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上り調子のレッズ、今季最多得点。 ウェスタン・フォースを下しプレーオフ進出決定 オコナーは3チームで各100得点のスーパーラグビー新記録達成
村上晃一ラグビーコラム by 村上 晃一スーパーラグビー2020 オーストラリア 第8節-1 フォース vs. レッズ
レッズの勢いが止まらない。オーストラリアの「スーパーラグビーAU」は、上位3チームによるプレーオフ進出に向けて順位争いがクライマックスを迎えた。第7節(8月15日)でレベルズをノートライに抑え、19-3で勝利したレッズは第8節(8月21日)、クインズランド州ゴールドコーストのシーバス・スーパースタジアムでウェスタン・フォースと対戦、57-5という快勝でプレーオフ進出を決めた。
試合は、レッズSOジェームズ・オコナーのキックオフで始まった。まずは、レッズがWTBフィリポ・ダウングヌの快走でゴールに迫るも、フォースが好タックルでしのぐ。前半7分、フォースは比較的簡単な位置でPGチャンスを得たが、タッチキックを選択し、ラインアウトから連続攻撃を仕掛ける。10フェイズにも及ぶ長い攻撃だったが、最後は、レッズがLOルカーン・サラカイアロト、FLフレイザー・マクレイトがダブルタックルでピンチを防いだ。鉄壁のディフェンスは前節と変わらなかった。
スピーディーな攻防が続いた前半15分、レッズはフォースのゴール前5m左でラインアウトを得てモールを押し込む。これは止められたが、SHテイト・マクダーモットのパスをオコナーが少し右に開きながらキャッチして、素早く左側に走り込んできたダウングヌにパスし、軽やかなステップでタックルを交わしたダウングヌが先制トライをあげる。その後、19歳のジョシュ・フルーク、ハミッシュ・スチュワートという両CTBが相次いで負傷退場したレッズだが、前半29分、ゴール前の右ラインアウトのモールを起点に連続攻撃を仕掛け、最後は、オコナーからダウングヌにパスが渡って2つ目のトライをあげた。スコアは、12-0。
レッズは、交代出場のブライス・ヘガティーとオコナーで、SO、CTBを務め、WTBで先発していたジョーダン・ペタイヤを本来のアウトサイドCTBに配置してフロントスリーを編成。この3人でチャンスを作っていく。37分、オコナーがPGを追加して15-0として前半を終了した。
後半は、フォースがモールを押し切ってHOアンドリュー・レディーがトライし、15-5となったが、これがフォースの唯一の得点となった。前節から鉄壁の防御を見せるレッズは、リアム・ライト、マクレイトの両FLが相手ボールを奪い、スクラムでもPRタニエラ・トゥポウを軸にプレッシャーをかけて反則を誘う。後半10分過ぎ、流れは決定的になった。15分、オコナーの右手一本のオフロードパスが決まってマクレイトがトライ。19分には、左タッチライン際でできたラックから、マクダーモットが左ショートサイドを駆け抜けてトライ。29-5と突き放す。マクダーモットはその後もアグレッシブなプレーでチームの勢いを引き出し、23分には、PKからの速攻で2人、3人とタックルをかわして約40mを走り切ってトライを追加した。
圧巻だったのは29分のオコナーのトライだ。フォースのカウンターアタックをターンオーバーすると、自陣から攻め、FBジョック・キャンベル、ダウングヌ、トゥポウとつないでフォース陣へ。トゥポウは128kgの巨体でぐんぐん加速し、ダンスするようにステップを切ってディフェンダーを引き付けてパス。マクレイトが大きくゲインし、最後はオコナーがトライを決めた。スクラムで強力なプッシュを見せながら、後半29分に軽やかなステップで正確なパスを送るトゥポウは超人的だ。アメリカのマーベルコミックに登場するヒーロー雷神ソーにちなんで「トンガン・ソー」と呼ばれるのがうなずける活躍だった。
最終的には8トライを奪う大差勝ち。若い選手が多いチームが自信をつける戦いだったのは確かだろう。また、卓越したスキルでチームをけん引するオコナーは、レッズでの個人得点が100を越え、フォース、レベルズ、レッズと3チームでそれぞれ100得点を達成。スーパーラグビー初の快挙となった。
この勝利によって、レッズは4勝2敗1分けの勝ち点21となり、2位以上が確定。翌日、ワラターズを破ったブランビーズ(5勝1敗、勝ち点23)とともに、プレーオフ進出が決まった。残りの一枠は、ワラターズとレベルズで争うことになる。レッズは、次節は休みで、第10節はブランビーズと対戦する。ブランビーズが第9節でフォースと対戦するため、最終節で勝っても勝ち点で首位に立つことはできないかもしれないが、プレーオフを見据えて大切な戦いになる。
【ハイライト スーパーラグビー2020 オーストラリア 第8節
フォース vs. レッズ
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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