラムは60%(5回中3回成功)に沈んだ。
アルゼンチンのタックル数はオールブラックスの53回に対して、3倍以上の176回。情熱的な守備が随所に見られたが、アタックの面ではエラー、連係ミスが続いて無得点に終わった。
今大会で初黒星を喫し、1勝1分け1敗となったアルゼンチン。FLマテーラ主将は現地メディアに対して「ハンドリングエラーが多すぎ、ディフェンスのミスもありました」と敗因を振り返った。
一方、大会2勝目を挙げたオールブラックスのFLケイン主将は「非常に満足しています。この2週間のチームの努力を本当に誇りに思っています」と語った。
トライネーションズ2020はいよいよ最終戦(第6戦)。12月5日のシドニーで、アルゼンチンとオーストラリアが激突する。
文:多羅正崇
多羅 正崇
1980年2月1日生まれ、神奈川県出身。法政大学第二高校、法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻修了。スポーツジャーナリストとして『ラグビーマガジン』『Number』『J SPORTS』などに寄稿する傍ら、ユーモアコラムの執筆も行なっている。スポーツにおけるハラスメント防止を目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」理事。共著に『子どもがラグビーを始めたら読む本』(ベースボール・マガジン社)がある
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