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ジャパンラグビートップリーグ2020は2月15日、16日、第5節が行われ、パナソニック ワイルドナイツ対東芝ブレイブルーパスの全勝対決ほか各地で熱戦が繰り広げられた。観客数は好カードが多かった開幕節から徐々に落ち着き、第4節は7会場で56,572人(2試合ある会場は2試合目で計算)だったが、第5節は6会場で計56、083人。パナソニック対東芝が行われた熊谷ラグビー場は22,705人、サントリーサンゴリアス対トヨタ自動車ヴェルブリッツという注目カードが行われた大阪のヤンマースタジアムは、19,584人。2月15日は秩父宮ラグビー場でサンウルブズの試合も行われ、こちらも、18,708人を集めており、依然としてラグビー人気は衰えていない。道路渋滞など課題も多く、いかに快適な観戦環境を提供していくか、運営側の工夫、努力が求められている。
さて、試合を振り返ってみよう。ほぼ満員の熊谷ラグビー場の第1試合では、キヤノンイーグルスとHondaHEATが対戦。Hondaは、前半3分、ハイパントのこぼれ球を捕ったWTB尾又寛汰が先制トライし、22分にはキックチャージからNO8トマシ ソンゲタ、28分にはCTBショーン・トレビーがインターセプトからトライと、激しく前に出て流れをつかんだ。キヤノンも後半反撃したが届かず。最終スコアは、39-24で、Hondaが今季2勝目をあげた。
第2試合は今節最も注目を集めた全勝対決。キックオフ直後からスピーディーな連続攻撃を仕掛けた東芝は、前半3分、FBティム・ベイトマンが先制トライをあげる好スタート。パナソニックもディフェンスからボールを奪い、FL長谷川崚太がトライを返す。16分の東芝のトライは力強かった。FLシオネ・ラベマイがパナソニックのCTBダミアン・デアリエンディらのタックルを受けながら踏ん張り、オフロードパス。WTBジョネ・ナイカブラがインゴールに駆け込んだ。19分、東芝のリーチ マイケルの突進を倒し、パナソニックのHO堀江翔太がジャッカルで反則を誘ったプレーは観客を沸かせた。
前半を終えて22-17と、パナソニックが5点リードと拮抗した展開。後半、いったん東芝がリードを奪って流れをつかんだかに見えたが、パナソニックはFLデービット・ポーコック、SH小山大輝を投入。これが功を奏して流れを引き戻す。ポーコックの突進からデアリエンディに代わって出場した山沢拓也がトライ。松田力也のゴールが決まって、29-27と逆転すると、WTB竹山晃暉がトライし、32分、43分と小山が持ち前のスピードを生かして連続トライ。46-27と、突き放した。パナソニックの選手層の厚みが際立つ勝利だった。
パナソニックと同じく5連勝を目指す神戸製鋼コベルコスティーラーズは、神戸ユニバ記念競技場でリコーブラックラムズと戦った。大黒柱のSOダン・カーターの不在もあってか、前半は苦戦したが、後半突き放し、43-6で勝利した。先発のWTB井関信介に代わって前半22分、今季初登場となった林真太郎は何度もスピードある突進を披露し、前半終了間際にはパーカーのキックパスをキャッチしてトライ。後半25分にもトライをあげた。マンオブザマッチはFB山中亮平。後半2分に好サポートからトライをあげたほか、正確なパスで味方を走らせるなど貫録のプレーぶりだった。
神戸製鋼のデイブ・ディロンヘッドコーチは報道陣から林の活躍を問われ、「今のチームの強みは層の厚さだと感じている。その中で林真太郎は、普段の練習から素晴らしいパフォーマンスを示し続けている。自分の課題を認識、修正していることを練習で表現し、結果、チャンスをつかみ出場したことを嬉しく感じている」こコメント。アンドリュー・エリスキャプテンは「チームの強みは、出場していない選手たちも『自分のチャンスはいつか』と常に思い続けていること」と付け加えた。
僅差勝負が期待されたサントリー対トヨタ自動車は思わぬ大差になった。前半9分、WTB江見翔太のトライで先制したサントリーはCTBマット・ギタウのオフロードパスでCTBサム・ケレビがトライし、FB松島幸太朗が独走トライを奪うなど、攻撃の精度の高さと個々の決定力を見せつけた。
サントリーは3勝2敗(勝ち点16)で6位に浮上し、トヨタ自動車は2勝3敗(勝ち点11点)で8位に後退。ヤマハ発動機ジュビロは、82-7でNTTドコモレッドハリケーンズを下して、4勝1敗(4勝1敗、勝ち点19)で3位。クボタスピアーズは日野レッドドルフィンズを下して、4位(4勝1敗、勝ち点18)に順位を上げた。東芝は4勝1敗、勝ち点18だが、得失点差で3位から5位に後退している。
そして、三菱重工相模原ダイナボアーズがNECグリーンロケッツを21-14で破り、12シーズンぶり2度目のトップリーグ挑戦でついに初勝利を挙げた。NECは唯一いまだ勝ち星がない。
次節、クボタはパロマ瑞穂ラグビー場でトヨタ自動車と対戦。神戸製鋼は神戸ユニバで東芝と対戦する。今後、順位争いはますます熾烈になりそうだ。
文:村上 晃一
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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