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6月13日(土)に開幕したニュージーランドカンファレンスの5チームで争う「スーパーラグビー2020 アオテアロア」は第4節を迎え、7月4日(土)は1勝1敗で3位につけるハイランダーズが、王者・クルセイダーズをホームのフォーサイス・バー・スタジアムに迎えた。
優勝戦線に残るためにも負けられないハイランダーズは、FW3名、BK2名変更して臨んだ。第1列は、PR(プロップ)ダニエル・レイナート ブラウンとジェフ・スウェイツ、オールブラックスのHO(フッカー)リアム・コルトマンの3人が今大会初めて先発した。
BKは、2試合連続で先発したルーキーのWTB(ウィング)サム・ギルバートが膝のケガで今季絶望的となり、替わってナニ・プニヴァイが入った。FB(フルバック)は先週、精彩を欠き、ほろ苦い先発デビューとなったオールブラックスセブンズ代表のスコット・グレゴリーに替わり、マイケル・コリンズが入った。
一方、開幕から2連勝中で、スーパーラグビー3連覇中のクルセイダーズは、プレータイムを増やすため、5人の先発を入れ替えた。
キャプテンはケガで今季絶望的となったLO(ロック)スコット・バレットに替わり、HOコーディー・テーラーが務める。
東芝のトッド・ブラッカダーHC(ヘッドコーチ)の息子であるFL(フランカー)イーサンは試合直前にメンバー外となってしまい、シオネ・ハビリが先発。22歳のFLトム・クリスティーは今大会初めて先発となった。
SH(スクラムハーフ)ミッチェル・ドラモンドが休養のブリン・ホールに替わって、オールブラックスの司令塔、SO(スタンドオフ)リッチー・モウンガとハーフ団を組んだ。
また、オールブラックのWTBジョージ・ブリッジを休ませ、代わりにレスター・ファインガアヌクが入り、前節でFBを務めて2トライを挙げたWTBウィル・ジョーダンが14番にシフトし、セブ・リースがベンチへ回った。FBは副キャプテンの1人、デーヴィッド・ハヴィリが務めた。
試合は約2万人の観客を集めてキックオフされた。ホームのハイランダーズはマイボールキックオフのボールをキープするなど気合いが入っていた。しかし、ミスや反則で得点に結びつけることができず、逆に前半10分、クルセイダーズにPG(ペナルティゴール)を決められ、0-3と先制されてしまう。
この後はクルセイダーズのペースとなり、15分、左タッチラインからのラインアウトを起点にWTBファインガアヌクがゲインし、その後、右に大きく展開し、最後はWTBジョーダンが右隅に押さえて8-0とリードを広げる。
だが、ハイラダーズも負けていない。20分、連続攻撃からFLシャノン・フリゼルがひとりでボールを持ち込みグラウンディング。SOミッチェル・ハントがゴールを決めて、7-8と1点差とする。
さらに24分、ハイランダーズはラインアウトのボールが乱れたが、そのボールをオールブラックス92キャップのSHアーロン・スミスがキャッチすると大きくゲイン。最後は右に展開してWTBナニ・プニヴァイが右隅に飛び込んでトライ。難しい角度のゴールをSOハントが沈めて14-8と逆転に成功する。
ただ、その後もクルセイダーズが敵陣でプレーする時間が長く、31分、35分とSOモウンガがPGを決めて、14-14と同点に追いつく。しかし、前半終了間際の40分、ハイランダーズはSOハントがPGを成功させて、ハイランダーズが17-14と3点リードして折り返した。
後半も拮抗した状態が続いたが、10分にゲームは動く。クルセイダーズのFBハヴィリがラインブレイクして、最後はFLクリスティーが左隅にトライ。SOモウンガがキックを決めて21-17とクルセイダーズが再び逆転に成功する。
その後、ハイランダーズも17分にPGを沈めて、20-21と1点差に迫った。だが、クルセイダーズが後半の残り20分でスーパーラグビー3連覇中の強さをみせつける。
20分、ラインアウトでモールを押し込んだ後に、順目にアタックして最後はSHドラモンドから、途中交代のWTBリースにつながり、そのままトライを挙げて26-20とした。
それでも6点差と1トライ&1ゴールで逆転できる点差だったが、ハイランダーズにとっては相手のゴールラインが遠かった。
32分、クルセイダーズのSOモウンガがDG(ドロップゴール)を狙い失敗するものの、36分には16次に及ぶ攻撃を見せて、FLクリスティーがこの日2つ目のトライを挙げて、33-20とリードを広げた。
残り時間が少ない中、6点以上を取れば7点差以内の敗戦でボーナスポイントを獲得できるハイランダーズは果敢にアタックを見せる。だが、オフロードパスがつながらず、逆にクルセイダーズがカウンターのチャンス。
相手の隙を見逃さずWTBジョーダンがキックしたボールを自らキャッチし、そのまま50mほどを走りきってトライ。SOモウンガのゴールも決まって、終わってみれば40-20と王者がしっかりと勝利し、3トライ以上差のボーナスポイントも獲得した。
スーパーラグビー2020 アオテアロア
第4節 ハイランダーズ vs. クルセイダーズ ハイライト
開幕から3連勝を達成したクルセイダーズのスコット・ロバートソンHCは、「全部うまくいったよね?終盤にはいくつかの重要な局面があったが、私たちがラインブレークを止めたり、オフロードをシャットダウンしたり、そういうことの多くを私たちは早めに作ったが、彼らはそうじゃなかった。
ハイランダーズはフィジカルだし、パスも多く使ってくるし、9番のバリエーションも多く、本来はもっと幅のあるプレーをするはずなのに、今日は違った」と満足した様子で語った。
キャプテンを務めたHOコーディー・テーラーは「ハーフタイムのメッセージは、後半の試合を変えるために非常に重要だった。前半は少しやり過ぎて規律が崩れてしまった。でも私たちがもう少しきちんと遂行していけば、チャンスは訪れるだろうと思っていた。後半の選手たちの活躍には満足している」と笑顔を見せた。
一方、2連敗で1勝2敗と黒星先行となってしまったハイランダーズのアーロン・メイジャーHCは、「76分まで6点差で、でもいくつかの局面が違いを生んでしまった。後半、チョナ(・ナレキ)がボールを離さなかったことでトライを台無しにしてしまった。
27-26にできたのに、クルセイダーズにプレッシャーをかけられなかったので別のゲームになってしまった。いいプレーを長い時間できてチャンスもあったのに、最後で結果が変わってしまった。がっかりだ」と悔しさを隠さなかった。
ゲームキャプテンを務めたSHスミスも「ボールを保持し、プレッシャーをかけ、得点するクルセイダーズの能力が、最終的に私たちを上回った。前半は相手に大きなプレッシャーをかけられた。チャンスをものにしたが、後半はなかなか決められなかった」と肩を落とした。
3連勝で勝ち点14とし、同じく開幕3連勝のブルーズ(今週はBYEのため休み)を勝ち点で2つ上回り首位に立ったクルセイダーズ。次節は7月11日(土)に、ホームで、そのブルーズを迎える。
一方、1勝2敗で勝ち点5のハイランダーズは、7月12日(日)にアウェイでハリケーンズと対戦する。
次週の第5節は3連勝中のクルセイダーズとブルーズの激突という大一番を迎えると同時に、ブルーズに加入した元オールブラックスのレジェンド、SOダン・カーターが古巣との対決に出場するかどうかも世界のラグビーシーンの耳目を集めそうだ。
文:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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