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無観客となったフォーサイス・バー・スタジアム
6月13日(土)に開幕した「スーパーラグビー2020 アオテアロア」は、先週クルセイダーの優勝が決まり、8月15・16日に最終節を迎えた。しかし、直前にニュージーランド国内で、102日ぶりに新型コロナウィルスの感染者が出てしまったため、開催に大きな影響を及ぼすことになった。
新型コロナウィルスの感染者が出た北島のオークランドで行われる予定だった、16日のブルーズvs.クルセイダーズの試合は中止となったなり、引き分け扱いで両チームに勝ち点2がそれぞれ与えられることになった。
そして15日のハイランダーズvs.ハリケーンズ戦が開催された南島オタゴ地方のダニーデンは、100人以下の観客の入場が許可されるレベル2となったため、無観客で開催された。さらに、アウェイのハリケーンズが、当日中にウェリントンに帰れるよう、キックオフが現地時間の午後7:05から、午後3:05に前倒しされ開催された。
ハイランダーズは、最終戦まで最下位のチーフス以外のチームから勝ち星を上げることができでおらず、ホーム最終戦でなんとか3勝目をあげて締めくくりたいところだった。
メンバーは前節、途中まで善戦したクルセイダーズ戦と同じだった。なかでも共同キャプテンのひとりHO(フッカー)のアッシュ・ディクソンは100キャップ目、そしてもう1人の共同キャプテンSH(スクラムハーフ)アーロン・スミスは、チーム歴代2位となる150キャップの節目を迎えた。
一方、アウェイのハリケーンズは、開幕戦から2連敗の後は、第7節にアウェイでクルセイダーズに34-32と競り勝つなど、5連勝で3位につけており、勝利すればブルーズを抜いて2位となる。
メンバーでは共同キャプテンの1人で、オールブラックスのSHのTJ・ペレナラが夫人の出産のため欠場し、昨年サンウルブズでプレーしたジェイミー・ブースが今大会初めて先発。
もう1人の共同キャプテンのHOダン・コールズは、ハリケーンズのFW(フォワード)としては最多の119キャップとなる。また、宗像サニックスでもプレーしたPR(プロップ)ベン・メイはスーパーラグビー98キャップとなるこの試合で現役を退くことが決まっていた。
「アオテアロア」で初の無観客試合は、ホームのハイランダーズボールでキックオフされた。アタックでボールを保持するのはハイランダーズだったが、ハリケーンズの激しく前に出るディフェンスの前に、いい形を作ることができない。
前半4分、ハリケーンズは相手のノックオンを誘い、そのボールを左に大きく展開。タッチライン際をFB(フルバック)ジョーディー・バレットがゲインし、SHブースへとつないで、最後は右サイドのWTBヴィンス・アソがフィニッシュ。FBバレットのゴールも決まり、7-0と先制に成功する。
すぐにハイランダーズも反撃。相手反則から敵陣奥に攻め込み、スクラムを起点にFBミッチェル・ハントが縦に出て、最後は一時的に出場していたWTBナニ・プニヴァイが左中間にトライ。SO(スタンドオフ)ジョシュ・イオアネがゴールを決めて7-7の同点に追いつく。
その後は、勝てば2位が決まるハリケーンズの時間帯となる。ただ19分、23分とトライかに思われたが、TMO(テレビマッチオフィシャル)の末、タッチを踏んでいたり、スローフォワードが理由でトライとはならなかった。
やっとトライとなったのは29分だった。相手ノックオン後、ハリケーンズが自陣から攻め込み、CTB(センター)ピーター・ウマガ ジェンセンがゲインして、内をフォローしたSHブースへ。ブースが個人技を見せて中央にトライ、ゴールも決まって14-7とリードする。
ただ、ハイランダーズも負けじと33分、相手反則からゴールを狙わずタッチへ。ゴール前ラインアウトから、今大会好調のドライビングモールで押し込んで、最後はHOディクソンが左中間に押さえてトライ。ゴールも決まって14-14と追いつく。前半はそのまま1同点で折り返した。
後半、モメンタムを握ったのはホームのハイランダーズだった。後半3分にSOイオアネがPG(ペナルティゴール)を沈める。さらに6分、近場で連続攻撃を見せて、WTB(ウィング)チョナ・ナレキのオフロードパスを受けたCTBマイケル・コリンズが中央に押さえて24-14とリードする。
