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ラグビー コラム 2020年10月22日

スーパーラグビー初参戦の南ア チーム「ピューマズ」って?強豪ストーマーズ戦でアップセット狙う

ラグビーレポート by 多羅 正崇
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10月9日(金)に開幕した南アフリカ国内大会「スーパーラグビー(SR)アンロックト」で、SR初参戦を果たしたチームが、グリクアスと、ピューマズだ。

この2チームはSRこそ初参戦だが、1889年に南アフリカで始まった世界最古の地域代表選手権「カリーカップ」の伝統チームだ。

南アフリカ協会のジュリー・ルーCEOが「カリーカップは南アフリカラグビーにとっての『聖杯』(Holy Grail)」と表現するなど、その権威は今も続いている。

そんなカリーカップに参加するグリクアスは、ダイヤモンド採掘で知られる北ケープ州のキンバリーを本拠地する。南アフリカで最古参のチームのひとつであり、1881年7月22日には南アフリカで最初の町同士の試合を行っている。

そして、ピューマズ(旧サウス・イースタン・トランスバール)は、南アフリカ北東部のムプマランガ州の都市、ネルスプロイトを本拠地としている。

カリーカップ・チームとしては比較的歴史の浅い1969年の創設だが、ホームのムボンベラ・スタジアム(ネルスプロイト)は4万3500人収容と豪華だ。

さらにスタジアムは野性味溢れるデザインであり、ムプマランガ州に南アフリカを代表する野生動物保護区、クルーガー国立公園があることから、座席スペースはシマウマ柄、支柱はキリンを模した造りになっている。

10月24日(土)のSRアンロックト第3節は、そんなムボンベラ・スタジアムでの今季初ゲームとなる。

ピューマズは開幕節こそ敗れたものの、先週の第2節では同じ新規参入のグリクアスに27-21で勝利。記念すべきSR初勝利を挙げた。

【ストーマーズ】スターティングメンバー

SR初の連勝をかけて挑む相手は、2019年ワールドカップ(W杯)南アフリカ代表をスタメンに6名並べた、1勝0敗のストーマーズだ。

W杯メンバーはフォワードで3人。FLシヤ・コリシ主将、PRフランス・マルハーバ、HOボンギ・ンボナンビという強力メンバー。

バックスも3人で、SHハーシェル・ヤンチース、SOダミアン・ヴィレムセ、FBウォリック・ヘラントがスターターに並んだ。

同じく19年W杯メンバーであるストーマーズのFLピーター ステフ・デュトイはケガにより欠場。また先週先発したPRスティーヴン・キッツォフは新型コロナウイルス陽性者の接触者として認められたことで欠場を余儀なくされた。

迎え撃つピューマズは、下馬評で劣勢となっている。

しかしストーマーズのFL/LOアーンスト・ファンラインは地元メディアに対して警戒心を語った。

「先週(ライオンズ戦)は改善点が多くありました。私たちがピューマズを過小評価することはありません。先週、彼らはグリクアスに対して本当に良い勝利を収めていました」

ストーマーズは先週のライオンズ戦に23-17で勝利したものの、コロナ禍による準備不足、リーグ開幕戦ということもあってか、ハンドリングエラー、ラインアウトやモールの低い精度に苦しんでいた。

そんなストーマーズのFWコーチ、リト・フルングワニは、ピューマズのモール・ディフェンスに警戒していると明かした。

「ピューマズはとても良いチームであり、モールを非常に上手く止めていることを知っています。私たちは(先週の)ライオンズ戦でモールが機能しませんでした。同じことがふたたび起こった場合は、上手に対応したいと思っています」

モールの攻防は注目点のひとつになりそうだ。ではピューマズの先発メンバーを見てみよう。

FW第1列では、フッカーは29歳のベテランであるAJルルーが務め、両脇のプロップをモーガン・ナウド、ルアン・クラマーが固める。

ロックはジンバブエ出身の22歳、注目のダリエン・ランズバーグ。バックロー(FW第3列)には南アフリカU20代表だったFLフランソワ・クライハンスが入った。

バックスではハーフ団が要注目だ。

昨年カリーカップにデビューしたばかりの22歳、SHギンター・スマッツ。司令塔は、南アフリカ高校代表のセカンドチームである高校代表“A”を経験し、先週のグリクアス戦で活躍したSOエドゥアルド・フォウチェが務める。

そしてフルバックには14年はストーマーズでプレーした28歳のデボン・ウィリアムスが入り、ポジション最後尾からディフェンスを統率する。

なおリザーブには、2018年度にヤマハ発動機に所属したユーティリティBK、ニール・マライスが入っている。

ストーマーズは19年W杯代表が6人先発するが、一方のピューマズは19年代表はおろか、メンバー23人に南アフリカ代表経験者が一人もいない。

年代別代表の経験者もわずか3人で、FLクライハンス(U20代表)、SOエドゥアルド・フォウチェ(高校“A”代表)、リザーブのPRリアム・ヘンドリクス(高校代表)のみだ。

有名人揃いのストーマーズとは対照的に、世界的には無名だが地道に実力をつけてきた選手が多いのがピューマズなのだ。

はたしてピューマズは個性豊かなホームスタジアムで、スター軍団を迎えてアップセットを起こせるだろうか。

「ピューマズ×ストーマーズ」は10月23日(金)深夜1:55からJ SPORTSオンデマンド限定でLIVE配信される。

文:多羅正崇

多羅正崇

多羅 正崇

スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。

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