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2019年ワールドカップ(W杯)日本大会から約1年。
世界最高峰の定期戦「ブレディスローカップ」で、世界ランク2位のニュージーランド(NZ)代表“オールブラックス”と、同7位のオーストラリア代表“ワラビーズ”が激突する。
ブレディスローカップとは、タスマン海を挟んだ隣国同士であるNZとオーストラリアの定期戦。
毎年数試合が行われ、勝ち越した側にかつてのNZ総督、ブレディスロー卿にちなんだカップが贈られる。
今年はNZ国内での2試合(10月11日、18日)に加えて、31日に開幕日が変更された南半球4か国対抗戦「ザ・ラグビーチャンピオンシップ」における2試合(10月31日、11月7日)の計4試合で争われる。
10月11日(日)にNZの首都ウェリントンで開催される第1戦は、両軍ともに19年W杯後に新たな指揮官を迎えての初陣となる。
NZ代表はイアン・フォスターがコーチからHC(ヘッドコーチ)に昇格。オーストラリア代表はマイケル・チェイカHCが辞任し、NZ出身のデイヴ・レニーHCが就任した。
また新生ワラビーズにはかつて宗像サニックスでプレーしたジェフ・パーリングがFWコーチとして参画した。彼の専門領域であるラインアウトの攻防にも注目したい。
超弩級のビッグマッチ、ブレディスローカップ第1戦の両軍メンバーが発表されている。
まずは、9月第4週から北島ファカタネ(ベイ・オブ・プレンティー地方)でキャンプを始動させ、約3週間の準備を積んできたNZ代表から見てみよう。
■ニュージーランド代表 試合登録メンバー
ニュージーランド代表 スターティングメンバー
1.ジョー・ムーディー 2.コーディー・テイラー 3.オファ・トゥウンガファシ 4.パトリック・トゥイプロトゥ 5.サム・ホワイトロック 6.シャノン・フリゼル 7.サム・ケイン(主将) 8.アーディー・サヴェア 9.アーロン・スミス 10.リッチー・モウンガ 11.ジョージ・ブリッジ 12.ジャック・グッドヒュー 13.リーコ・イオアネ 14.ジョーディー・バレット 15.ボーデン・バレット
(リザーブ)
16.ダン・コールズ 17.カール・トゥイヌクアフェ 18.ネポ・ラウララ 19.トゥポウ・ヴァアイ 20.ホスキンス・ソトゥトゥ 21.TJ・ペレナラ 22.アントン・レイナートブラウン 23.ケイリブ・クラーク
3番のPRトゥンガファシは身長195センチの巨大プロップで、今季はハードタックルを連発するなど特に注目を集めた。運動量も多い世界最高峰の3番だ。
パナソニックでプレーしたLOホワイトロックは、この試合でメンバー最多の118キャップ目を獲得する。
オフロードパスの名手でもあるFLフリゼルは、守備型のFLケイン主将とスクラムの両サイドにつく。前主将のキアラン・リードがつけた8番は、馬力溢れるアーディー・サヴェアが担う。
ハーフ団はSHスミス、SOモウンガのコンビとなった。ボーデン・バレットはフルバックとなり、弟のジョーディーはウイングへ回った。
注目点のひとつはCTBリーコだろう。昨季のW杯は不本意な結果に終わったが今季のスーパーラグビー(SR)ブルーズではセンターとして飛躍。黒衣でも13番を担う。
代表デビューを狙うノンキャップは3人。今年大ブレイクしたNO8ソトゥトゥ、WTBクラーク、そしてLOヴァアイだ。
では敵地に乗り込むオーストラリア代表を見てみよう。
ワラビーズは9月25日(金)にNZ(クライストチャーチ)入りし、全員の新型コロナ検査、14日間の隔離措置を済ませて日曜日の一戦を迎える。
■オーストラリア代表 試合登録メンバー
オーストラリア代表 スターティングメンバー
1.ジェームズ・スリッパー 2.フォラウ・ファインガア 3.タニエラ・トゥポウ 4.ルカーン・サラカイアロト 5.マット・フィリップ 6.ハリー・ウィルソン 7.マイケル・フーパー(主将) 8.ピート・サム 9.ニック・ホワイト 10.ジェームズ・オコナー 11.マリカ・コロインベテ 12.マット・トゥムーア 13.ハンター・パイサミ 14.フィリポ・ダウングヌ 15.トム・バンクス
(リザーブ)
16.ジョーダン・ウエレセ 17.スコット・シオ 18.アラン・アラアラトア 19.ロブ・シモンズ 20.ロブ・ヴァレティニ 21.ジェイク・ゴードン 22.ノア・ロレシオ 23.リース・ホッジ
まずはトヨタ自動車入りが発表されたFLフーパーが、出場すれば代表100キャップに到達する。
NZ代表は代表デビュー選手をリザーブに回したが、ワラビーズはノンキャップの3人が先発、1人がリザーブに入った。
代表初キャップを獲得するのはFLウィルソン、CTBパイサミ、WTBダウングヌ。司令塔として大きな期待を寄せられているロレシオもリザーブからデビューを狙う。
FLウィルソンは今季SRレッズのナンバーエイトとして獅子奮迅だったが、ブラインド・フランカーでの起用となった。11月22日に二十歳を迎えるアタッカーであり、今後もワラビーズの主軸になりうる存在だ。
CTBパイサミは強烈なディフェンスが持ち味のひとつ。相手13番のCTBイオアネとのマッチアップが楽しみだ。
WTBダウングヌは俊敏さと強靱さを併せ持つフィジー出身のフィニッシャー。25歳とやや遅咲きのデビューになるが、今季SRで見せた爆発的なラン、ディフェンスで驚かせてほしい。
司令塔は円熟期を迎えてスケールアップした30歳のSOオコナーが、同い年のテクニシャン、SHホワイトとコンビを組む。
オーストラリアは、NZの地で2001年以来オールブラックスに勝利していないが、メンバーは胸躍る布陣だ。
永遠のライバルが激突する「ブレディスローカップ2020 ニュージーランド×オーストラリア」第1戦は、10月11日(日)午前11:45からJ SPORTSオンデマンドでLIVE配信される。
19年W杯以来となるオールブラックス、ワラビーズの勇姿。はたして新体制の初陣を飾るのはどちらか。新戦力の躍動はあるか。見どころは満載だ。
文:多羅正崇
多羅 正崇
スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。
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