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写真:MOMのPR中島イシレリと新加入のCTBラファエレ
1月26日(日)、王者・神戸製鋼コベルコスティーラーズ(2勝)とサントリーサンゴリアス(1勝1敗)の優勝候補同士が激突。トップリーグ第3節で最も注目を集めた。
試合前には前座として、1995年、2011年に大震災の被災地となり、ラグビー日本選手権で、ともに7連覇を果たした神戸製鋼と新日鉄釜石のOB選手によるレジェンドマッチも開かれた。
神戸製鋼とサントリーは昨シーズンのプレーオフの決勝カードである。それだけでなく両チーム合わせて2019年ワールドカップに出場した9名のラグビー日本代表選手が名を連ねる。
さらに昨年のワールドカップでも活躍したニュージーランドやオーストラリア代表選手などのスター選手が登場することもあり、ワールドカップ会場だったノエビアスタジアム神戸には歴代4位、神戸で行われたトップリーグでは過去最高の2万6312人の観客が集まった。
神戸製鋼のキックオフで始まった試合は、神戸製鋼に3連敗中で、優勝争いのためにはなんとしても勝ちたいサントリーが積極的に攻めていく。
前半4分、サントリーが敵陣右ラインアウトからマイボールをキープし左に展開すると、中央でSO(スタンドオフ)田村煕が抜け出し、そのまま左中間にトライ。SO田村は自身でゴールも決めて、アウェイのサントリーが0-7と先制する。
神戸製鋼も10分、元ニュージーランド代表のSOダン・カーターのPG(ペナルティゴール)で3点を返し、3-7とする。その後、お互いに敵陣まで攻め込むも、相手の守備の前になかなか得点を奪うことができない。
すると16分、サントリーはハーフウェイライン付近でのラインアウトから右に展開。SH(スクラムハーフ)流とSO田村のループから中央でFB(フルバック)松島幸太朗が抜け出すと左サイドのWTB(ウィング)テビタ・リーにパス。
リーがそのまま滑り込んで左隅にトライかと思われたが、TMO(テレビジョンマッチオフィシャル)の結果、ノックオンと判定され、追加点はならなかった。
それでも、サントリーのアタックの時間が続き、20分、敵陣左ラインアウトからモールで中央まで押し込んでいき、ラックから右に持ち出すと相手がたまらず反則。SO田村がPGを決め、サントリーが10-3とリードを広げる。
だが24分、神戸製鋼は日本代表FB(フルバック)山中亮平がカウンターで抜け出すと、そのままボールを継続し、ゴール前に迫り、最後は山中がトライ。SOカーターのゴールも決まり、ホームの神戸製鋼が10-10と同点に追いつく。
それでも、サントリーは、33分にSO田村のPGで13-10とし再びリードする。だが、直後の35分、神戸製鋼は再びボールを継続し、中央でLO(ロック)張碩煥が抜け出し、最後はFL(フランカー)トム・フランクリンがゴールポスト左にトライ。
SOカーターのゴールも決まり、17-13とすぐに神戸成功がスコアをひっくり返す。その後はお互いにPGを決め合って、神戸製鋼が20-16とリードして前半を折り返した。
写真:カウンターを仕掛ける神戸製鋼FB山中
サントリーボールのキックオフで始まった後半は、リードしている神戸製鋼が先手を奪う。
後半5分、スクラムからボールを継続し、右に展開すると、CTB(センター)リチャード・バックマンが裏へのグラバーキック。そのボールをWTBアンダーソン フレイザーが押さえてトライ。ゴールは入らなかったが25-16と点差を広げる。
だが、負けられないサントリーも果敢にアタックし、ゴールラインまで迫っていく。12分、反則の繰り返しにより神戸製鋼のPR(プロップ)山下裕史がにイエローカードが出て、10分間のシンビン(一時的退場)となる。
数的有利なサントリーは敵陣でボールを継続し、何度もゴールラインに迫るが、神戸製鋼のディフェンスの前にトライを奪えない。すると16分、左サイドで痛恨のパスミスを神戸製鋼のWTBアンダーソンに奪われてしまう。
