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2017年は優勝するなど、近年、東海大学、流通経済大学と並んでリーグ戦の「3強」の一角を占めていた「モスグリーン軍団」こと、大東文化大学。ただ、昨年は東海大、流通経済大だけでなく、2位に躍進した日本大学、拓殖大学にも敗戦。4敗で4位となって大学選手権出場を逃してしまった。
近年、スクラムが強いチームの1つとして知られており、昨年もスクラムを押すことを前提にチームを作っていたため、押されたときに対応できなかったことや、ゲームコントロールが上手くできなかったことなどが反省点として挙げられたという。
今年は昨年の反省を踏まえつつ強化しており、大東文化大が狙うはリーグ戦での復活優勝であり、そして大学選手権ではベスト4以上を視野に入れている。
チームを率いて2年目となるOBの日下唯志監督が「プレーでも練習でも見本になる」と主将として選んだのは、3月には7人制ラグビー日本代表にも選出されたスピードが武器のSH(スクラムハーフ)南昂伸(4年)だった。
日下監督が「今シーズンは、スピードあるランナーがいるのでFW(フォワード)、BK(バックス)バランスよく、チャンスがあればBKで仕掛けたい」と話していたが、その中心の担うよう期待されたのがSH南主将というわけだ。南主将の脇を支える副将には接点で身体を張るLO(ロック)呉山聖道、FB(フルバック)鈴木匠(ともに4年)が就いた。
モスグリーン軍団を率いる南主将
SH南主将は「自分は言葉でみんなを引っ張れないので、行動力、プレーで示したい。副将の呉山と鈴木は言葉がうまく、説得力があるので(自分を)補えている。グラウンドだけでなく、普段の生活から当たり前のことを当たり前にやってリーダーシップをとっていきたい」と話した。
今シーズンのスローガンは「ONE TEAM」と定めた。2019年のラグビーワールドカップで躍進した日本代表も使用した言葉でもある。「部員全員が目標に向かって同じ方向に頑張っていくことを目指す」という意味を込めたという。
BKを見てみるとSH南主将を筆頭にBKに走力の高いタレントが多いため、セットプレーを起点にしつつ、しっかりとボールを動かせば攻撃的なラグビーを見せることができよう。中でも日下監督が「BKをリードする立場として急成長中」と目を細めるのが、SO(スタンドオフ)落和史、SO/FB青木拓巳(ともに2年)の2人である。
他にもハードなランがウリで中心選手の1人、CTB(センター)シオペ・ロロ タヴォ(4年)、スピードスターのWTB朝倉健裕(3年)らもいる。新人では高校日本代表のSH稲葉聖馬(御所実業)、190cmの大型CTBペニエリ・ジュニア ラトゥらがメンバーに絡んできそうだ。
FWは大東文化大らしく、NO8(ナンバーエイト)サイモニ・ヴニランギ、LOシアレ・パウラ タモウア、PR/FLシオシファ・ラベマイ マウ トル(いずれも2年)、新人のLOスコット ケヌア ププンガトア レオネといった留学生選手たちのパワーは相手にとって驚異となろう。
また、ルーキーを見ると國學院栃木出身でスクラムの強いPR藤倉大介、大阪桐蔭出身の身長196cmのLO新屋快、御所実業出身の突破力に長けたFL/NO8西林勇登、秋田中央出身のSO小田嶋生吹、WTB佐藤亮吾らも加わり、層は厚くなった。
伝統的に強いスクラムだけでなく、SH南主将、CTBロロ タヴォ、WTB朝倉らを中心としたBKでトライを取り切りたい。南主将も「BKは昨年とあまりメンバーが変わらず、ポテンシャルの高い選手も入ってきて自信があります。スクラムを安定させて、BKで展開するラグビーがしたい」と意気込んだ。
南主将は「昨年負けたチームには勝ちたい」と言うように、リーグ戦では東海大、日本大、流通経済大といった中盤から後半で対戦するチームをターゲットにしている。まずはチーム一丸となってFW、BK関係なくボールを動かす攻撃的ラグビーで開幕から白星を重ね、強豪との対戦が続く中盤以降へと調子を上げていきたい。
文/写真:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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