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第6節を迎えたスーパーラグビー。ヒトコム サンウルブズは、3月6日(金)にシドニーから南に82キロ離れたウーロンゴンのWINスタジアムでオーストラリアカンファレンス首位のブランビーズと対戦した。
当初、この試合は東大阪市花園ラグビー場で開催される初のスーパーラグビーの試合のはずだったが、新型コロナウィルスの影響で、ワラターズvs.チーフズの前に行われることになった。
「サンウルブズと契約を結んだ時には、一番初めに花園での試合をカレンダーに書き込んだほど」と近鉄ライナーズにも所属するLO(ロック)マイケル・ストーバークが楽しみにしていたが、開催地が変更された。
ホーム扱いとはいえオーストラリアで、しかもショートウィークでの試合となってしまったが、3連敗中のサンウルブズは、なんとか連敗を止めたいところだった。
そのため、サンウルブズの大久保直弥HC(ヘッドコーチ)はLOの谷田部洸太郎とストーバーク、共同キャプテンのひとりNO8(ナンバーエイト)のジェイク・シャッツ、SH(スクラムハーフ)のルディー・ペイジ以外の先発メンバー11人を入れ替えた。
前節でWTB(ウイング)だったシオサイア・フィフィタは、CTB(センター)に入り、ケガから復帰したベン・テオとコンビを組んだ。
SO(スタンドオフ)には前節メンバー外だったガース・エイプリルが先発に復帰し、FB(フルバック)は元トヨタ自動車の竹田宜純が先発した。
しかし前半、試合の主導権を握ったのはアウェーながら地元オーストラリアのブランビーズだった。
前半10分、キックカウンターからWTBトニ・プルがゲインし、最後は、この試合が初先発のSHライアン・ロナーガンが中央にトライ、自身でゴールを決めて7点を先制する。
さらに19分、敵陣20mほどからのラインアウトを起点に攻撃、最後はFL(フランカー)ウィル・ミラーが押さえて14-0とリードを広げた。
その後、サンウルブズも相手のアタックを粘りの守備で、徐々に止めることができるようになると、相手の反則もあり敵陣での攻撃時間が増えていく。
36分、相手ゴール前でモールを形成し、最後はHO(フッカー)エフィ・マアフがトライ、SOエイプリルがゴールを決めて、7-14と7点差に迫る。
前半終了間際、同点を狙ったサンウルブズはスクラムを起点に自陣からアタックをしかけるも、CTBテオがノックオン。そのボールをつながれて、逆にFL(フランカー)ロブ・ヴァレティニにトライを許してしまい、7-21でハーフタイムを迎えた。
後半、先にトライを挙げればサンウルブズにも勝機が出てくるのでは……と思った矢先、6分、ボールを大きく動かされて、最後は左隅にWTBプルにトライを献上、7-28とされてしまう。
さらに14分には反則から自陣に入ることを許し、最後はCTBテヴィタ・クリンドラニにトライを喫してしまい、続く16分もWTBソロモネ・カタにゴールラインを割られて、7-40とされて勝負あり。
サンウルブズはメンバー交代をしながら得点チャンスを伺うが、なかなか相手の守備の前に有効なアタックを継続することができない。
ようやく33分、スクラムを起点に攻撃し、最後はLOストーバーグが中央右に飛び込んでトライ。途中出場のSO小倉順平のゴールも決まって14-40とする。
しかし、サンウルブズの反撃はここまで。試合終了間際、途中出場のSHジョー・パウエルにトライを決められて、14-47でノーサイドを迎えた。
スクラムで善戦したり、前半の後半などいい時間帯もあったりしたが、勝つ流れに持っていくことができず、サンウルブズは第2節から4連敗となった。
7トライを挙げたブランビーズは、3トライ差のボーナスポイント1を含む勝ち点5を得た。サンウルブズは総勝ち点4から勝ち点を積み上げることはできなかった。
ブランビーズのダン・マッケラーHCは、「サンウルブズは非常に良いチームで我々にチャレンジしてきた。我々のディフェンスは総じて良かったが、この2年で初めてモールトライを許してしまった」とサンウルブズの健闘を讃えた。
そして、「我々の方がパフォーマンスなど良い面が多くあったが、特に良いモメンタムを作れたこと、勝ち点5をとれたことに満足している」と語った。
サンウルブズの大久保直弥HCは、「1人のタックルミスに対してそれをカバーできるだけの力がまだサンウルブズにはありません」。
「1つのラインブレイクでチームのアタックするエナジーが失われてしまっている部分があるので、自分達のシステムを信じる事と、そして自分たちはそこまで身体の大きなチームではないので、とにかく立って前に出るということにフォーカスしています」と話した。
ホームゲームの会場変更を受けて、大久保HCは「厳しい状況だということは選手もスタッフも全員理解しています。今日は負けてしまいましたが、いくつかポジティブに成長している部分もありました。そういったところを1つ1つ積み重ねていきたいと思います」と続けた。
共同キャプテンのひとり、NO8ジェイク・シャッツは、「オーストラリアのチームの中では、恐らく最も経験豊富でフォワードの気概があり、ブランビーズは常にタフなチームなので、そこを狙うことができたのは良かった」。
「しかし、改善すべき点もある。試合全体を通しての集中力に欠けていた」と試合を振り返った。
開催地変更についてシャッツは「こういうことはよくあることで、我々がコントロールできることではない。問題に思えば思うほどかえって問題が大きくなる。我々サンウルブズからしてみれば、毎週が旅のようなもので、今もその道の途上です」。
「チームは週を追うごとに絆が深まっている。今回、むしろより一緒にいられる時間が長くなった。チームがどんなときも非常にポジティブなのも、我々の長所だと思うし強みだ」と前向きに語った。
勝ち点を18に伸ばし、オーストラリアカンファレンス首位をキープしたブランビーズは15日(日)、ホーム・GIOスタジアムキャンベラでライバルのワラターズを迎える。
4連敗となったサンウルブズは、次節も新型コロナウィルスの影響で会場変更となり、秩父宮ラグビー場で行われるはずだったクルセイダーズ戦は、3月14日(土)オーストラリア・ブリスベンのサンコープスタジアムで行われる。
文:斉藤健仁
スーパーラグビー2020 第6節
【ハイライト】ヒトコム サンウルブズ vs. ブランビーズ
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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