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長いロックダウン期間を経て、南アフリカでもスーパーラグビーがようやく開幕した。ブルズ、ストーマーズ、シャークス、ライオンズのスーパーラグビー4チームと、チーターズ、ピューマズ、グリカスの3つのチームを加えた計7チームによる国内大会は「SUPER RUGBY UNLOCKED(ロック解除)」と銘打たれ、7週間に渡って熱戦が繰り広げられる。
10月10日(土)は、ブルームフォンテーンのトヨタスタジアムで、チーターズとピューマズの一戦が行われた。なお、新型コロナウィルス感染拡大防止のため、無観客で行われた。
チーターズは2017年まではスーパーラグビーに参加していたが、2017-18シーズンからは、アイルランド、スコットランド、ウェールズ、イタリア、南アフリカのプロクラブで競うリーグ「Pro14」に挑戦していた。
突破を見せるフランス・ステイン
チーターズのメンバーを見ると、2007年ワールドカップ優勝メンバーでもある元スプリングボクスのベテランで、キャプテンSH(スクラムハーフ)ルアン・ピナール、CTB(センター)に日本の東芝でもプレーし、昨年のワールドカップにも出場したフランス・ステイン。
さらにWTB(ウィング)には7人制ラグビーのスター選手だったロスコ・スペックマンと、先日の南アフリカ代表セレクションマッチに出場したマルコム・ヤーといった選手が名を連ねた。
一方、この大会がスーパーラグビー初参戦となるピューマズは、22歳のSHギンター・スマッツと、23歳のSOエドゥアルド・フォウチェの若いハーフ団を始め、若い選手中心の布陣で臨んだ。
試合はチーターズが有利という予想の中、キックオフされた。そして、いきなりチーターズが実力を発揮する。前半1分、ラインアウトを起点にFB(フルバック)クレイトン・ブロメチーズのオフロードパスを受けたWTBヤーがトライを挙げて、7-0と先制に成功。
互いにPG(ペナルティゴール)を決め合った11分、チーターズはボールを大きく動かし、またもWTBヤーが右隅にトライ。13分にはFL(フランカー)ジュニア・ポコメラがトライを挙げて、20-3と大きくリードする。
チーターズは攻撃の手を緩めず、27分にはCTBステインのグラバーキックをWTBスペックマンがインゴール左中間に押さえた。さらに30分にもFBブロメチーズがカウンターをしかけて、縦に突いたWTBスペックマンにパスし、そのままトライを挙げて34-3。
さらに39分、WTBスペックマンが再び抜け出して、最後は自分でトライせずにフォローしたSHピナールに渡してトライを挙げた。前半は6トライの猛攻を見せたチーターズが、41-3と大きくリードして折り返した。
後半も1分、FBブロメティースが抜け出してチャンスメイクし、左に展開して途中出場のWTBウィリアム・スモール スミスが押さえて、48-3と大量リードを奪い、勝負をほぼ決めてしまった。
しかし3分、チーターズのSHピナールがスクラムからのボールをファンブルし、そのボールを、そのままピューマズのSHスマッツがトライし、48-10とする。16分にチーターズのWTBヤーがハットトリックとなるトライを挙げて53-10したが、ピューマズはあきらめなかった。
ピューマズは21分、ラインアウトを起点に、相手ゴール前でモールを組んで最後はFLダニエル・マーテンズがトライを挙げて53-17とする。さらに26分、チーターズの途中出場したHO(フッカー)ルイス・ファンデルベストハイゼンが、危険なタックルでシンビン(10分間の一時的退場)となり、数的有利となったピューマズが攻め込む。
ピューマズは36分には15次攻撃を見せて、最後はLO(ロック)ルルー・ルーツが押さえて53-24、さらに39分にはWTBニール・マライスがトライを挙げて53-31と追い上げた。だが、そのまま前半大量リードを奪ったチーターズが53-31で勝利を収めた。
チーターズのハウィーズ・フーリーHC(ヘッドコーチ)は「前半は良かった。ミスは1回だけでした。後半は不満でした。チームとしてあまりにも多くのミスを犯し、規律の乱れが(我々を)失望させました。セットプレー、守備、規律が全て悪かった。われわれはこれからそれに取り組む必要がある」。
スーパーラグビー2020 南アフリカ ラウンド1
【ハイライト】チーターズ vs. ピューマズ
「(ベテランの)ステインは良いプレーをした。試合をコントロールし、戦術的にもよく蹴り、守備でも何本か大きなヒットがあった。後半序盤に選手を交替させたのは、次のブルズ戦まで間隔が短いので、選手のゲームタイムを調整しようとしたから」と話した。
一方、ピューマズのジミー・ストーンハウスHCは「チーターズのバックスリーは脅威で、おそらく他のチームもかなり苦しめられるはずだ。我々はU21レベルの選手が7人もいて、相手との経験値を埋めるのは難しいことはわかっていた。それでも驚きを与えるような結果を出せる力はあると思っていたが、終わってみればそのようにうまくはいかなかった」。
「だが、後半の我々のパフォーマンスは、そういう可能性を少しは示せたと思う。ボールを持つ時間が長くなり、テンポも良くなった。ハーフタイムで前半についた点差を返すのは厳しいが、ボーナスポイントを取りに行こうと声をかけた」と後半のパフォーマンスには満足した様子を見せた。
チーターズは3トライ以上を挙げてボーナスポイント1を獲得し、勝ち点5で首位に立った。次節は10月16日(金)に再びホームでブルズを迎える。敗れたものの、3トライ以上を重ねて勝ち点1を得たピューマズは、10月17日(土)にアウェイでグリクアスと対戦する。
文:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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