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スーパーラグビー2010~2012は、群雄割拠の時代 マット・フィールド、ソニー・ビル・ウィリアムズほか 不世出のスーパースターが躍動する。必見!
村上晃一ラグビーコラム by 村上 晃一スーパーラグビーは、1996年から始まった。今シーズンは25周年だ。いまは中断しているが、それまでの中継のなかでは、ときおり懐かしい映像がはさみこまれていた。世界最高のエンターテインメントラグビーとも呼ばれるスーパーラグビーは、激しくぶつかりあいながら、フィールド内を動き回り、変幻自在のパスやキック、スピーディーなラン、鋭角的なステップなどで観客を魅了してきた。
2010年シーズンは「スーパー14」の時代。ニュージーランド5、オーストラリア4、南アフリカ5の計14チームが参加して行われていた。2009年はブルズが優勝。ヘッドコーチは現在クボタスピアーズを率いるフラン・ルディケ。連覇を目指してレギュラーシーズンを10勝3敗の1位通過。準決勝で2008年の王者クルセイダーズと対戦する。この試合は必見だ。ブルズは、のちにサントリーサンゴリアス入りするSHフーリー・デュプレアが的確な判断とパスでチームを操る。俊足NO8ピエール・スピース(2015~近鉄ライナーズ)の突破力はすさまじい。SOは正確無比のプレースキックを誇るモルネ・ステイン。この時代、世界最高のLOだったヴィクター・マットフィールドがFWの軸だ。
対するクルセイダーズは、現東芝ブレイブルーパスのヘッドコーチ、トッド・ブラッカダーが率いていた。選手はFLリッチー・マコウ、NO8キアラン・リード(2019~トヨタ自動車ヴェルブリッツ)、SHアンドリュー・エリス(2015~神戸製鋼コベルコスティーラーズ)、SOダン・カーター(2018~神戸製鋼)とオールブラックスのスター選手が勢ぞろい。マコウ以外は現在、日本のトップリーグ所属だ。このメンバーが負けてしまうのだから、ブルズがいかに強かったか。ぜひ、確認してもらいたい。激しいコンタクト合戦は迫力満点だ。
もう一つの準決勝はストーマーズ対ワラターズ。ここではのちのトップリーガーがSO対決している。ピーター・グラント(神戸製鋼)とベーリック・バーンズ(パナソニックワイルドナイツ→リコーブラックラムズ)だ。そして、決勝戦は、ブルズ対ストーマーズという南アフリカ対決。デュプレア、スピースほか、金髪のCTBヴァイナンド・オリフィエ、SHとWTBを兼任するフランソワ・ホーハートが躍動する。
2011の準決勝、レッズ対ブルーズは、レッズの天才SOクエイド・クーパーの個人技がさえわたる。SHウィル・ゲニアとのHBコンビは、2019年度には近鉄でプレーした。決勝戦は、レッズ対クルセイダーズ。必ず上位に食い込んでくるクルセイダーズの安定感が際立つが、試合前はLOブラッド・ソーン(2011~宗像サニックスブルース)が話題になった。ソーンは試合会場のサンコープ・スタジアムを本拠地とする13人制ラグビーリーグのブリスベン・ブロンコスでプレーしていたからだ。CTBはソニー・ビル・ウィリアムズ(SBW、2012~パナソニック)。SBWってクルセイダーズにいたの? と忘れている人がいるかもしれない。実はSBWはフランスのトゥーロンからニュージーランドに戻り、州代表でプレーしたのちスーパーラグビーデビュー。この一年だけクルセイダーズでプレーしてチーフスに移籍した。SBWも決勝では活躍するが、やはり主役はクエイド・クーパーだ。アフロヘアが印象的な長身NO8ラディケ・サモ(2013~近鉄)、WTBディグビー・イオアネ(2015~HondaHEAT、2017~パナソニック)もいる。レッズのキャプテンはLOジェームズ・ホーウィル。レッズのラグビーが面白い。
2012年は前年10位のチーフスが台頭する。躍進の鍵を握ったのは、クルセイダーズからやってきたSBW、ハリケーンズから移籍のSOアーロン・クルーデンだ。キャプテンは、のちに東芝入りするFLリーアム・メッサム。レギュラーシーズンを12勝4敗の2位通過し、準決勝でクルセイダーズとの死闘を制する。この試合の見どころは、ダン・カーターとクルーデンのオールブラックスSO対決。クルセイダーズのインサイドCTBは現クボタのライアン・クロッティだ。決勝戦の相手は、フランス代表SOフレデリック・ミシャラクがゲームリーダーのシャークス。チーフスの本拠地、ハミルトンのワイカト・スタジアムが超満員となる。試合はチーフスが攻撃力で上回る。トライ後、インゴール後ろの観客席に飛び込むSBW。交代出場のWTBレリア・マサンガ(2016~Honda)が、彼のニックネーム「フラッシュ(閃光)」のごとき独走トライを見せる。
この頃のほうが面白いと感じる人もいるだろう。日本でプレーすることになる選手たちの若い頃の初々しいプレーが、そう思わせるのかもしれない。いま、トップリーグにスーパーラグビー出身の選手が多数いるからこそ身近に感じることができるのだ。そんな幸せをかみしめつつ観戦したい。
文:村上晃一
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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