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最後は14人だったハリケーンズを崩しきれなかった。
6月開幕のニュージーランド(NZ)版スーパーラグビー「アオテアロア」は第4節。
7月5日(日)はNZハミルトンのFMGスタジアムで、開幕3連敗の地元チーフスが、開幕2連敗のハリケーンズと対戦。
ホームのチーフスファンは待望の大会初勝利を期待したはずだが、厳しい現実を突きつけられた。
まだ勝ち星のない両チームによる一戦は、前半5分にスコアボードが動いた。
アウェーのハリケーンズは敵陣ゴール前スクラムを迎えると、サインプレーで右大外に数的優位をつくり、WTBコーバス・ファンダイクが難なくグラウンディング。7点を先制した。
地元チーフスも前半17分にFBダミアン・マッケンジーのPG成功で3点追加。
このまま攻勢をかけたいチーフスは、前半23分頃から2度のスクラム・ペナルティ奪取で敵陣へ猛攻。
ボールを保持して13次攻撃を仕掛けたが、相手WTBベン・ラムのジャッカルなどで得点機を失う。チーフスは敵陣に約10分間いたが、結局は前半32分頃にターンオーバーとなって自陣へ後退してしまった。
一方、反転攻勢に転じたハリケーンズは前半36分にPGで加点すると、その2分後だった。
NZ代表のHOデイン・コールズ共同主将のインターセプトから敵陣へ入ると、もう一人の共同主将である9番、TJペレナラの巧みなパスさばきから、最後はFLデュプレッシー・キリフィが防御をこじ開けチーム2トライ目。17-3
さらに前半終了前にはFBジョーディー・バレットが、ハーフウェイライン手前から約60mの特大PGを決めてみせ、ハリケーンズが20-3とリードして後半へ向かった。
今季より新HC(ヘッドコーチ)に元ウェールズ代表指揮官の名将ウォーレン・ガットランドを迎え、ボールを積極的に保持しているチーフス。
第3節終了時でのボールキャリー回数(390回)、ランメーター(1132)はリーグ1位だが、トライ数は最下位(3)。
そしてこの日も決定力不足は変わらず。ハリケーンズのファーストレシーバーに対するプレッシャ-、ボールを狙ったチョークタックルに苦戦し、攻撃を重ねるたびにむしろ苦しくなった。
チーフスには再三チャンスがあった。
後半3分にPG加点で14点差(6-20)とすると、ハリケーンズのLOスコット・スクラフトンが反則の繰り返しによりシンビン(10分間の一時退場)に。
相手のシンビンという好機が訪れたが、チーフスは12次攻撃の末にハンドリングミスで後退するなど、相手の好守のみならず連係にも精彩も欠き、インゴールが遠かった。
結局は14人のハリケーンズ相手に得点を重ねられなかった上、後半20分には逆に途中出場した元サンウルブズのSHジェイミー・ブースの好走から、最後はふたたびWTBファンダイクにトライ(ゴール失敗)を決められた。6-25
ハリケーンズはディフェンスの狙いも的中し、アタックも好調。勝利は必至と思われたが、迎えた後半24分だった。
敵陣ゴール前でペナルティをもらったチーフスは、FBマッケンジーが虚を突いてクイックリスタート。
ここでハリケーンズのLOスクラフトンがオフサイド位置でタックル。反則行為でトライを防いだとして認定トライ(7点)となり、スコアは13-25に。
さらにLOスクラフトンに2枚目のイエローカードが出され、累積で退場となった。
大会新ルールにより退場の20分後の代替選手の出場はできるが、それが可能となる時間帯はオーバータイムの85分前後。ハリケーンズは試合時間の残り約15分を14人で戦うことが決定的となった。
しかしここから14人のハリケーンズが奮闘。
15人のチーフスは屈辱を味わうことになる。
敵陣に攻め入ったチーフスだが、後半28分の決定機でNO8アーディー・サヴェアにジャッカルを食らい、目前だったトライを逃す。
後半36分には自陣からの果敢な攻撃で、SOアーロン・クルーデンの突破から右隅で1トライを返すが、FBマッケンジーがトライ後のコンバージョンを外し、残り約2分で7点(18-25)を追いかける展開に。
せめて同点に――。ボールを渡せないチーフスは自陣からアタックを仕掛けるが、残り1分を切ったところでノックオン。
ボールを保持したハリケーンズが時間を使い切って、25-18のままフルタイム。15人のチーフスは疲労困憊、14人のハリケーンズはアウェーで充実の大会初勝利を手にした。
ようやく大会1勝を挙げたハリケーンズは次戦、1勝2敗のハイランダーズと対戦する。
一方、開幕4連敗となったチーフスは休養週を迎える。英気を養い、第6節でのハイランダーズ戦で初勝利をめざす。
1週間の休養週でチーフスはどう変わるのか、もしくは――。名将ガットランドの手腕にますます注目したい。
文:多羅正崇
スーパーラグビー2020 アオテアロア第4節
チーフス vs. ハリケーンズ ハイライト
多羅 正崇
スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。
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