神戸製鋼はカウンターからボールをつなぎ、相手ディフェンスの一瞬の隙をSOカーターが見逃さずゲイン。最後は、この試合出色の出来を見せたCTBバックマンが相手のタックルを受けながらもゴール下に押さえてトライ。32-16としてさらに点差を広げた。
まだ、数的有利だったサントリーも21分、敵陣左スクラムから右に展開し、中央でもラックから更にボールを継続させると、WTB中鶴隆彰が突破し、ゴール前まで持ち込み、最後はルーキーのNO8(ナンバーエイト)テビタ・タタフが左隅に飛び込んで32-21とした。
しかし、神戸製鋼は25分にSOカーターのPGで35-21。14点差とし、2トライ&2ゴールでも負けない点差とした。
それでも、粘るサントリーも33分、敵陣右でのマイボールラインアウトからモールで前進。神戸製鋼の反則からクイックタップで仕掛けると、ボールを継続し、最後はWTB中鶴が左隅にねじ込んでトライ。途中出場のSOマット・ギタウのゴールは決まらなかったが、35-26と追い上げる。
その後もサントリーは攻撃の手を緩めなかったが、神戸製鋼も気迫で守り、トライを許さなかった。
サントリーは試合終了間際にSOギタウのPGで3点を加え、35-29まで詰め寄り、7点差以内の負けでボーナスポイントを獲得するも、そのままノーサイド。神戸製鋼がサントリーの追撃をかわして35-29で勝利した。
写真:神戸製鋼のディロンHC 山中、中島
開幕3連勝となった神戸製鋼のデイブ・ディロンHC(ヘッドコーチ)は、「自分たちの精度は完璧ではなかった。来週、その課題に取り組んでいきたい」。
「しかし、最終的に結果を得ることができたので、スタッフ、選手を誇りに思う」と結果に安堵しつつも反省を口にした。
さらに指揮官は「(阪神大震災から)25年は自分たちにとって重要です。当時、7000人の方々がなくなられた。そのご家族にご冥福をお祈りします」。
「自分たちは今日のパフォーマンスで、その方々を代表して戦う気持ちを持ち、その気持ちが少しでも伝わればと思っていた」と、ホームでの勝利での意味を口にした。
記者会見に出席したFB山中は「前半、サントリーの勢いでこっちに流れなかったが、しっかり準備したことを出せたところもあった。勝ち切れて良かった。毎試合満員のスタジアムでラグビーできることは嬉しく思う」。
「ワールドカップ効果もあると思います。選手は(いいプレーを)やり続けていくしかないし、そうすればラグビーがもっと盛り上がると思う」と今後も、好パフォーマンスを続けることを誓った。
MOM(マン・オブ・ザ・マッチ)に輝いたPR中島イシレリは「今日は自分じゃなくて、チームが良かった。80分間戦い続けられたことが良かった」とチームでの勝利を喜んだ。
1勝2敗となり10位となってしまったサントリーのミルトン・ヘイグHCは、「今日はすごく残念な結果になってしまいました」と肩を落としたが、「いいラグビーができた部分もあり、最終的に1ポイント取れたことがよかった。」と前を向いた。
共同キャプテンのひとりであるSH流も「2万6000人のお客さんがすばらしい空気を作り出してくれて、両チームのファンに感謝します」と感謝しつつ、「神戸製鋼は素晴らしいチーム、隙がない、素晴らしいチームと認識しました」。
「今のサントリーの全力は出せたと思いますが、力及ばなかった。少しずつ成長して、リーグ戦を粘り強く戦っていきたい」と相手を称えつつ次を見据えた。
3連勝でパナソニック ワイルドナイツに次いで2位につける神戸製鋼は、次節は2月2日(日)、兵庫県・神戸総合運動公園ユニバー記念競技場で、大阪に練習場を構えるNTTドコモレッドハリケーンズとの「阪神ダービー」を迎える。
一方、痛い2敗目を喫したサントリーは、次節は2月1日(土)、大阪府・万博記念競技場でNECグリーンロケッツと対戦する。
文/写真:斉藤健仁
ジャパンラグビー トップリーグ2020
【ハイライト】神戸製鋼コベルコスティーラーズ vs.サントリーサンゴリアス
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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