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多くの局面で優勢となり、地力で勝った。
ニュージーランド(NZ)版スーパーラグビー(SR)「アオテアロア」は第8節。
8月2日(日)は、2勝3敗(4位)のハイランダーズが、地元ダニーデンに4勝2敗(2位)のブルーズを迎えた。
長らく低迷していたブルーズは、ハイランダーズの本拠地であるフォーサイスバー・スタジアム(ダニーデン)で、一度も勝ったことがなかった。
ただ優勝の可能性が残るブルーズは、2003年以来17年ぶりのタイトル奪還へ向けて充実していた。ディフェンスのアティチュード(態度)も緩みがなかった。
ケガを押して72分間出場した仲間の存在は、チームの士気高揚にひと役買っていたはずだ。
ブルーズで2年目のレオン・マクドナルドHC(ヘッドコーチ)は、先発スタンドオフにNZ代表のスター、SOボーデン・バレットを起用した。
ただ試合後にマクドナルドHCが明かした事実は、バレットがチーフス戦で肋骨を痛め、ハイランダーズ戦はケガを押しての強行出場だったことだ。
しかし勝ち点2差で首位クルセイダーズ(勝ち点19)を追いかける重大局面に、バレットの力は必要だった。
SOバレットも期待に応え、コンバージョンキックこそ不調だったものの、的確なハイパントやクロスキックでトライを演出。72分間出場した。
この日のブルーズはフロントロー(FW第1列)も躍動。ブルーズの先制トライはほとんどスクラムトライと言えるものだった。
前半7分、ブルーズのフォワード8人が、敵陣ゴール前のマイボールスクラムで猛プッシュ。
押しきったところでNO8アキラ・イオアネが右へ持ち出し、相手ウイングをなぎ倒してトライを奪った(ゴール不成功)。ただ功労者は間違いなく、直前のスクラムで勝利したブルーズのフォワード陣だったろう。
ブルーズの勢いは止まらず、先制トライから3分後、SOバレットのキックパスをWTBケイリブ・クラークが捕球&オフロードパス。SHフィンレー・クリスティーの鮮やかなトライが生まれた。12-0
ただブルーズは、反則数が玉に瑕(きず)。この日は14回のペナルティを犯した(ハイランダーズは8回)。
前半のブルーズは31分、40分にも1トライずつを追加したが、ハイランダーズはブルーズの反則につけこんで、大崩れせず。
前半20分には相手反則による敵陣ラインアウトモールから、この日のチーム初トライ。さらにブルーズの反則から、3本のPG(ペナルティーゴール)を追加した。
前半のトライ数は4対1でブルーズが圧倒。しかしスコアは8点差(24-16)に留まった。
ただブルーズは後半も集中力が高かった。
後半3分にはSOバレットが絶妙なハイパント。チェイスしていた味方3人がターンオーバーを勝ち取った。
ここから、さらにSOバレットがロングパス。エリア外側で2本のオフロードパスをつなぎ、最後はフォローしていたSHクリスティーがチーム5トライ目。29-16
そして後半15分には息を呑むビッグスクラムが。
ブルーズは敵陣ゴール前で相手ボールスクラムを猛プッシュ。相手8人をめくりあげるような猛進を見せ、豪快にターンオーバー。
このペナルティで難なくPGを決めて、ブルーズのリードはついにダブルスコア(32-16)となった。
ハイランダーズは後半23分など、敵陣ゴール前ラインアウトの好機もあったが得点できず。同36分にはFLシャノン・フリゼルが気を吐き1トライを奪ったが、届かなかった。
ブルーズは32-21で今季5勝目(2敗)。2位をキープして優勝戦線に生き残った。
ただブルーズの次週はBYE(休みの週)となり、ここで2試合を残している首位クルセイダーズが勝てば、最終節でのブルーズとの直接対決を待たずにクルセイダーズの優勝が決まる。
果たして優勝争いの行方は――。まだまだニュージーランドの最高峰ラグビーから目が離せない。
【ハイライト】 スーパーラグビー2020 アオテアロア第8節
ハイランダーズ vs. ブルーズ
文:多羅正崇
多羅 正崇
スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。
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