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ブランビーズが戴冠
7月に開幕したオーストラリア5チームによる国内大会「スーパーラグビー2020 オーストラリア」が9月19日(土)、ついに決勝戦を迎えた。
まずはコロナ禍と戦いながら大会を運営してきた関係者、熱戦を届けてくれた5チームの選手、スタッフに感謝したい。
両軍の出場メンバーには、9月13日に発表された44名の新生ワラビーズ(オーストラリア代表)がずらり。両軍合わせて23名が代表に選ばれたが、全員がファイナルの舞台に登場した。
ブランビーズの代表メンバーは12人で、そのうちスタメン出場は9人。フロントロー(FW第1列)は全員がワラビーズ。
PRスコット・シオ、PRアラン・アラアラトア、HOフォラウ・ファインガアだ。強力なキャリアーであるNO8ピート・サムもスタメンも飾った。
バックスでは、SHジョー・パウエルと弱冠20歳のSOノア・ロレシオがハーフコンビを組み、CTBイラエ・シモネ、WTBトム・ライト、FBトム・バンクスも先発した。
ブランビーズは層が厚く、代表メンバーのPRジェームズ・スリッパー、FLロブ・ヴァレティニ、SHニック・ホワイトの3人は途中出場となった。
敵地キャンベラのGIOスタジアムに乗り込んだレッズは、ワラビーズの11人全員が先発を果たした。
フォワードでは、PRタニエラ・トゥポウ、HOブレンドン・パエンガアモサ、LOラカン・サラカイアロト。
さらにレッズは先発バックロー(FW第3列)が全員ワラビーズで、平均年齢は21歳。
ファイターで22歳のFLリアム・ライト主将、ジャッカルが得意な21歳のFLフレイザー・マクライト、突進力に優れた二十歳のNO8ハリー・ウィルソン。
レッズもハーフ団は代表選手。22歳のSHテイト・マクダーモットと、円熟期に入った30歳のSOジェームズ・オコナーだ。
さらにはCTBハンター・パイサミ、WTBフィリポ・ダウングヌ、ダイナミックなランが魅力のWTBジョーダン・ペタイアが名を連ねた。
この日用意された観戦チケットは、新型コロナの感染防止対策により6000枚に限定された。
しかし試合前に完売し、ホームであるブランビーズのPRアラアラトア主将は声援の大きさを「満員のスタジアムのように感じた」と表現した。
そして火蓋の落とされたファイナルでは、ブランビーズが優勢に試合を進めた。
レッズはFLマクライトが2連続で反則を犯し、ブランビーズは二十歳のSOロレシオがPG(ペナルティゴール)で3点先制。
レッズもPGを1本返すが、ブランビーズは前半17分、最大の武器であるラインアウトモールから豪快にトライ。
さらにブランビーズは同26分、SOロレシオの巧みなステップからWTBアンドリュー・ミュアヘッドがインゴールへ。2連続トライで15-3と突き放した。
大舞台で落ち着きたいレッズだが、後半10分にWTBダウングヌがスピアタックルでシンビン(10分間の一時退場)になるなど、規律に苦しんだ。
「私たちの規律は悪く、高い代償を支払うことになりました」(レッズ・FLライト主将)。
レッズは前半31分、乱れた局面から20歳のWTBペタイアが突破し、同じく20歳のNO8ウィルソンのトライを演出。
ワラビーズの次世代スター候補がそろって躍動し、さらにPGを追加。レッズは2点差(13-15)に詰めて前半を折り返した。
しかし、ブランビーズの20歳も輝きを放った。
ワラビーズの司令塔候補であるSOロレシオは後半5分、大外へのキックパスでチャンスを演出。その後、FBバンクスのトライが生まれ、ゴール成功でリードは9点(22-13)に。
さらにSOロレシオは後半15分にドロップゴールも成功させ、スコアを淡々と25-13にした。
レッズもPGを加えていた後半24分、ワラビーズ選出のSHマクダーモットが独力で突破してトライアシスト。
スーパーラグビー2020 オーストラリア
【ハイライト】決勝 ブランビーズ vs. レッズ
ついに5点差に迫ったレッズだが、後半35分、敵陣ラインアウトのチャンスで痛恨のミス。この日のレッズはスクラムこそ優勢だったが、成功率66.7%のラインアウトは痛手となった。
最終盤、レッズは相手ボールスクラムでも気迫のプッシュを見せるが、ブランビーズが辛くもボールを蹴り出し、28-23のままノーサイド。
2004年のスーパーラグビー王者から、実に16年ぶりのタイトル獲得を果たした。
敗れたレッズだが、若手が大きく成長して飛躍のシーズンとなった。FLライト主将は「仲間の一人ひとりを信じられないほど誇りに思っている」と語った。
一方、歓喜に包まれたブランビーズ。
指揮官のダン・マッケラーHC(ヘッドコーチ)は、プロップながら80分間出場させたPRアラアラトア主将を「彼の落ち着き、リーダーシップが必要でした。大きな役割を果たしてくれた」と称えた。
また、マッケラーHCは、勝利に寄与した20歳のSOロレシオについて、オーストラリア代表の10番として起用すべきかと訊ねられ「そう思う。彼(ロレシオ)を経験のある選手で囲めば危険なプレイヤーになる」と語った。
また、ベテランのSHホワイトは、久しぶりのタイトル獲得を「16年待っていた」と歓喜。
そして優勝キャプテンとなったPRアラアラトアは、「仲間たちは多大な努力をしました」とチームを誇った。
文:多羅正崇
多羅 正崇
スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。
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