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昨季4強同士のビッグマッチは、意外な決着を迎えた。
第5節を迎えたラグビー国内最高峰「トップリーグ」で2月15日(土)、ともに2勝2敗のサントリーサンゴリアス(昨季2位)と、トヨタ自動車ヴェルブリッツ(同4位)が、大阪・ヤンマースタジアム長居で激突した。
両軍メンバーにW杯日本代表6人、豪州代表1人、南アフリカ代表1人が並び、“ラグビーどころ”の大阪に1万9584人が集結。
サントリーの日本代表選手では、SH流大キャプテンを筆頭に、FLツイヘンドリック、FB松島幸太朗、途中出場からHO北出卓也が出場。豪州代表はCTBサム・ケレビ。
トヨタ自動車では日本代表のFL姫野和樹、SH茂野海人が顔をそろえ、南アフリカ代表のFBウィリー・ルルーが最後尾に据わった。
ただ序盤で存在感を放ったのは、2023年W杯を目指す若武者だった。
サントリーのルーキーNO8テビタ・タタフは前半2分、トヨタ自動車のキャリアーからボールを強奪してターンオーバー。
サモア出身のNO8タタフは、目黒学院-東海大と進んだ24歳。この日はアタックのみならずジャッカルも見せ、定評のある防御力でも存在感を示した。
神戸製鋼の日本代表WTBアタアタ・モエアキオラは高校・大学の同級生であり、2人そろっての日本代表入りも期待される。
サントリーは前半9分、ラインアウトからそのNO8タタフが一番槍で突っ込むと、HO中村駿太の突破から、右隅を的確なショートパスで攻略。
ブレイクダウン(ボール争奪局面)でも激しくプレーしていたWTB江見翔太が、先制トライを奪った。7-0
NO8タタフはその後もキャリアーを抱え上げてターンオーバーを勝ち取るなど、堅陣構築に貢献。トヨタ自動車は攻撃の芽を摘まれ、相手インゴールに近づくことができない。
PG加点したサントリーは前半19分、CTBマット・ギタウからのパスを受けた豪州代表のCTBケレビが2トライ目。17-0
新旧の豪州代表のコンビネーションからトライが生まれると、前半26分にはFB松島が緩急をつけたランから独走トライ。スピードスターの華麗な走りに、会場が爆発的に沸いた。
反撃したいトヨタ自動車だが、この日はスクラムとラインアウトが不安定。
特にラインアウトは、サントリーに迅速かつ的確なリフトにより再三競られ、チャンスをものにできない。
スクラムでもコラプシング(スクラムを崩す反則)のペナルティキック(PK)を与えてしまい、敵陣で強力FWが活躍する場面はほとんど見られなかった。
サントリーは前半30分、NO8タタフがノーバインドのタックルでシンビン(10分間の一時退場)となるが、天秤の傾きは変わらない。FL小澤直輝がCTBケレビのサポートをうけて自身2連続のジャッカルを成功させるなど、攻撃を途絶させた。
前半41分には日本代表の田村優(キヤノン)の弟であるSO田村熙がタックラーを弾き、WTBテビタ・リーへラストパス。トライを決め、29-0で前半を折り返した。
ハーフタイムで切り替えたいトヨタ自動車は後半4分、FBルルーのインターセプトから連続攻撃によりフィニッシュ。しかし梶原晃久レフリーはインターセプトがオフサイドだったとしてノートライ判定。会場はため息に包まれた。
反撃の機会を逸したトヨタ自動車に対して、サントリーはさらに猛攻。
後半7分のPG加点によりリードを32点差にすると、ここから約3分間で3連続トライ(後半17、21、23分)。
セットピースという足場を築けないトヨタ自動車は、難しいプレーで突破口を開こうとするがエラーが続く。
後半26分には無理に放ったパスをFB松島がインターセプトし、相手FBルルーを振り切りチーム8トライ目。SO田村熙のゴール成功で、60得点の大台に乗せた。
まさかの60失点を喫したトヨタ自動車だが、後半30分だった。
相手反則から敵陣左に侵入。ここも苦しみながらラインアウトを確保するが、FL姫野キャプテンをおとりにしたサインプレーから、途中出場のアンガス・シンクレアが前進。
さらに立ち上がったシンクレアをサポートして、最後は塊になってインゴールへなだれ込んだ。
ようやく7点を手にしたトヨタ自動車は、後半35分には摂南大卒のNO8フェツアニラウタイミが接点に走り込んでトライを奪うが、残り時間はわずか。
最終盤のトヨタ自動車は、途中出場のフロントロー(HO加藤竜聖、PR吉田康平、PR伊尾木洋斗)を最前列に並べたスクラムで猛プッシュし、この日初めてペナルティキックを奪取した場面もあった。
しかしロスタイム、最後は連続攻撃からボールはこぼれ、蹴り出されてノーサイド。最後もブレイクダウンでのエラーとなり、注目のカードは大敗で幕を閉じた。
立て直しを図りたいトヨタ自動車は3敗目となり、2勝3敗(総勝点11)で8位。次節は2月22日(土)、4連勝で勢いに乗るクボタを地元の愛知・パロマ瑞穂ラグビー場で迎え撃つ。
3勝2敗と白星先行になり6位に浮上したサントリー。こちらも2月22日、4勝目をかけて東京・秩父宮ラグビー場で、1勝4敗の日野と対戦する。
文:多羅 正崇
【ハイライト】サントリーサンゴリアス vs. トヨタ自動車ヴェルブリッツ|ジャパンラグビー トップリーグ2020 第5節
多羅 正崇
スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。
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