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ラグビー コラム 2020年10月25日

【ハイライト動画あり】ブルズvs.シャークス、ワールドカップ決勝のMVPフェルミューレンのリーダシップが光る。スーパーラグビー2020 南アフリカ

ラグビーレポート by 斉藤 健仁
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10月9日(金)に開幕した南アフリカの国内大会「スーパーラグビー・アンロックド」は第3週に入り、10月24日(土)は強豪ブルズが、ホームにシャークスを迎えた。

ブルズは、開幕戦はホームでグリクアスに30-23と勝利したが、第2節はチーターズに終盤追い上げたが17-19と惜敗し、1勝1敗の勝ち点5で現在2位につけている。

今大会からチームの指揮を執る、ジェイク・ホワイト監督(ディレクター・オブ・ラグビー)は、チーフス戦からFW(フォワード)3人、BK(バックス)5人を入れ替えた。

後半は雨の中の戦いとなった

フランスのトゥーロンから復帰し、この日が30歳の誕生日だったPR(プロップ)マルセル・ファンデルメルヴァが今大会初先発、日本のクボタでもプレーした、昨年のワールドカップ決勝で最優秀選手に輝いたキャプテンNO8(ナンバーエイト)ドウェイン・フェルミューレン。

また、BK(バックス)も経験豊富なSO(スタンドオフ)モルネ・ステインと、7人制ラグビー南アフリカ代表でもあるCTB(センター)ステッドマン・ガンスといった強力な布陣で臨んだ。

一方、シャークスは開幕戦をホームで19-16とライオンズに競り勝ち、先週はBYE(休みの週)で、現時点で勝ち点4の4位につけている。シャークスのショーン・エヴェリットHC(ヘッドコーチ)は、初戦のライオンズ戦から、わずか1名の変更にとどめた。

キャプテンのCTBルカニョ・アムを中心にPRオクス・ンチェとトーマス・デュトイ、NO8シクンブーゾ・ノーチェといったスプリングボクス経験者と、21歳のSH(スクラムハーフ)サネル・ノハンバと、23歳で代表経験もある大型SOカーウィン・ボッシュのハーフ団といった若く勢いのある選手とベテランをバランスよく配置した。

試合は気温30度を超える中、ブルズのホームスタジアムであるプレトリアのロフタス・ヴァースフィールドでキックオフされた。この試合も無観客で行われたが、客席にはファンの顔のお面が並んだ。

試合序盤はスクラムで優勢だったシャークのスペースで進む。前半2分、シャークスがスクラムを押し込み、ペナルティを得て、相手陣22mからでラインアウトのチャンスを得るが、ブルズのLO(ロック)ジェイソン・ジェンキンズにスチールされる。その後も、シャークスのラインアウトは終始安定することがなかった。

7分、ブルズは相手のペナルティで先制のチャンスを得るが、SOステインがやや距離のあるPG(ペナルティゴール)を外してしまう。一方のシャークスは11分にSOボッシュが40mのPGを決めて3点を先制する。その後、19分にブルズがPGを決めて3-3の同点にすると、シャークスは23分にPGを返して、シャークスが6-3とリードした。

シャークスは自陣からSHノハンバのボックスキックで攻めるが、そのボールを獲得することができず、逆にブルズにカウンターを仕掛けられる。ブルズは28分、ボールを継続しCTBコーナル・ヘンドリクスが3人のディフェンダーをステップでかわして、最後はCTBガンスに渡ってトライ、ゴールも決まって10-6と逆転に成功。

シャークスはスクラムや接点でプレッシャーをかけるものの、ラインアウトのマイボールがキープできない。するとブルズに再び、好機が訪れる。

32分、ブルズはラックサイドをSHイヴァン・ファンセイルが突いて、FL(フランカー)エルリー・ロウがフォローし、ロウのオフロードパスを受けたFLマルコ・ファンステーデンが中央に飛び込んで17-6とリードを広げる。シャークスも37分、SOボッシュがPGを決めて、前半はブルズが17-9とリードして折り返した。

後半、先に得点を挙げたのはリードするブルズだった。4分、ゴール前15mのラインアウトからのチャンスで、モールを押し込んでFLファンステーデンの今日、2本目のトライを挙げて24-9とした。

12分、何としても追い上げたいシャークスは、相手のペナルティからスクラムを選択。アタックを継続してNO8ノーチェがディフェンス3人を引き連れてゲインし、ゴールラインに迫る。最後はSHノハンバからHOリチャードソンにパスが渡り、リチャードソンがボールをねじ込んでトライ。14-24と10点差に追い上げる。

スーパーラグビー2020 南アフリカ

【ハイライト】ブルズ vs. シャークス

しかし17分、ブルズがキックカウンターアタックから、SOステインが右足のアウトサイドでグラバーキックを右サイドに転がし、そのボールをWTBカートリー・アレンゼが追いつき、CTBガンスにオフロードパスをつないで、ガンスが中央にトライ。

攻撃の手を緩めない28分にもブルズがモールを押し込み、最後は途中出場のWTBマルコ ヤンセン ファンフーレンがインゴールを陥れて、36-14と大きくリードを広げた。

残り10分、雨も降ってくる中、お互いにミスが多発し、なかなか得点を動かない。ロスタイム、果敢にシャークスはアタックを仕掛けたが、ミスをしてしまい、カウンターからブルズのSHエンブロス・パピエーが、左中間に6つ目のトライを挙げて41-14でブルズが快勝した。

ブルズは3トライ以上を挙げて勝ち点5を得た。MOM(マン・オブ・ザ・マッチ)には、攻守にわたって前に出続けて、ブルズを勝利に導いたNO8フェルミューレンが選出された。

ブルズのジェイク・ホワイト監督は、「これからカリーカップ、『PRO14』と長い戦いになる。まだまだチームは発展途上で、いろんなコンビネーションも試していく」と話した。

さらに「フェルミューレンのリーダーシップが見事だった。彼はチームに本当に必要な言葉を話し、1つにまとめることができる。特にハーフタイムでのコーチのアドバイスを的確に理解して伝える。彼が語れば、選手は皆ついていく」とキャプテンを手放しで褒めた。

キャプテンのNO8フェルミューレンは、「先週のチーターズ戦の敗戦から学び、見事な勝利を収めた。ミスを分析し改善したので、前回よりも良いパフォーマンスを見せられた」。

「(MOMに関しては)ラグビーは1人でするものではなく、チームワークと勝利に対して与えられたものだと思う。来週はまた違ったプレースタイルのストーマーズ戦なので、しっかりと準備したい」と笑顔を見せた。

シャークスのエヴェリットHCは「アタックのリズムに欠け、守備も穴だらけだった。しかし、選手のファイトは評価したい」と前を向いた。キャプテンのCTBアムは「規律の悪さが何より大きく響いた。試合の大半を自陣で過ごさねばならなかった。特にラインアウトは大きな問題だ」と反省した。

勝利したブルズはこれで2勝1敗の勝ち点10となり、新型コロナウィルスの影響で試合が中止(引き分け扱い)となった勝ち点9のチーターズを抜いて首位に立った。次節は10月31日(土)に、再びホームでストーマーズを迎える。

シャークスは1勝1敗の勝ち点4で5位に後退した。次節は10月31日(土)にアウェイでピューマズと相まみえる。

文:斉藤健仁

斉藤健仁

斉藤 健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント

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