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新型コロナウイルスの影響により、スーパーラグビーが第7節終了後に中断することが3月14日(土)に決まった。
まさにその日、オーストラリアのブリスベン(サンコープスタジアム)では、1勝5敗の地元レッズが、1勝4敗のブルズ(南アフリカ)を迎えて第7節を戦った。
リーグ中断前のラストマッチで、観客は17点差からの逆転劇に熱狂した。
序盤戦のつばぜり合いは、ビジターであるブルズが制した。
ブルズは開始直後からエリア左で再三ゲインラインを突破。前半8分には22歳のSHアンブローズ・パピエのトライに結びつき、7点を先制した。
勢いに乗るブルズは、2019年W杯南アフリカ代表のFBウォリック・ヘラントが大活躍。
前半13分には絶妙なステップワークで数的優位を作り、173センチのWTBロスコ・スペックマンのトライをお膳立て。
同17分にはみずからもトライを決め、ブルズは怒濤の3連続トライ。前半の18分間で17得点を奪ってしまった。
ホームで17点ビハインドを背負ったレッズ。反転攻勢のきっかけは、相手の反則だった。
ブルズは快調な出だしで気が緩んだのか、ここからオフサイドなどにより3連続でPK(ペナルティキック)を犯してしまう。
するとレッズは前半28分、ラインアウトモールから22歳の闘将、FLリアム・ライトがねじ込んでトライ。7-17
FLライト主将はその後、トライを防ぐ値千金のタックルや、攻守交代を起こすジャッカルなど守備でも貢献。チームの失点を防ぎ、反撃の足掛かりを作った。
すると前半38分、3連続オフロードパスからのスーパートライが生まれる。
敵陣左に侵入したレッズは、まず二十歳のNO8ハリー・ウィルソンが突破。
そこからLOハリー・ホッキングス、さらにSHスコット・マロルアと次々にオフロードパスが決まり、フィニッシュは途中出場のアイザック・ルーカス。
ブルズのオフロードパスがこの日3回だったのに対し、レッズは実に23回。オフロードパスを巧みに活用し、レッズが3点差(14-17)に詰め寄って後半へ向かった。
後半は開始1分でスコアボードが動いた。
レッズはNO8ウィルソンのビッグゲインで敵陣の懐に入ると、すばやく左展開。PRタニエラ・トゥポウのクイックパスで、LOラカン・サラカイア=ロトが左隅に逆転トライを決めた。19-17
17点差をひっくり返されたブルズだが、同じ22歳であるハーフ団(SHとSO)が不安定だった。SHパピエとSOマニー・リボックだ。
共にスピードがあり積極的なアタッカーだが、周囲との連携ミスでチームに安定感を与えられない。
反撃したい場面でSHパピエ、SOリボックがそれぞれに反則を犯してしまうなど、司令塔としての役割を十分に果たせなかった。両者は後半16分に同時に途中交代となった。
ペースを掴んだレッズは後半23分のPG(ペナルティゴール)で3点追加。22-17
さらに後半29、32分に連続トライを奪うと、ダメ押しは80分間出場だったPRトゥポウ。
‘19年W杯のオーストラリア代表が、右ゴール前のラインアウトから突進。リーグ最重量級の132キロながら、試合終了前に個人技でトライを取る怪物ぶりを見せつけた。
トライ差を6対3としたレッズは、3トライ差以上のボーナスポイント「1」を獲得。41-17で今季2勝目を挙げた。
反則からペースを乱し、後半は無得点となったブルズは今季5敗目を喫した。
ここからスーパーラグビーは新型コロナウイルスの影響によりリーグ全体が中断となる。再開の時期は示されておらず、スタッフ・選手にとっては先の見えない調整が続く。
この中断期間をどう過ごすかが、再開後の力関係に影響を与えることも考えられる。2020年のスーパーラグビーはどんな結末を迎えるのだろうか。
文:多羅 正崇
スーパーラグビー2020 第7節
【ハイライト】レッズ vs. ブルズ|スーパーラグビー
多羅 正崇
スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。
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