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観る者を魅了し続けるスーパーラグビー「アオテアロア」は、第7節に入る。唯一全勝でひた走るクルセイダーズは、一週の休みを経て、地元クライストチャーチで3勝2敗のハリケーンズを迎え撃つ。ハリケーンズは、前節、ブルーズを29-27と逆転で下した。先制トライは圧巻だった。キックオフ直後から闘志むき出しのプレーを見せていたCTBンガニ・ラウマペが図抜けた突破力を見せつけたのだ。
昨季までのチームメイトでブルーズのFBボーデン・バレットを一対一で抜き去り、左タッチライン際を走り切って最後はブルーズのSOオテレ・ブラックを吹っ飛ばしてのトライ。ラウマペは、この試合で17回のボールキャリー(ボール持って突進)で160mをゲイン。FBジョーディー・バレット、SHのTJ・ペレナラとともにチームをけん引した。
対するクルセイダーズは、抜群の安定感を見せている。第5節のブルーズとの全勝対決でも、前半は苦しんだが、後半、SOリッチー・モウンガの活躍もあってぐいぐいと流れを引き寄せ、後半投入されたSHミッチェル・ドラモンド、WTBウィル・ジョーダンのトライで突き放した。ブルーズに6点のリードを奪われた直後からのペースアップは別のチームのようで、ブルーズは一気に飲み込まれた。モウンガを軸にハリケーンズのディフェンスをどう崩すか。
クルセイダーズとハリケーンズは、今大会の第2節で対戦し、アウェイのクルセイダーズが39-25で勝った。ボールの支配率ではハリケーンズが優っていたが1トライしか奪えず、クルセイダーズはWTBセヴ・リース、CTBジャック・グッドヒューらが5トライをあげている。この試合も含めて両者の対戦成績ではクルセイダーズが6連勝中。クライストチャーチでハリケーンズが最後に勝ったのは、2016年7月16日のこと。35-10と快勝しているが、このシーズンはそのままハリケーンズがスーパーラグビー初優勝を飾っている。
今季の比較では、クルセイダーズが1試合平均3.5トライをあげているのに対して、ハリケーンズは「2.8」。ペナルティーを犯した回数の平均は、「9.0」対「12.6」、スクラムの成功率は、「100%」対「88%」と、これらの数字ではクルセイダーズが優位だ。プレースタイルは、クルセイダーズが防御背後への戦略的キックを多用するのに対して、突破型のボールキャリアーが多いハリケーンズはボールをキープして攻めたいチームだ。果たしてその特徴を効果的に発揮できるのはどちらか。ディフェンスでも粘り強いクルセイダーズに勝つためには、ハリケーンズがトライを獲るまで我慢強く攻め切れるかどうかだろう。
攻撃面の個人スタッツ(統計数値)で目立つ2人といえば、ここまで5トライをあげてトライランキング首位に立つウィル・ジョーダン(クルセイダーズ)と、タックルを振り切って突破した回数が25回、クリアにディフェンスラインを突破した回数が12回と、いずれもリーグNO1のンガニ・ラウマペ(ハリケーンズ)だ。特にラウマペはボールを持てば必ずパワフルに突進する。クルセイダーズのディフェンダーとの戦いは見応えがありそうだ。また、クルセイダーズのバイスキャプテンであるFBデイヴィッド・ハヴィリが怪我で戦線離脱したため、ジョーダンはFBで先発する。
クルセイダーズには、PRジョー・ムーディー、HOコーディー・テイラー、LOサム・ホワイトロック、FLトム・クリスティー、ハリケーンズは、HOアサフォ・アウムア、FLデュプレッシー・キリフィ、NO8アーディー・サヴェアとFWにもオールブラックス、あるいはオールブラックスを狙う若手が揃っており、FW戦もタフになるだろう。オールブラックスで69キャップを持つハリケーンズHOダン・コールズは怪我のため大事をとって欠場する。クルセイダーズは勝ち点18で、2位のブルーズの13点と差をつけており、ハリケーンズに勝てば優勝に向かって大きく前進することになる。
文:村上晃一
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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