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ラグビー コラム 2020年11月1日

天理大学、コロナ禍を乗り越え、5連覇を目指す黒衣の絶対王者。ラグビー関西大学リーグチーム紹介

ラグビーレポート by 斉藤 健仁
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関西で4連覇中の天理大学

関西大学Aリーグで優勝候補筆頭は、もちろん5連覇を狙う黒衣軍団の天理大学だ。10月の交流戦でも関西大学に48-12、摂南大学に65-0、立命館大に35-12と危なげなく3連勝を達成。今年こそ、関西制覇はもちろんのこと、悲願の大学日本一を目指す。

コーチを経て、1995年から指揮官に就任した小松節夫監督が「一手一つ」というクラブの普遍的なスローガンの下、今年も「ディフェンスからチームを作る。身体の小さい選手がハードワークし、ボールをスピーディーに展開する」というラグビーは不変だ。

主将の松岡大和(写真:関西ラグビーフットボール協会)

小松監督が「一番元気があり、チームを引っ張っている」とキャプテンに指名したのが、FL(フランカー)松岡大和(4年)だ。昨年のキャプテンである、FL岡山仙治(クボタ)同様、運動量とハードタックルが武器だ。副キャプテンには春にはサンウルブズでも活躍したCTB(センター)シオサイア・フィフィタが就いた。

「サイア(フィフィタ)をキャプテンにすることも考えましたが、最終的には松岡がキャプテンで、サイアが支える形となりました」(小松監督)。

今年の天理大にはFL松岡、CTBフィフィタだけでなく、1年生からハーフ団を組んでいるSH(スクラムハーフ)藤原忍、SO(スタンドオフ)松永拓朗(ともに4年)ら、経験値と個々の能力の高い選手が揃う。

そのため4年生たちで話し合い、今年のスローガンを「Go For The Top」と定めた。松岡キャプテンは「一昨年、昨年の先輩たちの悔しさ、思いを受け継いで、今季は絶対日本一を取るという気持ちを込めました」と説明する。

ただ、そんな天理大に暗雲が立ちこめる。春先の自粛期間を経て、ハードにトレーニングし、菅平合宿の直前に向かおうとしていた矢先の8月12日、部員の1人が新型コロナウィルス陽性が判明。結局、62名が陽性となり、病院やホテルなどに隔離される選手もいる中、9月10日までの1ヶ月間、練習することがかなわなかった。

小松監督は「いつ再開できるか、本当に先が見えなかったが、全員が頑張って、元気になって、大学が収束宣言を出してくれました。活動が再開できたのは、いろんな人たちのおかげ。大学関係者はもちろん、天理市長や、小さな街ですが、地域をあげて応援いただいた」。

「選手たちには、その人たちのためにも少しでも恩返しができるように頑張ろうという話はしています」と、サポートしてもらった人々に謝辞を述べた。

松岡キャプテンは「まさか、自分たちがコロナになると思わなかったです……。チームが仕上がっていく中で、ラグビーができない状況の中、今年のチームは練習だけで終わってしまうのか……というネガティブな意見もありました」。

「だから、ラグビーがまたできて、(交流戦で)試合ができて嬉しかったです。自分たちだけで、試合をすることはできなかった。周りの方のサポートがおかげですし、素晴らしい環境でラグビーができているのはすごくありがたい」と話した。

現在は、より手指消毒を施し、ソーシャルディスタンスを取り、寮内ではマスクをつけることを義務とし、大学とグラウンドの往復だけで天理市内から原則出ない、カラオケなどの娯楽施設にも行かないなどを徹底して生活を送っているという。

それでは主力選手を見ていきたい。FW(フォワード)第1列は4年のPR(プロップ)谷口祐一郎、PR小鍛治悠太の2人、さらに3年の高橋虎太郎(3年)、岩室勇汰(3年)もおり、強力なスクラムを支えている。HO(フッカー)は佐藤康(3年)、谷口永遠(2年)の2人が先発の座を争っている。

LO(ロック)には中鹿駿(4年)、ナイバルワガ・セタ(2年)、さらにNO8(ナンバーエイト)での出場が濃厚なアシペリ・モアラ(3年)も場合によってはLOでもプレー可能だ。他にはルーキーの身長185cm、体重105kgのLO鄭兆毅(台湾・竹園高)も有望だという。鄭は天理大初めての台湾出身選手だ。

バックローはキャプテンFL松岡、モアラ以外にも、2年生までケガをしていたFL服部航大(3年)が先発に絡んできそう。他にも松岡キャプテンが「突破力がある」と期待する山村勝悟もレギュラークラスで、ジョネ・ケレビ、亀沖泰輝(ともに3年)もおり層が厚い。

BK(バックス)陣は経験豊かな選手が揃う。ハーフ団は攻撃的なSH藤原、ゲームコントロールに長けたSO松永のコンビは鉄板であり、控えSH争いにはルーキーの高岸尚正(常翔学園)も加わっている。

サンウルブズでもプレーしたフィフィタ

CTB(センター)は12番にCTB市川敬太、そして13番にフィフィタという4年生コンビが入り、1年生のCTBマナセ・ハビリ(高知中央)が控えに入る形になりそうだ。

WTB(ウィング)には、昨年は出場していなかったが、今年先発の座を射止めたWTBアントニオ・トゥイアキ(2年)、もう1人のWTBは土橋源之助(4年)、荒川浩二郎(3年)やマナセもWTBで出場することもあるかもしれない。また、FB(フルバック)にはエースの江本洸志(3年)が入る。

小松監督は「交流戦を通じて、8月まである程度仕上げていたので、そのあたりまで戻ってきた。ただ、体力的なところよりも、試合の経験が圧倒的に足りない」。

「(大学選手権で)関東勢と対戦することを考えたらセットプレー、フィジカル、すべてにおいて足らない。関東のチームと対戦することをイメージしながら、(差が)開いていかないようにやっていきたい」と先を見据えた。

時間を見つけては、自らフィットネストレーニングを課してきた副キャプテンCTBフィフィタは「まず関西で5連覇を目指し、その次に大学選手権で日本一を取って卒業したい!」と語気を強めれば、松岡キャプテンは「1試合1試合、試合の中でレベルアップしたい」と意気込んだ。

9月の練習再開後、「Tear Down Walls その壁を越えて、進め。」と書かれたのぼりが立った。大学側からの激励の言葉だという。この言葉通り、天理大は様々の壁を打ち破り、今年こそ悲願の大学王者となり、小松監督が宙を舞う姿を見ることができるか。

文/写真:斉藤健仁

斉藤健仁

斉藤 健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント

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