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ラグビー コラム 2020年10月30日

「雨の日にどうプレーするか教わった」オールブラックスが圧巻43得点!トライネーションズ2020第1戦

ラグビーレポート by 多羅 正崇
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オールブラックス

オーストラリア代表“ワラビーズ”で67キャップを重ねた元主将のフィル・カーンズ氏は試合後、メディアにこう語った。

「若いワラビー(オーストラリア代表選手)は、雨の日にどうプレーするか、どうコントロールするかを教わった。オールブラックス(ニュージーランド代表)のキックゲームは本当に素晴らしかった」

オールブラックスはインプレーで29回のキックを蹴り(ワラビーズは13回)、再獲得すれば即座にボールを展開してチャンスに繋げた。

自陣エリアでは代表100キャップ到達が見えてきたSHアーロン・スミス(現在95キャップ)が、競り合いが起こる絶妙な位置にボックスキックを蹴る。

ハーフ団を組むSOリッチー・モウンガは大外へキックパスなどで、WTBジョーディー・バレットらのビッグゲインを演出した。

敵陣ではパスでボールを動かす展開を避けて、フォワードが安定したスクラム、ラインアウトで強力なプラットフォームを築き、ラインアウトモールを多用するなどして確実な前進を試みた。

一方のワラビーズは、31歳のベテランFBデイン・ハイレット ペッティらが、キック処理で落球。

この日のワラビーズはメンバー23人中7人が今年デビュー、もしくはこの日デビューの若い布陣。経験豊かなベテランが若手を支えたいところだったが、オールブラックスの独壇場を止められなかった。

10月31日(土)、オーストラリアのANZスタジアム(シドニー)で全6試合の南半球3か国対抗戦「トライネーションズ2020」が開幕し、地元オーストラリアがニュージーランドを迎え撃った。

この試合はオーストラリアとニュージーランドの定期戦「ブレディスローカップ」の第3戦でもあり、オールブラックス(1勝1分け)が勝利か引き分けで18年連続のカップ保持が決まる状況だった。

伝統のカップ争奪も懸かる決戦は、試合前から雨が降っていた。

【ハカ】カパオパンゴ|トライネーションズ(ザ・ラグビーチャンピオンシップ)2020開幕戦 ラグビーニュージーランド代表

内容も序盤は荒れ模様。前半3分、ワラビーズのWTBフィリポ・ダウングヌが、相手WTBケイリブ・クラークに空中でコンタクトしてシンビン(10分間の一時退場)となった。

この日のオールブラックスは雨中戦とあってか、攻撃回数を抑え、フォワードによるラインアウトモールなどを効果的に活用していた。

前半5分には、2本のラインアウトモールで敵陣深く侵入すると、PRカール・トゥイヌクアフェの先制トライにつなげた。

7点を先取したニュージーランドだが、前半9分には自陣でのキックパスから抜け出したWTBジョーディー・バレットが、相手FBハイレット ペッティの頭部に左ヒジを当ててシンビンとなった。

一時的に14人同士の対決となり、ワラビーズも前半13分、WTBマリカ・コロインベテのトライセーブで失点を防いだ。

しかしオールブラックスは前半20分。

ラインアウトモールを左斜め前方に押すと、生み出したスペースにSOリッチー・モウンガが走り込み、相手HOとのミスマッチを仕留めて2トライ目(ゴール失敗)。12-0とした。

さらに前半27分にはFBボーデン・バレットの足技、SOモウンガの快足という合わせ技が炸裂。

自陣でファーストレシーバーに入ったFBバレットのショートパントを、チェイスに回ったSOモウンガが捕球して独走トライ。

モウンガの快足を活かした、少ない攻撃回数でのトライが連続で決まり、さらに3分後にはHOデイン・コールズがラインアウトモールを仕留めて4連続トライ。26-0と大量リードで前半を折り返した。

後半の最初は地元ワラビーズが逆襲した。

後半2分、劣勢ながら守備で貢献していたPRアラン・アラアラトアの好タックルから攻守交代が起きると、大きく右へ展開。

広いスペースを二十歳の大器、CTBジョーダン・ペタイアが攻略してゴール前へ。折り返しのアタックで、この日代表デビューのSOロレシオが走り込み、鮮やかに代表初トライを決めた(5-26)。

ここから試合は一進一退。約20分間スコアがなかったが、後半20分にオールブラックスが反則からのPG成功で3点を追加(29-5)。

【ハイライト】オーストラリア vs. ニュージーランド|トライネーションズ(ザ・ラグビーチャンピオンシップ)2020 開幕戦

さらにオールブラックスがスクラムでも優勢となり、ワラビーズはいよいよ敗色濃厚に。後半24分にピンチでFLサム・ケイン主将がジャッカルを披露し、インゴールを割らせない。

するとオールブラックスは敵陣ゴール前のスクラムから後半31分、途中出場のリーコ・イオアネが右隅にトライ。

直後の34分にも攻守交代直後のディフェンスをWTBバレットが突破し、インゴールへ。

43-5とさらにリードを広げると、ワラビーズの最後の猛攻もWTBバレットが好タックルでトライセーブし、そのままフルタイムを迎えた。

ブレディスローカップ第3戦で2勝1分けとしたニュージーランドは18年連続のカップ保持を決め、試合後にFLケイン主将がブレディスローカップを高々と掲げてみせた。

大会初戦を落とし、ブレディスローカップの奪還に失敗したワラビーズ。

指揮官のデイヴ・レニーHC(ヘッドコーチ)は「彼ら(オールブラックス)はとてもスマートなキッキング・ゲームをするが、今日はそれが効果的だった」とメディアに語った。

またFLマイケル・フーパー主将は「両チームのパフォーマンスには確かに差があった。かなり早い段階で追いかける展開になったと感じました。劣勢になり、プレッシャーもあって、リスクの高いオフロードパスが多くありました」と語り、ハンドリングエラーが敗因の一因と示唆した。

一方でニュージーランドのイアン・フォスターHCは「とても満足しています」と勝利を振り返った。

「ウェリントン(ブレディスローカップ第1戦)では本当にタフなワラビーズで、イーデンパーク(同カップ第2戦)でも同様でした。しかし今日は、彼らは満足する出来には届かなかったでしょう。私たちは必要なときに彼らを抑えることができました」

そんな快勝を演出した一人として、フォスターHCはSOモウンガのゲームマネジメントを「これまで見た彼の試合で最高のうちのひとつ」と賞賛した。

雨中戦ながら高い技術力とハードワークで、高精度のキックゲーム、強力なフォワード戦などから主導権を握ったオールブラックス。

ブレディスローカップの行方は決まったが、全6試合の短期決戦――トライネーションズは開幕したばかりだ。

次戦はシドニーからブリズベンへ南下し、11月7日(土)、サンコープ・スタジアムにて大会第2戦が行われ、ふたたびオーストラリアとニュージーランドが激突する。

文:多羅正崇

多羅正崇

多羅 正崇

スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。

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