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ラグビー コラム 2020年3月27日

見どころ満載の日本ラグビー名勝負選 東芝の名キャプテン冨岡鉄平の雄姿、若き日の大野均、廣瀬俊朗は必見。

村上晃一ラグビーコラム by 村上 晃一
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トップリーグはシーズン途中での中止を決定。スーパーラグビーは新たなフォーマットを模索中だ。ラグビーロスになっている皆さんは多いだろう。こんなときこそ、過去の名勝負をじっくり観戦したい。J SPORTSは【ラグビーロスを吹き飛ばせ!「日本ラグビー名勝負!」】と銘打ち、蔵出し映像を放送中だ。

写真:東福岡ディフェンス陣を蹴散らし、独走のトライを決める松島幸太朗


3月28日(土)、29日(日)に放送・配信される「日本ラグビー名勝負!」も懐かしい試合が並ぶ。第90回全国高校ラグビー大会・決勝「桐蔭学園対東福岡」と聞いて、両校優勝の試合だと思い出す人はかなりの高校ラグビー通だ。この大会は、2010年12月27日~2011年1月8日にかけて行われた。90回の節目の記念で例年より4校枠を増やし、55校で行われた。「史上最高レベルの大会」になると、前評判の高い大会だった。

枠の増えた神奈川県からは桐蔭学園と慶應義塾が出場。桐蔭学園は東西のAシード4校の一角。2019年、日本列島を熱狂の渦に巻き込んだ日本代表の松島幸太朗(3年生、FB)、日本代表、サンウルブズで活躍することになる小倉順平(3年、SO)、現在のリコーブラックラムズのキャプテン濱野大輔(2年、CTB)、現サントリーサンゴリアスの中村駿太(2年、HO)など好選手が揃い、悲願の初優勝を目指していた。

一方、福岡県も枠が増え、東福岡と福岡が出場。福岡高校には、のちの日本代表WTB福岡堅樹がいた。そして、東福岡は前人未到の2年連続春冬制覇を目指す常勝軍団だった。現クボタスピアーズの北川賢吾(3年、PR)、松波昭哉(3年、PR)、サンウルブズの木村貴大(2年、FL)、パナソニックワイルドナイツ、サンウルブズ、日本代表の布巻峻介(3年、CTB)、ヤマハ発動機ジュビロの西内勇人(3年、FL)、そして、2015年のラグビーワールドカップに出場し、現在の7人制日本代表でもあるパナソニックの藤田慶和(2年、FB)ら、こちらもキラ星のごとくタレントが揃っていた。

史上最高レベルの大会で決勝に進んだ両チームの戦いは、一時21点をリードした桐蔭学園に東福岡が追いつく衝撃の展開となる。3トライ、3ゴール差なら追いつけると、あきらめず追いかける東福岡の選手たちの自信、正確なプレーに驚かされる。高校生離れした技術と、無心にプレーする高校生らしさ。極上の戦いをぜひご覧いただきたい。しばらく後、桐蔭学園を卒業した松島幸太朗は、トップリーグ入りせず、南アフリカへ武者修行に旅立つのだ。

筆者の30年にわたる取材人生の中で特に印象的な試合も放送される。トップリーグ2006-2007シーズンのプレーオフ(マイクロソフトカップ)決勝戦だ。東芝ブレイブルーパス対サントリーサンゴリアスは劇的な決着となる。2007年2月4日、秩父宮ラグビー場は、満員札止めの23,067人が席を埋めた。東芝は黄金時代を築いた薫田真広監督、冨岡鉄平キャプテン体制5年目。立ってボールをつなぐ「スタンディング・ラグビー」の集大成のシーズンだ。副キャプテンの一人は冨岡の後を継ぐことになる廣瀬俊朗。28歳の大野均もいる。サントリーの監督は現・日本ラグビー協会副会長の清宮克幸、スクラム最前列にはスクラム番長の長谷川慎。長谷川は副キャプテンだった。SHは現在の明治大学監督の田中澄憲。サントリーの6点リードで迎えた終了間際、東芝が得意のモールを組む。語りたいことがいっぱいの試合だ。

第91回全国高校ラグビー大会1回戦の春日丘(愛知)対尾道(広島)は、2大会連続の引き分け抽選という幕切れ。春日丘のNO8は、2019年のRWCで日本を沸かせた姫野和樹だ。第84回全国高校ラグビー会決勝 啓光学園(大阪)対 天理(奈良)では、啓光学園が戦後初の4連覇を達成する。2004年度に開催されたこの大会は、天理の素早く前に出てくるディフェンスが話題だった。そのディフェンスをかいくぐって攻める啓光学園の強気の仕掛け。その中心はSO村田賢史、CTB釜池真道、森田尚希。村田は卒業後、早稲田大学、NTTドコモレッドハリケーンズ、釜石シーウェイブスでプレー。釜池は同志社大学からNECグリーンロケッツ、森田は同志社大学から近鉄ライナーズへ。日本ラグビーを支えることになる高校生たちの熱い戦いである。


文:村上晃一

村上晃一

村上 晃一

ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。

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