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25年目のスーパーラグビーが1月31日、開幕した。日本のサンウルブズが開幕戦を勝ったことで今まで以上の注目を集めることになりそうだ。同リーグは1996年に発足し、世界のプロラグビーをけん引してきた。2015年まではニュージーランド(NZ)、南アフリカ、オーストラリアの南半球3強国のプロクラブで行われてきたが、2016年からアルゼンチン、日本からもチームが参戦。各国の代表選手、代表を目指すトップ選手たちが攻撃的なラグビーで観客を楽しませるエンターテインメント性の高いリーグだ。ラグビーワールドカップ日本大会からラグビーに関心を持った皆さんにも、十分に楽しめるものだ。
1月31日の開幕戦が行われたのは、2011年のラグビーワールドカップ(RWC)のメインスタジアムだったNZオークランドのイーデンパーク。ブルーズ対チーフスのNZダービーだった。チーフスは、ウェールズ代表を12年にわたって率い、昨年のRWC日本大会にもやってきた名将ウォーレン・ガットランドが今季から指揮を執る。元ニュージーランド代表(オールブラックス)SOアーロン・クルーデンがフランスから戻り、3年ぶりに復帰したことも話題だ。初戦ではブルーズに先制されながら、後半にクルーデンやオールブラックスのCTBアントン・レイナートブラウンなどを投入して流れを変えて逆転。最終的には37-29で白星スタートを切った。
三連覇を狙う王者クルセイダーズは、オーストラリアのワラターズと対戦。キャプテンに就任したLOスコット・バレットのパスを受けたWTBウィル・ジョーダンの先制トライ。今季の注目株であるWTBレスター・ファインガアヌクがパワフルにタックラーをかわすトライなどで43-25と快勝した。
開幕節で驚きのパフォーマンスを見せたのは、なんといってもサンウルブズだ。今季はトップリーグと日程が重なったことで日本代表選手の招集が難しい中、よくチームがまとまっている。大久保直弥ヘッドコーチ、沢木敬介コーチングコーディネーターを軸に約4週間、「テストマッチ(国代表同士の試合)のつもりで、必勝態勢で臨む」(大久保HC)と、レベルズ(オーストラリア)にターゲットを絞って準備したという。
写真:ジェームズ・ダーガヴィル
福岡のレベルファイブスタジアムには、国内では東京以外で初開催となるスーパーラグビーを一目見ようと、10,426人の観衆が集った。キャプテンのFBデイン・ハイレットペティを筆頭にオーストラリア代表を多数含むレベルズに対し、サンウルブズは序盤からスピーディーに戦った。前半9分、天理大学3年のWTBシオサイア・フィフィタの突進でチャンスを作ると、キャプテンを務めたCTB森谷圭介が先制トライ。森谷は26分にも好判断のロングパスでWTBタウタラタシ・タシのトライを導くなど、攻守にチームをリードした。大きかったのは後半開始早々のFBジェームズ・ダーガヴィルのトライだ。レベルズのショートパントをハーフウェーライン付近のタッチライン際で確保すると、約50mを走り切ってのトライ。これで、29-13と点差を広げると、後半なかばには早稲田大学4年のSH齋藤直人が登場し、ゴール前スクラムからのサインプレーでSOガース・エイプリルのトライを引き出すなど冷静にプレー。同大学4年のCTB中野将伍も終盤に交代出場しスタンドを沸かせた。最後は点差を詰められたが、齋藤が好タックルでノックオンを誘うなど守り切った。
写真:ガース・エイプリル
サンウルブズがレベルズに勝ったのは、6度目の対戦にして初めて。大久保HCは「ファンの皆さんは、(サンウルブズは)大丈夫なのかと思っていたでしょう。我々が寄せ集めではないと分かってもらえたら嬉しいです」と笑顔で勝利を喜んだ。「ロースコアのゲームでは勝つチャンスがないと思っていました。30点取りに行こうというのがスタートでした。(レベルズの得意の)モールでトライされたことにショックはありませんでした。何本かはトライをされるだろうけど、取り返そうというのが良かったと思います」。サンウルブズはこれまでも攻撃型のチームだった。取られたら取り返す。今後も、そのアグレッシブな姿勢を楽しみにしたい。
この3試合以外では、オーストラリアのブランビーズ、南アフリカのシャークス、ストーマーズ、アルゼンチンのハグアレスらが初戦を勝利で飾っている。ハグアレスは昨年までジャガーズと表記されていたが、現地の読み方にならってJSPORTSでは今季よりハグアレスと呼ぶことになった。RWC直後のスーパーラグビーは各チームに若手選手が多くなる。各国の代表チームに入る選手が誰になるかを想像するのも楽しみの一つ。RWCでも、トップリーグでもないスーパーラグビーは、演出もプロフェッショナルで華やか。一味違ったラグビー観戦を、テレビでスタジアムで堪能してみてはどうだろう。
文:村上 晃一
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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