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ラグビー コラム 2020年10月5日

関東大学ラグビーが開幕、筑波大学が慶應義塾大学を撃破。専修大学は24年ぶりに大東文化大学に勝利

ラグビーレポート by 斉藤 健仁
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10月4日(日)、例年より1ヶ月ほど遅れて関東大学ラグビー対抗戦Aグループと、リーグ戦1部がそれぞれ開幕し、計8試合が行われた。各チームの監督やキャプテンは「コロナ禍で試合が行われたことに感謝したい」「試合が行われて嬉しい」と話していたのが印象的だった。

まずは対抗戦の4試合から見ていきたい。昨年度、対抗戦の2チームが大学選手権の決勝に進出したため、今年度の大学選手権には上位5チームが出場できる。

MOMの1年生SO池戸(右)と先制トライのWTB石田

昨年、全勝優勝を果たした明治大学はホームで開幕戦を迎えた。昇格組の立教大学を相手に序盤から圧倒。7人制ラグビー日本代表経験のあるWTB(ウィング)石田吉平(2年)、ルーキーのLO(ロック)山本嶺二郎らのトライなどで前半を38-3で折り返した。

後半、立教大もボールを継続して素晴らしいアタックを見せた。ただ、明治大優位は変わらず、後半もCTB (センター)齊藤大朗(4年)らが前に出続けて、終わってみれば11トライを挙げた明治大が73-15で快勝した。MOM(マン・オブ・ザ・マッチ)は1年生ながら落ち着いてゲームを組み立てたSO(スタンドオフ)池戸将太郎が選出された。

王座奪還のカギを握る明治大の本主将

明治大のキャプテンNO8(ナンバーエイト)箸本龍雅は、「BK(バックス)が空いているスペースにボールを運んでくれたのが勝因です。ボールを持って前に出ることを意識していたが、相手の出足に前に出られなくて悔しかった。今日の試合は明治にとっていい課題になったと思うので、修正して、試合をやっていく中でレベルアップして次の試合に備えたい」と話した。

昨年対抗戦2位、そして大学選手権王者の早稲田大学は秩父宮ラグビー場で青山学院大学と対戦した。早稲田大は青山学院大の前に出るディフェンスに苦しみながらも、前半はFL(フランカー)田中智幸、PR(プロップ)小林賢太(ともに3年)のトライなどで19-12とリードする。

青山学院大は後半18分までに、SO桑田宗一郎(3年)のトライや、PG(ペナルティゴール)で26-21と5点差に追い上げる。だが、その後は早稲田大が地力を見せてMOMに選ばれたSO吉村紘、途中出場のWTB今駒有喜(ともに2年)のトライで突き放し、47-21で勝利した。

ラグビー関東大学対抗戦2020

【ハイライト】慶應義塾大学 vs. 筑波大学

秩父宮ラグビー場のもう1試合は、お互いにディフェンスが強みで、粘り強く戦うというカラーの似ている慶應義塾大学筑波大学が激突した。前半は慶應義塾大がFL山本凱(3年)のトライで先制するものの、筑波大はWTB仁熊秀斗のトライや、SO山田雅也(ともに4年)のPGで10-5と逆転し、前半を折り返した。

後半もディエンスで冴えを見せる筑波大のペースとなり、FB植村陽彦(2年)が2トライやSO山田のPGで得点を重ねて30-19で勝利した。MOMには筑波大のFB植村が選出された。

対抗戦残る1試合は、昨年3位タイの帝京大学日本体育大学をホームに迎えて行われた。前評判の高かった帝京大は、1年生NO8奥井章仁の先制トライを皮切りにFW(フォワード)で圧倒し、前半だけで8トライを挙げて56-3とリードした。

後半も帝京大のペースは変わらず、NO8奥井、そして1年生HO(フッカー)江良颯がハットトリックを達成する活躍を見せて、終わって見れば14トライを重ねて、98-10で快勝した。なお、MOMには帝京大のPR近藤芽吹(4年)が選出された。

◆関東大学対抗戦 開幕戦結果
・筑波大学 30-19 慶應義塾大学 MOM:FB植村陽彦(筑波)
・明治大学 73-15 立教大学 MOM:SO池戸将太郎(明治)
・帝京大学 98-10 日本体育大学 MOM:PR近藤芽吹(帝京)
・早稲田大学 47-21 青山学院大学 MOM:SO吉村紘(早稲田大)

