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【ハイライト動画あり】レッズがワラターズ戦の連敗をストップ。新ルール導入でも注目を集めたスーパーラグビー2020 オーストラリア開幕戦
ラグビーレポート by 斉藤 健仁ニュージーランドに続き、いよいよオーストラリアにもラグビーが戻ってきた。
オーストラリアを本拠地とするスーパーラグビーのレッズ、ワラターズ、ブランビーズ、レベルズの4チームと、2017年シーズンまで参戦していたフォースの計5チームで行われる「スーパーラグビー2020 オーストラリア」が7月3日(金)に開幕した。
オープニングマッチとして、レッズとワラターズの一戦がブリズベンのサンコープスタジアムで行われた。なお、今大会のみに適用される、いくつかの新ルールが導入された初の試合となり、世界のラグビーシーンからも注目を集めた。
ホームのレッズはキャプテンのFL(フランカー)リアム・ライトがブラインドサイドに入り、チーム初先発となるフレイザー・マクレイトとコンビを組んだ。膝の靭帯のケガから復帰したハリー・ウィルソンがNO8(ナンバーエイト)で先発した。
BK(バックス)陣は、SH(スクラムハーフ)テイト・マクダーモットとSO(スタンドオフ)ジェームズ・オコナーがハーフ団を組み、ジャック・キャンベルがWTB(ウィング)、FB(フルバック)にはブライス・ヘガティーが入った。
ワラターズは、今シーズン就任したロブ・ペニーHC(ヘッドコーチ)が20歳のSOウィル・ハリソン、CTB(センター)ジョーイ・ウォルトンの若い2人の選手をスーパーラグビーデビューにして初先発させた。
5万2000人収容のスタジアムだが、1万人まで観客を入れていいという制限のもと、実際には5590人のファンが集い、試合は行われた。
先制したのはホームのレッズだった。前半6分、ラインアウトのチャンスからWTBフィリポ・ダウングヌがゲインし、最後はキャプテンFLライトが飛び込んでトライ。FBヘガティーのゴールも決まって、7-0と先制する。
10分、ワラターズもすぐに反撃。ゴール前のモールを起点に近場にこだわり、最後はPR(プロップ)ハリー・ジョンソン ホームズが押さえ、ゴールも決まり、7-7の同点に追いつく。
ワラターズにペナルティやミスが重なると、今度はレッズが反撃し18分、最後は外のスペースを突いて、SOオコナーからパスを受けたWTBダウングヌが右隅にトライを挙げて、12-7と再びリードする。
さらにスクラムが優勢だったレッズは、相手を押し込み、ワラターズは反則を繰り返し28分、PRアンガス・ベルがシンビン(10分間の一時的退場)。相手の隙を見逃さず、レッズSHマクダーモットがクイックタップから持ち込み、FBヘガティーのゴールも成功、19-7とリードを広げる。
14人と数的不利になったワラターズだが、持ち前のアタックで相手の反則を誘い、33分にはSOハリソンがPG(ペナルティゴール)を決めて、10-19。さらに15人に戻ると、ワラターズは再び相手のペナルティからハリソンがPGを決めて、13-19と6点差に追い上げて前半を終了した。
後半の開始からは、ボールをワイドに動かし攻めるワラターズのペースとなる。まず2分、SOハリソンがPGを決めて16-19とする。
また、5分には新ルール「ゴールラインドロップアウト」が適用された。FLフーパーが相手のキックしたボールを自陣のインゴールに持ち込み押さえると相手ボールのスクラムではなく、ワラターズがゴールラインからのドロップアウトで試合を再開した。
8分、ワラターズがラインアウトを起点にサインプレーを見せて、最後はFLラクラン・スウィントンの戻しのパスから、FBジャック・マドックスが見事に抜け出しトライ。SOハリソンがゴールを決めて23-19とついに逆転に成功する。
この試合はじめてリードを許したレッズ。12分には、SHマグダーモットが自陣ハーフウェイライン手前から左に大きくキックし、バウンドして22m内のタッチを切った。
ここで「50:22」の新ルール(ハーフウェイラインより自陣からキックしたボールが、1バウンド以上して、敵陣22mラインより奥でタッチを割った場合、マイボールラインアウトになる)が適用。
レッズボールのラインアウトからのリスタートとなった。しかし、このチャンスをホームチームは活かすことができなかった。
21分、レッズはFLライトがジャッカルを決めて、相手ゴール前でチャンスを得る。FWとBK一体となって攻撃を継続し、24分、最後はNO8ウィルソンがトライを挙げて、FBヘガティーがゴールをきめて、レッズが26-23と再び、逆転に成功する。
しかし27分、レッズのPRタニエラ・トゥポウがボール持っていない選手にチャージしてしまいシンビン(10分間の一時的退場)。その反則から得たPGをワラターズのSOハリソンがしっかり沈めて、26-26の同点に追いつく。
数的不利となったレッズだが、それを感じさせない落ち着いたアタックを見せ、31分にPGのチャンスを得たが、FBヘガティーが決めることができない。
33分には、相手のキックをキャッチしたレッズのFBヘガティーが自陣22mからロングキック。そのボールがバウンドし、敵陣10mラインあたりでタッチを割った。
今度は「22:50」の新ルール(自陣22mの内側から敵陣へキックしたボールがワンバウンド以上してタッチに出た場合、マイボールラインアウトで再開できる)が適用されて、再び、レッズボールのラインアウトとなった。
36分、相手のオフサイドの反則からSOオコナーがPGを決めて数的不利だったレッズが29-26とリードを奪う。
スーパーラグビー2020 オーストラリア
第1節 レッズ vs. ワラターズ ハイライト
この後、レッズはFLマクレイトがジャッカルを決めて相手に好機を作らせない。ロスタイムには再び、SOオコナーがPGを入れて32-26とし、レッズが地元ファンの前で「スーパーラグビー2020 オーストラリア」の開幕戦を白星で飾った。
試合終盤に数的に不利になっても集中力を見せて接戦を制したレッズは、2013年からの対ワラターズ戦の連敗を11でストップ。
クィーズランド出身であり、元オーストラリア代表HC(ヘッドコーチ)の名を冠し、2000年に創設された「ボブ・テンプルトンカップ」を7年ぶりに手にした。
勝利したレッズのブラッド・ソーンHCは「ワラターズに勝って、カップを獲得するのに7年かかったと思うので、とても幸せ。気分がいい。
両チームにはトライアル試合はなく、これが初のゲームとなった。試合が進むにつれて、きっと状況は良くなると思っています」と満足げに語った。
敗戦したワラターズのロブ・ペニーHCは、「36回ターンオーバーするなど、いい面も多かった。私は両チームの若い選手たちのパフォーマンスに非常に感銘を受けている。レッズは少し前進して、我々も収穫を得た。次の10年はきっと拮抗した戦いになっていくだろう」と前向きに語った。
レッズは次節7月10日(金)に今度はアウェイでレベルズと対戦する。ワラターズは7月11日(土)にホームで、再びスーパーラグビーに戻ってきたフォースを迎え撃つ。
文:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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