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試合を重ねるごとにスケールが増していくようだ。
10/17 東海大学対法政大学
東海大は今年、コロナ禍で7月中旬から段階的に再スタートを切り、8月の菅平合宿を経て、今季開幕戦から関東学院大学(52○24)、中央大学(64○5)、法政大学(31○19)と3連勝。
初戦で24失点を許したものの、次戦の中大戦ではインターセプトによる失トライのみに抑える修正力を披露。
3戦目の法大戦ではスクラムに苦しむ場面も見られ一時は混戦模様だったが、迎えた専修大との4戦目では、ふたたび圧倒的な展開を見せた。
この日の東海大のメンバー23人には、4人の1年生(先発3人、リザーブ1人)が名を連ねていた。
SO武藤ゆらぎとWTB谷口宜顕(ともに東海大仰星)、そしてWTBポロメア・カタとリザーブのLOアフ・オフィナ(ともに東海大福岡)だ。
そして4人ともが即戦力の実力を発揮し、躍動した。
有料試合で2127人が見守るなか、先制トライは前半1分、東海大学がキックチャージからいきなり独走トライ(ゴール)で7点を奪取。
出鼻を挫かれた専修大だが、直後にFL折居慎斗(尾道・3年)のキックチャージ、NO8 原健将(桐蔭学園・4年)のジャッカルで攻撃権を奪い返す。
ところが専修大はラインアウトが不調で、チャンスにボールロスト。東海大の空中戦のディフェンスもこの日冴えた。
攻撃権を得た東海大は自陣から大きく右展開し、元高校日本代表の1年生WTBカタが右隅でゲイン。サポートしていたCTB杉浦拓実(東京・4年)に戻して2トライ目をスコアした。14-0
東海大のアタックはハイテンポかつ正確だった。
副将を務めるSH中村友哉(伏見工業・4年)の配球から、ルーキーSO武藤も今季初先発とは思えぬ安定したハンドリング、巧みなランコースでボールキャリアーを活かす。
そして東海大仰星でも同期だったWTB谷口にもトライが生まれた。
【ハイライト】東海大学 vs. 専修大学|ラグビー 関東大学リーグ戦2020
前半13分、元U20フィジー代表のFLレキマ・ナサミラ(2年)が2人を引きつけ、18歳のWTB谷口が左隅からスコアした。21-0
自陣から積極的に攻める東海大はさらに3分後、SO武藤が持ち味であるランで守備を裂いてビッグゲイン。サポートしていたFB酒井亮治(東海大相模・3年)のトライをアシストした。28-0
逆襲したい専修大だが、東海大の防御を崩せず反則をするなどしてインゴールに近づけない。ラインアウトの不調に続き、時間が経つにつれてスクラム戦でも苦しんでしまった。
一方、PR徳田悠人(東海大相模・3年)、HO山田生真(東海大仰星・4年)PR前田翔(東海大仰星・3年)を先発フロントローに並べた東海大は、時に攻撃的なスクラムで堅実なプラットフォームを築いた。
セットピース(ラインアウト、スクラム)も安定し、攻撃の土台がしっかりとした東海大。
前半36分には自陣マイボールスクラムから左大外にボールを運び、左隅でWTB谷口がロングゲイン。巧みなオフロードパスをFB酒井に通し、トライを演出した。33-0
後半のスタートは、専修大がゴール前に迫った。
後半5分、相手の反則から専修大が右コーナーに侵入。FWの近場勝負をしながらも果敢なバックス展開でトライを狙った。
しかし11フェーズ目でノックオンがあり、専修大はこの日の初得点を奪えなかった。
すると、ここで東海大はSO武藤の個人技が冴えた。
後半10分、SO武藤は猛然と詰めてきたディフェンダーを軽くかわすと、切れ味鋭いランで相手を揺さぶりながらビッグゲイン。最後は巧みなフリックパス(片手による逆手パス)で1年生のWTBカタのトライをアシストしてみせた。38-0
専修大の反撃を制した東海大は、このトライを含めて後半は怒濤の8連続トライ。
スローガンである「厳しさと徹底」を体現するかのように、5トライを挙げた前半を3トライ上回る集中力を披露した。
後半15分にはCTB杉浦がふたたびサポートランからトライを決めて45-0。同18分にはLO横井隼(石見智翠館・4年)、その4分後には強固なラインアウトモールを組んでHO山田がグラウンディング。
後半24分には途中出場の1年生、オフィナがラック中央からピックで抜け出して独走トライ。同33分にはNO8吉田大亮キャプテン(東海大仰星・4年)、終盤の同40分にはCTB赤木凜(伏見工業・4年)がインゴールへ。
そして最後は相手ゴール前のスクラムからのサインプレーで、WTB谷口をフィニッシャーに使って13本目を奪った。
後半48分にコンバージョンキックが決まるとノーサイド。85-0で決着し、東海大は今季最多得点を記録した。
東海大はルーキー4人が躍動する選手層も見せ、対抗戦の強豪大学との対戦もますます楽しみになってきた。
開幕4連勝となった東海大は11月15日(日)、セナリオハウスフィールド三郷の無観客試合で、大東文化大学と激突する。
そして1勝3敗となった専修大は11月14日(土)、同じセナリオハウスフィールド三郷の無観客試合で、関東学院大学と顔を合わせる。
文:多羅正崇
多羅 正崇
スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。
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