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ラグビー コラム 2020年11月1日

ブルズvs.ストーマーズ、伝統の「南北ダービー」は意外すぎる結末。スーパーラグビー2020 南アフリカ

ラグビーレポート by 斉藤 健仁
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突進するブルズのドゥエイン・フェルミューレン

10月9日(土)に開幕した南アフリカの国内大会「スーパーラグビー・アンロックド」。折り返しに入った10月31日(土)の第4節は、南アフリカ伝統の「南北(North-South)ダービー」、ブルズvs.ストーマーズの一戦が、ブルズのホーム・プレトリアにあるロフタス・ヴァースフィールドで行われた。

ブルズは、1勝1敗で迎えた先週のシャークス戦では6トライを挙げて快勝し、2勝1敗の勝ち点10で首位に立った。ホームで強敵ストーマーズを下して連勝したいところ。

一方、アウェイのストーマーズは、開幕節はBYE(休みの週)で、チーム初戦となる第2節、先週と連勝し、勝ち8の3位につけている。その勢いでブルズを破り3連勝してトップに躍り出たいところ。

ブルズはFW(フォワード)に、スプリングボクスのベテランPR(プロップ)トレヴァー・ニャカネ、日本のトヨタ自動車でもプレーするLO(ロック)ジェイソン・ジェンキンス、キャプテンでありクボタでもプレーしていたNO8(ナンバーエイト)ドゥエイン・フェルミューレンらが先発。

さらに経験富なSO(スタンドオフ)モルネ・ステイン、ブリッツボッカ(7人制ラグビー南アフリカ代表)でもあるCTB(センター)ステッドマン・ガンズといったBK陣と、力のある布陣を揃えた。

ストーマーズはFWが、スプリングボクスの主将でもあるFL(フランカー)シヤ・コリシがケガで欠場したが、PRスティーヴン・キッツォフフランス・マルハーバ、HO(フッカー)はボンギ・ンボナンビ

BKは、SH(スクラムハーフ)ハーシェル・ヤンチース、SOダミアン・ヴィレムセ、FB(フルバック)ウォリック・ヘラントと、昨年のワールドカップ優勝メンバーと若手を融合させた編成で臨んだ。

日が落ちて少し肌寒く、時々小雨が降る初夏のロフタス・ヴァースフィールドで、今回も無観客で試合はキックオフされた。

先制したのはホームのブルズだった。前半3分、相手のペナルティからPG(ペナルティゴール)を選択。SOステインが落ち着いて沈めて3-0。ストーマーズも5分、PGをSOヴィレムセが決めて同点に追いつき、14分にさらにPGを重ねて6-3と逆転した。

だが、リードされたホームのブルズが強力FWを軸に攻めに転じる。16分にPGを決めて、6-6の同点に追いつく。23分には相手陣10mのラインアウトからドライビングモールを押し込み、最後はHOヨハン・グロベラーがグラウンディング、ゴールも決まって13-6と逆転する。

28分、さらにブルズがスクラムを起点に素晴らしいアタックで魅せる。SHイヴァン・ファンセイルがブラインドを突いてラックを形成。最後は左に展開しSOステインが背面パスをCTBガンスに通し、ガンズが左中間にトライ。20-6とリードを広げた。

さらに34分、ブルズは連続攻撃からWTB(ウィング)カート・リー・アレンデセが抜けだし、CTBガンスがオフロードパス、そのパスをフォローしたSHファンセイルが受けて、そのままトライ(25-6)。

37分にもブルズはNO8フェルミューレンがゲインし、チャンスを迎える。SOステインがディフェンスラインの裏にチップキック、そのボールを自身でキャッチし、タックルを受けつつLOルアン・ノーキアにパス。最後はノーキアがトライ。ゴールも決まって、32-6と大量リードで前半を折り返した。

気合いを入れ直したストーマーズも攻勢に転じたため、後半は互いに拮抗した展開になるが、先に点を取ったのは、やはりブルズだった。

後半10分、相手陣40m付近からモールを押し込んでアドバンテージを得た中、SOステインがディフェンスラインの裏にキック、そのボールを広田CTBガンスが中央にトライ、ゴールも決まって39-6とさらにリードを広げた。

その後、ストーマーズも相手陣に攻め込むが、モールを押し込めず、展開してもミスやペナルティで、なかなか得点を挙げることができない。

すると、後半も13分が経ったところで、雷の影響で試合が一時中断してしまう。試合は30分ほど様子を見たが、そのままノーサイド。ブルズが39-6で勝利し、3トライ以上のボーナスも含めて勝ち点5を得た。

この試合の最優秀選手にあたるMOM(マン・オブ・ザ・マッチ)には、2試合連続で2トライをあげた、ブルズのCTBステッドマン・ガンズが選出された。

連勝で勝ち点を15と伸ばし、2位のチーターズに6ポイントの差をつけて首位をキープしたブルズ。ジェイク・ホワイト監督(ディレクターオブラグビー)は「選手のパフォーマンスには大変満足している。前半の40分はここ最近でもベストだった。安定していたし、FWとBKの連携もよかった」。

「中断がなければ、もう少しトライが取れたかもしれない。だが、結果には満足していても、まだまだ私たちはこの先がある。ずっと言っているように、まだまだ改善の余地はある。」と快勝にも冷静さを失わなかった。

ブルズに完敗し、勝ち点を伸ばせず4位に後退してしまったストーマーズのジョン・ドブソンHC(ヘッドコーチ)は「ブルズはたくさんプレッシャーをかけてきたし、私たちもミスが重なってしまった」。

「相手は特に空中戦でプレッシャーをかけてきて、モールもすごく効果的で、自分たちのディフェンスが良くなかった。コミュニケーションもできてなかった。後半もう少し取り戻したかったが、そのチャンスもないまま中断してしまったのは残念だ」と悔しさをにじませた。

連勝で首位をキープしたブルズは、次節は11月7日(土)にアウェイでライオンズと対戦する。敗れたストーマーズは同じく7日に、アウェイでグリクアスと戦う。

文:斉藤健仁

斉藤健仁

斉藤 健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント

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