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トップリーグ2020で関西を拠点とする2チーム、神戸製鋼(兵庫・神戸市)と、NTTドコモ(大阪府大阪市)が激突する。
第4節を迎えた日本最高峰「トップリーグ2020」。
2日2日(日)は兵庫・神戸総合運動公園ユニバー記念競技場で、開幕3連勝で総合2位につける神戸製鋼コベルコスティーラーズが、1勝2敗(13位)のNTTドコモ レッドハリケーンズを迎え撃つ。
下馬評では、2連覇を狙う神戸製鋼が有利だろう。
先発メンバーを見てみると、2019年W杯の日本代表4名がスタメンで出場。
フォワードでは、中島イシレリがロックで先発。2019年W杯ではプロップだった中島だが、神戸製鋼では過去ロックで出場しておりサプライズではないだろう。
バックスには、センター(CTB)ラファエレティモシー、ウイング(WTB)アタアタ・モエアキオラ、フルバック(FB)山中亮平という豪華メンバーが並ぶ。
ゲームをコントロールするのは共同主将のスクラムハーフ(SH)アンドリュー・エリス、スタンドオフ(SO)ダン・カーター。元ニュージーランド(NZ)代表のコンビだ。
注目は、今季初出場・初先発のフランカー(LO)ブロディ・マクカラン。192センチ105キロのルーキーは帝京大学の出身だ。
NZの名門ハミルトン・ボーイズ高から日本で経験を積み、今週いよいよトップリーグにデビュー。サイズもあるが、愚直に身体を張れるメンタリティも魅力だ。
もう一人は、ここまで2トライを挙げている日本代表のWTBモエアキオラ。2023年W杯での活躍が期待される。
東海大の元キャプテンは2019年、初挑戦だったスーパーラグビーでチーフス(NZ)の一員としてインパクトを残した。確実に前に出られる突進力が武器だ。
ただ2019年W杯では、メンバーに選出されたものの出場はお預け。その大きな理由は、大会前に前哨戦として行われた南アフリカ戦(9月6日/●7-41○)での低パフォーマンスだったろう。
ただ、本人にしてみれば厳しい状況だった。
当時保持していた日本代表の3キャップは、準日本代表で臨んだ2016年アジア選手権のもの。ほとんど代表デビュー戦の心境だったはずだ。
しかも前半4分に先発のWTB福岡堅樹が怪我をして、想定よりも早くピッチに入ることになった。
そして、ポジションの対面は、その後W杯で世界中を熱狂させることになるチェスリン・コルビ。経験の差は歴然で、レギュラー獲りのアピールには厳しい条件ばかり揃っていた。
しかし本来ならば世界を驚かせるポテンシャルは持っているだろう。だからこそ、トップリーグでの大暴れを期待したい一人だ。
そんな王者・神戸製鋼に立ち向かうのがNTTドコモだ。
2019年W杯日本代表はLOウィンピー・ファンデルヴァルト。ただ過去3節に続いて今週もメンバー入りはなく「(2月15日の)ヤマハ発動機戦で復帰見込み」(マイケル・ブリューワーHC)という。
現在13位のNTTドコモであるが、アタックのデータは上位だ。
第3節を終えてトライ数は7位タイ(11)、ボールキャリーは5位(388)、ディフェンス突破数は5位(96)。
注目のデータは、タックルを受けながら味方にパスをするオフロードパスの回数だ。39回でリーグ単独トップだ。
サンウルブズでのプレー経験もあるCTBパエアミフィポセチといった突破役が前に出ると、すかさず巧みなオフロードパスで、さらなるラインブレイクを狙う。NTTドコモのオフロードパスにも注目したい。
ただ、そうしたアタック機会を数多く獲得するためには、セットピース(スクラム、ラインアウト)の安定が必要だろう。強力フォワードを擁する神戸製鋼を向こうに、どこまで食い下がれるか。
そんなNTTドコモで注目したいのは「2人のヒーロー」だ。
1人目のヒーローはスクラムハーフの秦一平(はた・いっぺい)。神戸製鋼戦はリザーブから出場機会を狙う。
2月1日に30歳になったばかりのオーガナイザーは、身長が今季トップリーグ最小となる153センチ。体重は53キロだ。
ラグビーはそれぞれの体形、性格に合ったポジションが用意されている多様性のスポーツだが、153センチの秦は、そんなラグビーの魅力を体現している選手と言えるだろう。
その実力について、NTTドコモのブリューワーHC(ヘッドコーチ)は「テンポが速く、ゲームセンスがいい」と評価。秦は小柄な選手に勇気を与えるヒーローと言えるだろう。
そして、もう一人のヒーローは、CTBマーティー・バンクスだ。
過去3戦はスタンドオフだったが、今週はセンターが戦場になるバンクスは身長190センチ。
彼は母国NZではオールブラックスではないものの、コアなラグビーファンから人気を集める“カルトヒーロー”だ。
理由はNZの国内選手権での大活躍。
2013年にタスマン地方の代表になると、精確無比かつ特大のキックを武器に、6試合で130得点(タスマン・ユニオンのレコード)を記録するなど伝説的な活躍を見せた。
2015年はスーパーラグビーのハイランダーズ(NZ)で、決勝戦に途中出場。殊勲のドロップゴールを決め、初優勝に貢献した。
ロシアリーグでのプレー経験もあるなど、謎めいた経歴もコアファンの興味をそそるようだ。バンクスの正確なロングキックにも要注目だ。
両軍の個性が光る関西ダービー。「神戸製鋼コベルコスティーラーズ×NTTドコモレッドハリケーンズ」は、2月2日(日)14:00から、JSPORTSオンデマンドでLIVE配信される。
文:多羅 正崇
多羅 正崇
スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。
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