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ラグビー コラム 2020年6月14日

福岡堅樹、7人制日本代表を引退。思いを貫き、医学の道へ進む

ラグビーレポート by 斉藤 健仁
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6月13日、日本ラグビー協会は、新型コロナウィルス感染拡大の影響を受けて、来年に延期された東京オリンピックへ向けた男子7人制日本代表第2次オリンピックスコッドから、桑水流裕策(コカ・コーラ)、橋野皓介(キヤノン)、山内俊輝(日本ラグビー協会/リコー)の3選手、さらにトレーニングスコッドの福岡堅樹(パナソニック)とジョー・カマナ(コカ・コーラ)の計5人の離脱を発表した。

この発表を受けて翌14日、2019年ラグビーワールドカップで日本代表のトライゲッターの1人として大活躍したWTB(ウィング)福岡がWEB上で記者会見を行い、15人制男子日本代表だけでなく、男子7人制日本代表としての引退も発表した。

ただ、現役引退ではない。福岡は2020-21シーズンまではパナソニック ワイルドナイツの選手として、トップリーグでプレーすることを決めており、その後、医学の道に進む。

会見の冒頭、福岡はやや緊張した面持ちでこう話した。「私はラグビー7人制日本代表からの引退を表明します。今回このような結論にいたった理由といたしまして、やはり自分の中で、本当に後悔したくない、後悔をしない人生を行きたいという思いが一番、強かったからです。

もともとアスリートしてこの道を挑戦しようと決めたときから、ラグビー選手としての引退を考えていました。その中で今回の東京オリンピックの延期というものが囁かれ始めた時から、自分の中ではどうするかということは常に考えていました。

自分の人生の中で今まで大きな決断をした時には、必ずどの選択が一番後悔をしないだろうかということを常に考えていました。

今回の選択に関しても、やはりそれが一番大きく自分の中で影響し、この選択というものが自分にとって一番すっきりと受け入れることができるものでした。自分自身は東京オリンピックの7人制のメンバーから離れることになりましたが、残されたメンバーたちとともに同じチームメイトとして応援したい。

まだ、今回でラグビー選手としての引退というわけではありません。実際に次のトップリーグではパナソニックの一員として自分らしい最高のパフォーマンスができるように準備をしたいと前向きに検討しています。これからも応援よろしくお願いします」

パナソニックのロビー・ディーンズ監督も「この決断がどれほど難しかったか、我々も理解しており、福岡選手の意思を尊重したい。彼は素晴らしい選手であるとともに、周囲に良い影響を与えられる人です。

そして幸運なことに、我々は来年のトップリーグの舞台でもう一度、福岡選手のプレーを見ることができます。パナソニックと彼のサポーターは彼が来年のトップリーグに出場してくれることを非常に楽しみにしており、良い形で医学の道へ送り出してあげたいと思っています」と彼の決断を後押しした。

やはり、冒頭の福岡のコメントにもあったように、この決断に至った理由は3月24日に東京五輪が1年延期されたことが大きかったという。

「(延期が)決まったときには、この挑戦を辞退すると決めていました。一度、決めた引退のタイミングを先延ばししたくなかった。

自分の中ではこういう運命だったとすんなり受け入れることができたので、自分の中では落胆は感じなかった。(ラグビーは)やり切りたい思いが強かったので、そのまま自分の思いを貫いた」(福岡)

7人制男子日本代表引退を決めた後、岩淵健輔ヘッドコーチやチームメイトとも話をしたという。福岡は「岩淵ヘッドコーチと話をして『選手自身の人生を応援している』と言っていただいたことが、この選択の後押しになった。

また、チームメイトからも『残ってほしい』『頑張れよ』といった様々な反応があった。ありがたい言葉だった。セブンズは人数が少ないので、よりファミリー感が強い。多少の悔いは残っていますが、残されたメンバーがメダルを取ってくれると信じて応援したい」と話した。

福岡は祖父が医者、父親が歯医者という医師一家に生まれた。今回のコロナ禍において福岡は「実際に、親族や身の回りにたくさんの医療従事者がいます。その奮闘、頑張りが(現在の)状況を作ってくださってすごく感謝しています。

(そういった医療従事者の姿を見て)少しでも力になりたいと思い、あらためて、医学の道に行きたいと思わせる部分もありました」とも話した。

「今まで(日本代表)合宿に参加していた時間を、少し勉強にあてることができれば、今まで以上に(勉強とラグビーの)両立ができる」という福岡は、医学部受験の勉強をしながらも、来シーズンに向けてトレーニングもしているという。

来シーズンのトップリーグの開催時期がまだ決まっていないため、「ラグビー選手としての引退のタイミングについては、その時になったら、自分の方から発信していきたい。すべての可能性がある」と言うにとどまった。

もし、合格した医学部のある大学がパナソニックの拠点としている群馬・太田から遠ければ来年の3月末で引退という形もあるかもしれないし、さほど遠くなければ来シーズンをまっとうできるかもしれない。

2015年にパナソニックに入団してから、福岡はまだトップリーグでの優勝を経験していない。福岡は「正直に言ってトライにこだわりがない。自分自身がトライとるよりもよりも チームが勝利することが重要。

やるからには優勝したい。自分としてもチームとしても、笑って終えられるようにしたい。来季のトップリーグに対して前向きに準備したいと思いますので、少しでも自分のプレーを見ていただければと思います」と意気込んだ。

15人制にしろ、7人制にしろ、残念ながら、もうこれ以上、日本代表の「桜のジャージー」に袖を通した福岡は見られない。

ただ、あと1シーズン、青いジャージーを着た日本を代表する韋駄天のプレーは見られることになった。いずれにせよ、来シーズンのトップリーグで完全燃焼する福岡の勇姿が見たい。

文:斉藤健仁

ラグビーワールドカップ2019 日本 vs. スコットランド

福岡堅樹の素晴らしいプレーをもう一度

斉藤健仁

斉藤 健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント

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