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世界最高峰リーグ「スーパーラグビー」。
ニュージーランド、南アフリカ、オーストラリア、アルゼンチン。
この南半球の強豪4か国の15クラブに、日本チーム・サンウルブズを加えた16チームが、最強クラブの座を懸けて、トライを奪い合うスリリングなアタッキングラグビーを展開する。
2019年ワールドカップで世界を熱狂させた各国スター選手はもちろん、4年後のワールドカップ出場を狙う男達も参戦。ここでは2020年のスーパーラグビーを彩る猛者たちを紹介しよう。
■布巻峻介(サンウルブズ)
センター、スタンドオフだった東福岡時代は、高校2年で7人制日本代表の練習生に。「超高校級」「怪物」と話題を集めた。高校日本代表のキャプテンも務め、2019年W杯日本代表に5人を輩出した92年度生まれの黄金世代(北出卓也、徳永祥尭、流大、福岡堅樹、松島幸太朗)を引っ張った。
早大3年時にフランカーへ転向。ジャパンのFW第3列は熾烈な争いで、2019年W杯メンバーからは漏れてしまったが、さらなる成長を求めてスーパーラグビーの舞台に身を投じる。
父・浩二さんは元ラガーマン。父がコーチを務めた福岡・かしいヤングラガーズが原点だ。小学生の頃からスーパー12(現スーパーラグビー)に熱中。地元福岡のうどんが好物。
■ダミアン・マッケンジー(チーフス)
身長175センチと小柄だが、脅威の加速力、天与のラグビーセンスでオールブラックスの座を射止めたスピードスター。しかし2019年4月の第9節ブルーズ戦で、右膝の前十字靭帯を断裂。2019年W杯を逃してしまった。しかし今季開幕時点で24歳の若手であり、4年後のフランス大会出場が期待されている。
優れたキッカーであり、プレースキックで微笑を浮かべる独特のルーティンでおなじみ。冗談交じりに「仲間にからかわれるので(微笑を)止めようかと考えている」と語ったこともあるが、果たして今季も微笑は見られるのか。
NZ最南端のインバカーギル出身で、北部の大都市オークランドのような人混みは苦手。プロテニス選手のロジャー・フェデラーのファン。好きな女優はオーストラリアのマーゴット・ロビーだ。ゴルフが趣味で、9歳からプレーしている。
■ボーデン・バレット(ブルーズ)
2015年W杯はニュージーランドの英雄、ダン・カーター(現神戸製鋼)の控えだったが、2016、17年のワールドラグビーの年間最優秀選手に選出されるなど急成長した。
2019年W杯はフルバックとして出場し、ストレートランが全体1位(86回)、クリーンブレイクは2位タイ(12回)。安定感抜群の実力で世界3位に貢献。カナダ戦では弟スコット、末弟ジョーディーと出場し、W杯史上初めて兄弟3人が同じ試合でトライを決めた。
閉所恐怖症であり、学生時代に戸棚に閉じ込められたことがきっかけ。実家は元ハリケーンズの父ケビンが経営する農場だが、後継者になるつもりはないという。釣りが趣味で、インスタグラムに釣果をアップすることも。ニックネームは「バズ(Baz)」。
■TJ・ペレナラ(ハリケーンズ)
オフロードパスやサポートランに定評があるニュージーランド代表“オールブラックス”のスクラムハーフだ。闘争心に溢れ、ジャッカルも得意とする。
5試合に出場したW杯日本大会のナミビア戦では、左手一本で華麗なトライを決めて話題に。その左腕にはニュージーランドの先住民マオリ族に由来するタトゥーがある。オールブラックスが試合前に見せる伝統舞踊「ハカ」では、マオリの血を引く選手が先導役「リード」を務める。ペネナラは長らくハカのリードを任されている。
社会問題への関心が高く、LGBTを積極的に支援している。ゲイのオールブラックス選手も歓迎したいと公言するなど、オピニオンリーダーの横顔を持つ。19年に結婚。妻グリーはレゲエバンドのシンガーだったことも。
【日本語訳付き】カパオパンゴ|ラグビーニュージーランド代表 ラグビーワールドカップ2019
■セヴ・リース(2019SRトライ王・RWC2019代表)(クルセイダーズ)
22歳のワンダーボーイだ。2019年にクルセイダーズで追加招集されると、デビュー戦でマン・オブ・ザ・マッチに。2019年はシーズン15トライを記録して3連覇に貢献した。そのままオールブラックスの主力へ駆け上がると、W杯日本大会では4試合に出場。2トライをマークした。
フィジー生まれで16歳からニュージーランドでキャリアを積んだ。美声の持ち主で、W杯期間中、リースがNZの人気バンド『Six60』の曲を歌うSNS動画が話題になった。
?? Sevu Reece giving @SIX60 a run for their money.#BACKBLACK pic.twitter.com/O4AgVntfOo
? All Blacks (@AllBlacks) October 25, 2019
■アーディー・サヴェア(RWC2019代表・WR2019年間MVP候補)(ハリケーンズ)
攻防戦で馬力を発揮するオールブラックスのバックロー(FW第3列)。ボールキャリーやジャッカルも強烈だが、ディフェンスも得意だ。2019年W杯は5試合に出場し、タックル成功率は脅威の98%をマーク。カナダ戦では左目の視力低下を防止するため、W杯史上初めてゴーグルを着用して出場した。オールブラックスのジャージーが黒いこともあり「バットマン」と話題に。
学生時代からファッションに敏感で、2017年には妻サスキアと共同でファッション・ブランド「Ardie Savea Clothing」を立ち上げた。兄ジュリアンは「ザ・バス」の異名を持つオールブラックスのトライゲッターだったが、2017年頃から代表から遠ざかっている。
■シヤ・コリシ(RWC2019優勝キャプテン)(ストーマーズ)
黒人初の南アフリカ代表キャプテン。2019年W杯で優勝杯「ウェブ・エリス・カップ」を掲げ、南アフリカの英雄となった。
南部の大都市ポートエリザベスの黒人居住区で育った。幼少期は貧しく、靴を買えず裸足で通学。家にテレビがなかったため、2007年W杯の南アフリカ優勝は近所の食堂で観戦したという。奨学金をもらって名門校に進んだことが転機となり、名選手への階段を上っていった。
日本代表の松島幸太朗とは旧知。松島は桐蔭学園(神奈川)卒業後に南アフリカのシャークス・アカデミーに武者修行しており、国内最高峰大会「カリーカップ」で対戦した。日本×南アフリカのW杯準々決勝では試合後に健闘を称えあった。
■ピーター ステフ・デュトイ(RWC2019代表・WR2019年間MVP)(ストーマーズ)
身長2メートルの大男だが、ポジションは特に運動量が求められるフランカー。ロックの経験も豊富だ。リーダーシップに優れ、南アフリカ代表の18年米国遠征でゲームキャプテンを任されている。
19年W杯日本大会では5試合の出場ながら、大会9位となる61タックルを記録。大会後、南アフリカ選手として3人目となるワールドラグビーの年間最優秀選手賞を受賞した。
祖父も元南アフリカ代表で、弟ヨハンはストーマーズでチームメイト。妻ウィリーマイン・ドュ・トイは理学療法士。好きなミュージシャンは米『Black Eyed Peas』。
多羅 正崇
スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。
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