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ラグビー コラム 2020年1月23日

「語り継がれるシーズンにしたい」 サンウルブズ 大久保直弥ヘッドコーチに訊く

村上晃一ラグビーコラム by 村上 晃一
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2016年にスーパーラグビーの参戦し、5年目のシーズンを迎えるヒト・コミュニケーションズ サンウルブズ。今季限りで離脱が決まっており、今後の活動については未知数だが、スーパーラグビーという舞台がある限り、狼たちは戦い続ける。2020 シーズンのスローガンは「KEEP HUNTING」。選手、スタッフ一人一人が Hunt(チャレンジ)し続けることがサンウルブズの使命なのだ。昨年は、ラグビーワールドカップ(RWC)イヤーということもあり、ヘッドコーチもトニー・ブラウン不在の時は、スコット・ハンセンが代行を務めるなど、ヘッドコーチ、選手ともに入れ替わりが激しかった。今季はトップリーグとスケジュールが並行するという新たな難しさがある。今季の指揮を執る大久保直弥ヘッドコーチは、これをどう乗り切るのか。その意気込みを訊いた。

――ヘッドコーチ就任を引き受けたいきさつを教えてください。
「僕自身はこの2シーズン、サンウルブズのコーチングスタッフとして活動し、チームに対する愛着も感じています。姫野和樹、中村亮土、徳永祥尭、布巻峻介ら若い選手が高いレベルを経験する中で成長するのも目の当たりにしてきました。話をいただいたときは、迷わず、ぜひやらせてくださいと返事しました。

大久保直弥さん

――最後のシーズンということは、決断の妨げになりませんでしたか。
「なりませんでした。スタッフはネガティブではないし、やってやるぞという気持ちです。今年はトップリーグと日程が重なり、選手をそろえるのが難しい状況ですが、それでも日本人、外国人関係なく、サンウルブズでプレーしたいと言ってくれる選手がいます。覚悟を決めた選手に対して、僕らも中途半端なことはできません。最後だけれど語り継がれるシーズンにしたいと思っています」

――トップリーグの選手の参加が難しい中で、パナソニック ワイルドナイツの布巻峻介選手が早々にメンバー入りを発表しましたね。
「彼はパナソニックのリーダーです。悩んだようですが、それでもサンウルブズでプレーしたいと正直な気持ちを打ち明けてくれました。しかし、昨年のように大人数が入れ替わりながら戦うのであれば来る意味はないのではないかという気持ちがあったと思います。そんなことはしない。それは僕と沢木敬介(コーチングコーディネーター)で責任をもってやると話しました」

――沢木さんとはどんな役割分担になるのですか。
「ラグビーの戦術・戦略の部分は沢木中心でやります。僕は彼のアイディアが生かされるような環境を作る。それと同時にFWのところは、僕と田村義和(スクラムコーチ)で、ディフェンスについてはネイサン・グレイ(テクニカル・ディレクター)がコーチします」

――今季は初めて秩父宮ラグビー場以外でも開催されますね。
「福岡での開幕戦は我々にとってテストマッチ(国代表同士の試合)だと思って、勝つことに集中します。RWCが開催されたことで、ラグビーを見る文化、楽しみ方は醸成されつつあります。スーパーラグビーは世界一のアタッキング・ラグビーと言われます。ラグビーが盛んな福岡、大阪でそういうラグビーを見せられるのは楽しみです」

――1月25日のチャレンジバーバリアンズとの試合はどんな狙いがありますか。
「開幕戦のレべルズに対して戦い方のチェックと、チームのリーダーが誰かを見ていきたい。昨季のレベルズ戦のスタッツ(統計数値)を見ると、レベルズのボールインプレーの時間が28分から29分くらいと少ない。つまり、セットプレーが強い彼らの持ち味を出させている。まずは、サンウルブズがよく多く走ることが大事です。もちろん、闇雲に走るのではなく、蹴るべきところは蹴り、圧力をかけて、蹴らせて切り返すということです」

――対戦を楽しみにしているチームはありますか。
「サンウルブズはオーストラリアカンファレンス所属です。今回、元オーストラリア代表のネイサン・グレイがコーチングスタッフに入ってくれたのですが、彼はたくさんの情報を持っています。各チームの予想スタメンもすらすらと出てくる。対オーストラリアチームには鬼に金棒です」

――NTTコミュニケーションズシャイニングアークスのヘッドコーチだったロブ・ペニーさんは、ワラターズのヘッドコーチになりましたね。
「彼のことはよく知っています。選手の育成に定評のある人なので、その彼がスター軍団のワラターズをどんなチームにするのは興味がありますね」

大久保直弥さん

――サンウルブズはどんな戦い方になるのですか。
「サンウルブズがオーソドックスにやったら絶対に勝てない。相手がやらないようなことにチャレンジして、勝機を見出すしかない」

――具体的な目標はありますか。
「過去4年で8勝しかできていませんが、今年はプレーオフ進出のチャンスがあると思っています。去年はホームで勝てなかったので、ホームで勝つことにもっと力を注がないといけない。勝ち点で30~35ポイントあげられたら良いと思っています」

――スローガンの「キープ・ハンティング」とは別に「真剣」というキーワードもあるようですね。
「真剣は叩けば叩くほど、鋼が強くなる。それはタフにつながる。精神的肉体的な強さということです。もう一つは、切れ味。シャープ。攻撃も防御も攻撃的に行こうということ。もう一つが、イノベーティブ。日本刀は日本古来のもので、独自の製法と独自の技術でできている。最後はレガシー。武器ですが、何百年も残る美術品でもある。その4つを含めた『真剣』を、自分たちのマインドセットにしようと思っています。いろんなルーツを持つ選手が、ひとつにまとまるために『真剣』をキーワードにやろうと思います。あとは、それを体現するリーダーが出てきてくれるかどうかですね」

――大久保さんは以前「サンウルブズのファンは世界一」というコメントをされています。ファンを楽しませたいですね。
「それに尽きます。昨年は負け方が悪かった。前半に良いスタートを切りながら間の抜けた時間にスコアされて負けている。今年は最初の20分で自分たちの布石を打ち、粘ってつないで最後にフィニッシュしたい。そういう勝利のシナリオを描き、シーズンの中で進化させたいです」

大久保直弥さん

――日本代表のコーチになりたいという希望はありますか。
「いつでも日本代表にチャレンジしたい気持ちはあります。ラグビーの知識については、いまは皆さん変わらないです。僕は知恵のあるコーチになりたい。ロブ・ペニーや、エディー・ジョーンズといった世界的に優秀なコーチと仕事してきました。彼らを真似るのではなく、自分の伝えたいことを伝え、権威ではなく知恵のあるコーチになりたいと思っています」

文:村上晃一

村上晃一

村上 晃一

ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。

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