続いてリーグ戦の4試合を見ていきたい。3連覇のかかる東海大学はホームに昇格組の関東学院大学を迎えた。東海大は序盤からLO(ロック)ワイサケ・ララトゥブア(2年)、FB酒井亮治(3年)らのトライでリードを広げた。関東学院大もHO(フッカー)岡輝剛(4年)がトライを返すなどしたが、東海大が21-10で前半を折り返した。

後半も東海大優位は変わらず、MOMに選ばれたLOララトゥブアが2トライを重ねて、ハットトリックを達成する活躍を見せ、52-24で勝利した。関東学院大は後半、キャプテンWTB萬田開人(4年)、HO岡がトライを返すのがやっとだった。

昨年2位と躍進した日本大学は、ホームに昨年最下位だった中央大学を迎えた。前半は日本大がWTB水間夢翔(2年)、NO8シオネ・ハラシリ(3年)がトライを挙げれば、中央大も1年生FB山田翔平、CTB綿引寛人(4年)がトライを挙げて、中央大が14-12とリードして前半を折り返す。

後半2分、レッドカードで日本大のNO8ハラシリが危険なプレーのためレッドカードとなり、中央大にペナルティトライが与えられて21-12。さらに数的有利となった中央大は6分、1年生のWTB下村寛太がトライを挙げて28-12とリードする。

しかし、14人となった日本大がWTB水間の2トライなど3トライを挙げて後半37分に逆転に成功、33-28で逆転勝ちした。ハットトリックを達成したWTB水間がMOMに選ばれた。

昨年3位の流通経済大学はホームで法政大学と対戦した。法政大がCTB有田闘志樹(3年)のPGで成功する。ただ前半の中盤以降、流通経済大のペースとなり、CTBヴィリアメ・タカヤワ(3年)、キャプテンFL坂本侑翼、PR小川寛大(ともに4年)がトライを重ねて、21-3で前半を折り返す。

後半はなかなか得点が動かず、30分、やっと流通経済大がSH野村悠(3年)のトライで28-3と突き放す。法政大も最後にWTB斉藤大智(4年)がトライを挙げるものの、そのまま流通経済大が28-10でノーサイド。MOMには流通経済大のキャプテンであるFL坂本が選出された。

昨年4位の大東文化大学は、5位だった専修大学と対戦した。前半はお互いに点の取り合う展開となった。モール、スクラムとFWが奮闘していた専修大がHO小栗冬雅(4年)、1年生のWTB飯塚稜介、WTB花田悠太朗(4年)がトライを重ねて22点を挙げた。大東文化大もHO酒木凜平(3年)、1年生CTBペニエリ・ジュニア・ラトゥがトライを挙げるが、専修大が22-19とリードして前半を折り返した

後半は拮抗した状況が続き、なかなか得点が動かない状況が続く。やっと後半40分、専修大のNO8原健将がトライを挙げて29-19と突き放し、専修大が勝利した。MOMには専修大NO8原が選ばれた。なお、専修大が大東文化大に勝利したのは1996年以来24年ぶりとのこと。

◆関東大学リーグ戦 開幕戦結果
・東海大学 52-24 関東学院大学 MOM:LOワイサケ・ララトゥブア(東海)
・日本大学 33-28 中央大学 MOM:WTB水間夢翔(日本)
・流通経済大学 28-10 法政大学 MOM:FL坂本侑翼(流通経済)
・専修大学 29-19 大東文化大学 MOM:NO8原健将(専修)

◆10月10日(土)

【リーグ戦】
・13:00 日本大学 vs. 関東学院大学 @関東学院大G(無観客)

◆10月11日(日)

【対抗戦】
・13:00 日本体育大学 vs. 慶應義塾大学 @慶應義塾大G(無観客)
・13:00 筑波大学 vs. 帝京大学 @帝京大G(無観客)
・13:00 明治大学 vs. 青山学院大学 @明治大G(無観客)
・13:00 立教大学 vs. 早稲田大学 @早稲田大G(無観客)

【リーグ戦】
・11:00 大東文化大学 vs. 法政大学 @流通経済大第2G(無観客)
・13:00 中央大学 vs. 東海大学 @東海大G(無観客)
・13:00 専修大学 vs. 流通経済大学 @流通経済大G(無観客)

文/写真:斉藤健仁

斉藤健仁

斉藤 健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント

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