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いよいよ全勝同士が激突する。
10月4日(日)に開幕したラグビー関東大学リーグは、昨年度の「3強」の東海大学、日本大学、流通経済大学が開幕から4連勝を達成。1週の休みを経て、11日14日(土)、埼玉・セナリオハウスフィールド三郷で16:00から、ともに連勝中の流通経済大学と日本大学が対戦する。
なお、この試合は、新型コロナウィルス感染拡大防止のため、無観客で行われる。まず両校の今季の成績を見てみよう。昨年度3位だった流通経済大は下記の通りだ。開幕の法政大学戦にやや苦戦したが、FW(フォワード)、BK(バックス)一体となって攻撃する、持ち前の「ダイナミックラグビー」で残り3戦は相手を圧倒した。
◆流通経済大学
・10月 4日 ○28-10 法政大学
・10月11日 ○52-17 専修大学
・10月18日 ○95-31 関東学院大学
・11月 3日 ○64-7 中央大学
続いて昨年2位の日本大学を見てみよう。開幕戦は辛くも中央大学に逆転勝利を収めたが、その後の3戦は武器としているFWのスクラム、モールを軸に戦い、個々にも突破力の高い選手も多く危なげなく快勝した。
◆日本大学
・10月 4日 ○33-28 中央大学
・10月10日 ○50- 5 関東学院大学
・10月17日 ○29-10 専修大学
・10月31日 ○35-22 法政大学
昨年の対戦は日本大学が34-28で勝利し、この試合で勝利した日本大学が2位、流通経済大が3位となった。まずは昨年のリベンジに燃える流通経済大学のメンバーから見ていこう。
FWは運動量豊富なキャプテンオープンサイドFL(フランカー)坂本侑翼を筆頭に、PR(プロップ)小川寛大、津嘉山廉人、トライの嗅覚のあるHO(フッカー)松田一真といった4年生が引っ張る。
バックファイブは前節から2人交替した。LO(ロック)はタマ・カペネ(3年)が4番をつけ、シンクル寛造(2年)の替わりに身長190cmのアピサロメ・ボギドラウ(2年)が先発する。ブラインドサイドFLはルーキーの篠澤輝(尾道出身)、そしてNO8(ナンバーエイド)は、南太陽(2年)がベンチから昇格した。
BKは前節からひとりの交替にとどめた。ハーフ団はSH(スクラムハーフ)野村悠、SO(スタンドオフ)荒木龍介(いずれも3年)が務め、CTB(センター)もゲームコントロールに長けた土居大吾(2年)、突破力のあるCTBヴィリアメ・タカヤワ(4年)のコンビが引き続いて先発する。
WTB(ウィング)は園田亜弥斗(3年)が11から14番に移動し、11番にはWTB堀井雄登(2年)が前節のメンバー外から先発に名を連ね、スピードが武器のWTB中西海斗(3年)はメンバーから外れた。FBにはランとプレースキック長けており、好調を維持する河野竣太(3年)が入った。
また、控えには前節、途中出場ながらハットトリックを達成したCTBイノケ・ブルアがおり、この試合も途中出場から決定的な仕事に絡むことができるか。
流通経済大学はモールからのトライも得意としているが、やはり一番の武器はボールを大きく動かすアタックである。先制して、リードした状態で、自分たちのリズムで得点を重ねていきたいところだ。
背中に「RIP HIROKI YUHARA」の文字
リーグ戦の開幕直前の9月末、OBで主将も務めた元日本代表HO湯原祐希さん(東芝コーチ)が36歳の若さで、突然亡くなってしまった。流通経済大学の選手たちは、今シーズン、ジャージーの背中に「RIP(安らかに) HIROKI YUHARA」という文字を刻んで戦っている。
坂本主将は「偉大な先輩が亡くなって、悲しい気持ちになりました。流通経済大学を作ってくれたひとりです。リーグ戦で優勝して湯原さんに届けたい」と例年以上に、タイトルへの思いは強い。
次に、昨年に続いて勝利し全勝をキープしたい日本大学のメンバーを見ていこう。前節からFW1人、BK1人の交替にとどめた。
FW第1列はセットプレーを引っ張るキャプテンHO藤村琉士(4年)を中心に、PR岩上龍(2年)と、前節ベンチメンバーだった突破力が武器のPRシオネ・ハラシリ(3年)が先発する。
LOは趙誠悠とテビタ・オトの3年生コンビ、FLはルーキーながら存在感を示している佐川奨茉(佐野日大)、飯田光紀(3年)の2人は前節に引き続きスターターに名を連ね、NO8には長谷銀次朗(4年)が復帰した。
BKは、SHには1年生ながらキッカーも務める前川李蘭(目黒学院)、SO饒平名悠斗(2年)がゲームをコントロール。CTBは広瀬龍二(2年)と、中盤のディレンスの要・フレイザー・クワーク(3年)がコンビを組む。
WTBは、FWに2人外国人選手を起用したために、ライン際での快走が目立つ身長188cmのナサニエル・トゥポウ(2年)が控えに回り、今年からWTBに専念しトライを量産している水間夢翔(2年)と、法政大学戦でMOM(マン・オブ・ザ・マッチ)に輝いた齋藤芳徳(4年)が先発し、そして安定したプレーが光る普久原琉が定位置のFBに入った。
日本大学としては、ハーフ団やFBを中心としたキックで敵陣でのプレータイムを増やし、武器のスクラムでプレッシャーをかけて、HO藤村主将を中心としたモールで得点を重ねて試合を優位に進めたい。そして相手が疲れてきたところで、個々の能力に長けたBKで仕留めたいところだ。
開幕前、中野克己監督が「春からラグビー界にご迷惑をおかけしたが、いろんなところで応援していただいている方もいるので、結果を出せるようにと選手たちには話しています」という言葉通り、日本大学はしっかり4連勝でファンの声援に応えている。
今年の目標は、2位だった昨年のチームを超えることだ。大一番で、チームの真価が問われ試合となろう。いずれにせよ、この試合で勝利したチームは、大学選手権出場を確実なものとするだけでなく、5連勝となり優勝争いでも大きく前進することは間違いない。
流通経済大学が昨年のリベンジを果たすか、はたまた日本大学が勝利して1985年以来の優勝に近づくことができるか。今年のリーグ戦の大一番は11月14日(土)午後3:55から、J SPORTSオンデマンドでLIVE配信される。
文/写真:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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