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11月14日(土)、埼玉・熊谷ラグビー場では100回目を迎える「花園」こと、全国高校ラグビー大会の埼玉県予選決勝2試合が行われた。今年度は埼玉県からは過去9年の出場校の累計校数が多かったため、記念大会で出場枠が1つ増え、2枠が与えられた。
2度目の花園に挑む昌平
初出場の川越東
1試合目は埼玉第2地区決勝が行われ、昌平が正智深谷を17-0で倒し、3大会ぶり2度目の花園の出場権を得た。2試合目は第1地区決勝が行われて、川越東が深谷を17-14で下し、悲願の花園初出場を決めた。
1試合目は2月の新人戦2位の昌平と、同じく3位の正智深谷が対戦した。風上だった正智深谷は敵陣に攻め込むものの、昌平はゴール前のディフェンスで粘り、得点を許さなかった。
昌平のエース・万能BKの北川
先に得点を挙げたのは攻守に渡り、接点で優勢だった昌平だった。前半20分、前の試合で負傷していた万能BK(バックス)の北川拓来(2年)を投入し、ペースをつかむ。24分、ラインアウトを起点に攻め込み、最後は右PR(プロップ)菅野侑多朗(3年)が、右中間に押し込み、5-0として、そのまま前半を折り返した。
後半6分、風上に立った昌平がモールを押し込みFL(フランカー)山口大悟(3年)が押さえて10-0とリードを広げる。その後は、昌平が相手陣でアタックする時間が増えるが、ラインアウトの乱れもあり、なかなか追加点を奪えない。
後半2トライを上げた山口
25分、昌平がやっとゴール前のチャンスを生かす。「あそこは行けると思って飛び込みました!」というFL山口がラックの上を飛び越えてグラウンディング。ゴールも決まり、17-0として、そのままノーサイド。昌平が3年ぶり2度目の全国大会への切符を手にした。
喜ぶ昌平のフィフティーン
昌平の御代田誠監督は「ホッとしています。2年前に逆転負けしたのも選手たちは見ていますし、今日はなんとしてでも、自分たちの力で花園に行くという気持ちが現れた」と選手たちを称えた。ただ、監督は花園に向けて、「まずは課題のラインアウトをきっちり修正したい」と反省点も口にすることを忘れなかった。
キャプテンCTB(センター)黒埼慎之助(3年)は「自分は2年間スタンドでずっと見ていたので、花園を決められて本当に良かった。(ただ)取り切ることができなかったので修正したい!」と語気を強めた。
2試合目は2月の新人戦王者の川越東に、同大会5位ながら第1地区決勝まで駒を進めた深谷がチャレンジした。
試合序盤、風上に立った川越東のペースとなる。相手の反則からFB(フルバック)加藤健人(3年)が仕掛けて、最後はFL鵜沢奏生(3年)が左中間にトライ、FB加藤がゴールを決めて7-0とリードする。その後はBKの展開力に自信のある川越東だったが、前に出る深谷のディフェンスになかなか追加点を挙げることができない。
前半の後半になると深谷はSO(スタンドオフ)井上雄汰(3年)、FL中澤海磨(3年)の突破など前進し、最後は右PR竹内賢人(3年)が左中間に押し込みトライ。SO井上がゴールを決めて、7-7としてハーフタイムを迎えた。
後半、風下となった川越東だが「積極的に展開していこう」とボールを左右に大きく動かし、チャンスをつかむ。後半5分、モールを押し込み、最後はBKながらモールに参加していたCTB(センター)柴田恵汰(3年)が左中間に押さえて、12-7とリードする。
決勝トライを挙げた川越東NO8渡邉
さらに20分、モールを押し込んでアドバンテージを得た川越東は大きく左に展開し、最後は、もともとはWTB(ウィング)だが、ケガ人の関係でNO8(ナンバーエイト)に入っていた渡邉匠(3年)がステップを切ってトライ。17-7と10点差に広げた。
ただ、深谷も意地を見せる。24分、タップキックからPR竹内がそのままトライを挙げて、ゴールも決まり、14-17と3点差に追い上げる。さらに深谷は自陣からモールを中心に攻め込み、ロスタイムにゴール前でBKも加わってモールを組んでインゴールになだれ込んだが、グラウンディングできす、そのままノーサイド。
川越東、初の花園へ
昨年の決勝は新人戦で優勝しながら、浦和に負けて悔し涙を呑んだ川越東が、初の花園出場を決めた。
花園初出場の川越東
最後の場面を振り返ってNO8渡邉は「モールが倒れた瞬間、パイルアップを狙うしかないと意志の統一ができていた」と胸を張った。
望月雅之監督は「(決勝で負けた)昨年の悔しさ味わった生徒たちが何人もいるので、この悔しさは決勝で晴らすしかないぞと話して送り出して、しっかり勝ってくれて嬉しい。(最後の場面で)深谷さんが強力でモール作ってきて、私は一瞬諦めたのですが、生徒の方が本当しっかりと戦ってくれた」と目を赤くした。
川越東のキャプテン江田
キャプテンWTB江田優太(3年)は「15人が一体となって1人1人が諦めずに最後までタックル入ったのが結果につながった。花園では年越ししたい。江田優太と川越東の名を全国にとどろかせるようなプレーをしたい!」と意気込んだ。
文/写真:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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