11分、今度はラインアウトからアタックしたハリケーンズのトライと思われたが、TMOの末、オブストラクションの判定により、この試合3度目のノートライで得点を挙げることができなかった。
すると再び流れはハイランダーズへ。16分、相手ゴール前でラインアウトのチャンスを得て、再びモールで押し込む。相手のNO8(ナンバーエイト)アーディ―・サヴェアが横から入り、トライを妨害したとしてペナルティトライが認められ31-14と大きくリードする。またハリケーンズのサヴェアはシンビン(10分間の一時的退場)となる。
数的不利となりながら、15点差を追うハリケーンズは前掛かりで攻め込む。しかし21分、逆にハイランダーズにカウンターラックを許し、右サイドのこぼれ球をSHスミス、FBハントとつながれ、ハントが右サイドを60m独走しトライ。38-14として、ほぼ勝負を決めた。
ハリケーンズも33分、ゴール前のスクラムを起点にSOジャクソン・ガーデン バショップのグラバーキックを、相手のFBハントがインゴールで抑えきれず、こぼれたボールをCTBウマガ ジェンセンがグラウンディングする。だが、試合はそのままハイランダーズが38-21で快勝。勝ち点4を重ね、ハリケーンズは結局、ブルーズを逆転し、2位となることができなかった。
最後にホームでの勝利という形で大会を終えたハイランダーズのアーロン・メイジャーHC(ヘッドコーチ)は、「ハーフタイムにゲームにインパクトを与えるように話し、後半はチャンスを作ることができた」。
「(ハイランダーズを評価していなかった)多くの人が間違っていたことを証明できた。優れたコーチ陣と有能なスタッフ、それに素晴らしい選手たちのパフォーマンスのおかげで今シーズンを終えて、ファンもまた後押ししてくれるだろう」と胸を張った。
共同キャプテンのHOディクソンは、「(初めて無観客で)流れるDJの音楽も、ラインアウトのコールもはっきりと聞こえて、なんとも不思議な感じだったが、徐々にそれを楽しむようになっていた」。
スーパーラグビー2020 アオテアロア第10節
【ハイライト】ハイランダーズ vs. ハリケーンズ
「簡単な試合じゃなかったが、このチームはFWでボールを動かし始めれば、SHアーロン(・スミス)がいろんなオプションを作り出してくれる。素晴らしい戦いだった」と笑顔で振り返った。
敗れたハリケーンズのジェイソン・ホランドHCは、「前半は我々の方が良かったが、いろいろあって、トライが結局取れなかった。つまりはより良いチームが勝利したということだろう。後半の最初の方で、ハイランダーズに勢いがついたら止めることができなかった」。
「クイックボールでプレッシャーをかけてくるのはブラウニー(ハイランダーズのトニー・ブラウン アタックコーチ)とアッザ(メイジャーHC)のお得意のスタイルだ」と落胆しつつ、「次のシーズンが始まるまで数か月あるので、改善していきたい」と先を見据えた。
共同キャプテンのHOコールズは、大会全体を振り返って「ニュージーランドのラグビーへの情熱を取り戻せたと思う。たくさんの観客の中でこの大会に参加できたことを誇りに思う」と話した。
◆アオテアロア最終順位
1位 クルセイダーズ 勝ち点30(6勝1敗)
2位 ブルーズ 勝ち点24(5勝2敗)
3位 ハリケーンズ 勝ち点21(5勝3敗)
4位 ハイランダーズ 勝ち点14(3勝5敗)
5位 チーフス 勝ち点5(0勝8敗)
クルセイダーズの優勝で幕を閉じたニュージーランド国内5チームによる「スーパーラグビー2020 アオテアロア」は、オールブラックスの土台を作る「ラグビー王国」ニュージーランドのラグビーの強さを見せた大会となった。
来シーズンのスーパーラグビーのフォーマットがどうなるかは今のところ未知数だが、ニュージーランドのライバル5チームがしのぎを削り、世界中のラグビーファンを楽しませてくれることは間違いない
文:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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