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ラグビー コラム 2020年2月16日

サンウルブズ、強豪チーフスとの対戦で課題と手応え。スーパーラグビー

ラグビーレポート by 斉藤 健仁
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1月31日に開幕した今シーズンのスーパーラグビーは第3節を迎え、2月15日(土)は、東京都・秩父宮ラグビー場で、ヒト・コミュニケーションズ サンウルブズとニュージーランドのチーフスの対戦が行われた。

開幕戦でレベルズに36-27と勝利したサンウルブズは、先週はBYE(休みの週)で、この試合がシーズン2戦目となった。

連勝を目指し、早稲田大学4年のSH(スクラムハーフ)齋藤直人が初先発し話題を集めたこの試合には、1万8708人の観客が今シーズンの秩父宮ラグビー場での初戦を見守った。

試合はチーフスのキックオフで始まった。サンウルブズはチーフスに攻め込まれるも、ディフェンスからチャンスを作り出す。

そして前半7分、SO(スタンドオフ)ガース・エイプリルがチーフスのPR(プロップ)アツ・モリをかわし、ゴールラインを越えてボールをグラウンディング。

エイプリルは自身でコンバージョンも決めて、ホームのサンウルブズが7-0と先制に成功する。

しかし11分、チーフスはサンウルブズのペナルティから敵陣に入ると、マイボールラインアウトからモールで押し込んだ後、左に展開しWTB(ウィング)ソロモン・アライマロが隅にトライを決める。

FB(フルバック)ダミアン・マッケンジーのゴールは外れたが、チーフスが5-7と追い上げ、その後はチーフスが試合のペースをつかむ。

15分、チーフスはサンウルブズにプレッシャーをかけ、WTBショーン・スティーブンソンがターンオーバー。タッチラインに沿って走ってトライ。FBマッケンジーがゴールを決めて12-7とチーフスが逆転する。

サンウルブズもWTBシオサイア・フィフィタ、PRジャレッド・アダムスらが力強いランでゲインし、フェーズを重ねてゴールラインまで迫るも、相手のディフェンスの前に得点を挙げることができない。

24分、この試合でゲームキャプテンを務めたチーフスのSH(スクラムハーフ)ブラッド・ウェバーが、ラインアウトを起点としたアタックから抜け出してトライ。17-7とチーフスがリードを広げる。

流れは完全にチーフスに傾き、34分、ラックにトップスピードで走り込んできたFBマッケンジーが、相手を3人を振り切ってブレイク。

最後はWTBアライマロからマッケンジーに手渡してトライ、マッケンジーが自らゴールも決め、24-7と突き放す。

ホームの声援を背に、サンウルブズも積極的に攻める。前半終了前、サンウルブズは相手ゴール前でのラインアウトからモールでチャンスをうかがう。

度重なるオフサイドでチーフスのLO(ロック)タイラー・アードロンがシンビン、10分間の退場となる。

数的有利となったサンウルブズは、ロスタイムラインアウトから再度モールで押し込み、最後はHO(フッカー)ジャバ・ブレグバゼが押さえた。

SOエイプリルのゴールは外れたものの、12-24とサンウルブズは逆転の望みをつないで前半を折り返した。

後半、数的有利の間に差を縮めたかったサンウルブズだったが、3分、共同キャプテンのCTB(センター)森谷圭介がボールを落とし、それを拾ったチーフスのFL(フランカー)ラクラン・ボシェーがそのまま一気に走ってトライ。12-31とされてしまう。

それでも、アタッキングマインドを持って攻め続けるサンウルブズは、34分、FBジェームズ・ダーガヴィルからボールを受けた途中出場のCTB中野将伍(早稲田大学4年)がスーパーラグビー初トライを挙げて、17-31と追い上げる。

しかし、チーフスは試合終了間際にSOケイレブ・トラスク、WTBクイン・トゥパエアがトライを追加し、結局17-43でノーサイドを迎えた。

チーフスが3連勝で、去年のホームで負けた雪辱を果たし、3トライ以上差のボーナスポイントも得て、勝ち点13。ニュージーランドカンファレンスの首位をキープ。また、全体でも得失点差でトップに立った。

前ウェールズ代表HC(ヘッドコーチ)で、今シーズンからチーフスの指揮官に就任したウォーレン・ガットランドHCは、「ボールを動かすということも含め、サンウルブズが積極的なラグビーをしてくるということはわかっていた」。

「彼らはスクラムも良かったし、ラインアウトからもいいボールが出ていて、そこを起点にいろいろやっていこうとしていたと思う。それに対応しなければならなかったので、非常にタフなゲームになった」。

「だが、今日の試合は我々が決定的な局面で、しばしばターンオーバーすることができて、それがトライに結びついて、ボーナスポイントを獲得して勝利できた」と安堵の表情を見せた。

ゲームキャプテンのSHウェバーは、「自分のパフォーマンスには課題を残した部分もあるが、チームの勝利には満足している」。

「ガットランドHCになって、練習からいい変化がチームに起きている。この数年で選手層も厚くなっているので、このままいい状態でいければいい」と笑顔で語った。

チーフスは次節、2月22日(土)にホームのワイカトに戻り、オーストラリアのブランビーズと対戦する。

安定したセットプレーからチャンスを作り、ボールポゼッションやボールキャリーで上回ったものの、ミスで決定機を逃し敗れたサンウルブズはホーム2連勝とはならなかった。

サンウルブズの大久保直弥HCは、「我々が相手のブレイクダウンにプレッシャーをかけて、球出しを遅らせようというというのは、初めからわかっていたことなので、言い訳できない」とコメント。

「残念だが、スーパーラグビーレベルで勝つためには、日々ここからしっかり学んで引き続き成長していきたい」と前を向いた。

共同キャプテンのひとりCTB森谷は、「サンウルブズの形でアタックできているときはスコアも取れ、ゴール前までいけた部分もあった」。

「ブレイクダウンやコンタクトの部分でうまくいかないとところを修正して、また次につなげていきたい」とチームにある程度手応えを感じつつも、課題を口にした。

この日初先発で、「人生で一番プレッシャーを受けたと思うがよくやった」と大久保HCが及第点を与えたSH齋藤。

自身は「30点の出来」としながらも「楽しかった。うまくいかない試合を経験できたことは収穫で、次に必ずつなげたい」と世界のレベルを経験できることをポジティブに捉えているようだ。

また、齋藤と同じ早稲田大学4年で、スーパーラグビーで初トライを挙げたCTB中野も、「(突破したときは)トライまで持っていく気持ちで走った」。

「コンタクトは学生の試合の倍以上の重さを感じました。このレベルでも相手に勝てるようにもっとスピードをつけていきたい」と語った。

開幕2連勝はならず、1勝1敗の勝ち点4でオーストラリアカンファレンス3位となったサンウルブズ。それでもFLツポウテビタ、SH木村貴大、HOエフィ・マアフが初キャップを獲得した。

スコッド唯一のワールドカップ経験者のHOブレグバゼや、LOマイケル・ストーバーグらがセットプレーで強みを見せ、WTBフィフィタが力強いランで気を吐くなど評価できる面も多々あった。

次節は今季初のアウェーで2月22日(土)オーストラリアのブリスベンでレッズと対戦する。強豪との厳しい戦いが続くことは変わりないが、「Keep Hunting」のスローガンのように、勝利に向けて貪欲に前へ進んでいきたい。

文:斉藤健仁

スーパーラグビー2020 第3節

【ハイライト】サンウルブズ vs. チーフス

斉藤健仁

斉藤 健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント

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