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ラグビー コラム 2020年1月21日

福岡堅樹、今季「最後」のトップリーグでダメ押しトライ ノーサイド直前、ボーナス点を巡る攻防が観客を沸かせる

村上晃一ラグビーコラム by 村上 晃一
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Kenki Fukuoka _pannasonic

写真:福岡堅樹/パナソニック

のべ11万人を越えた開幕節に続き、1月18日、19日に開催された第2節ものべ10万人を突破。日本ラグビー最高峰ジャパンラグビートップリーグのすさまじい観客動員力は衰えない。2試合開催の会場で観客数の多い2試合目を抜き出しての計算でも、第1節=92,347人。第2節=84,605人である。ここまでは日本代表選手が多いチームの直接対決があったこともあり、今後この数字が続くかどうかは試合内容、観戦環境の快適さ、熾烈な順位争いが継続されるかどうかにかかってくる。入退場時をいかにスムーズにするか他、多くの課題があるが、試合内容は第2節も白熱した。

トップリーグ史上最多の観客数を記録したのは豊田スタジアムだ。日本代表NO8姫野和樹キャプテンが率いるトヨタ自動車ヴェルブリッツ、日本代表HO坂手淳史がキャプテンを務めるパナソニックワイルドナイツの対戦は、優勝候補同士とあって、観客は、37,050人。試合は序盤から白熱。前半2分、パナソニックは自陣からの攻撃で南アフリカ代表CTBダミアン・デアリエンディが先制トライ。トヨタは18分、昨季のトップリーグ新人賞を受賞したCTB岡田優輝がトライを返す。28分にはトヨタFBウィリ・ルルー(南アフリカ代表)が自らのパントを追いかけてトライ。前半は13-7とトヨタがリードする。

後半も接戦になったが、試合の流れを決定づけたのはパナソニックWTB福岡堅樹の個人技だった。31分には難しいパスをキャッチしながら驚異的な加速力でタックラーを1人、2人とかわして前進し、WTB竹山晃暉のトライに導き、37分には相手のパスミスをキャッチして、33-20と、突き放すトライをあげた。東京オリンピック出場を目指し、男子7人制日本代表スコッドに合流するため、今季のトップリーグはこれが最後。強烈なインパクトを残して次のステージへ向かった。最終スコアは、40-20。今後は福岡不在のパナソニックの戦いぶりも注目される。

【ハイライト】トヨタ自動車ヴェルブリッツ vs. パナソニック ワイルドナイツ|ジャパンラグビー トップリーグ2020 第2節

王者神戸製鋼コベルコスティーラーズは、1月18日、静岡県磐田市のヤマハスタジアムでヤマハ発動機ジュビロと戦った。観客は、10,163人。先制したのはヤマハだった。前半11分、自陣からの攻撃でFBサム・グリーンが左タッチライン際にグラバーキック(地面を転がるキック)、これを追ったWTBシオネ・トゥイプロトゥは転がるボールをインゴール方向にさらにキック、最後は神戸製鋼WTB山下楽平との競り合いになったが、芝の上に滑り込むと胸にすっぽりボールが入り、そのままインゴールに駆け込んだ。アクロバティックなトライにヤマハサポーターは大いに沸いた。神戸製鋼も15分、「世界最高のLO」の呼び声高いオールブラックスのブロディ・レタリックがゴール前5mからパワフルに突進してトライ。SOダン・カーターのゴールも決まって、7-7の同点とする。

神戸製鋼 アタアタ・モエアキオラ

写真:神戸製鋼 アタアタ・モエアキオラ

その後、ヤマハは神戸製鋼のプレーメイカーであるカーターを徹底マーク、攻めてはグラウンドを横幅いっぱいに使う攻撃で王者を苦しめる。しかし、トライを獲り切る力は神戸製鋼が上だった。前半30分、ディフェンスからボールを奪い返すと、再三力強い突進を繰り返していたNO8タウムア・ナエアタが相手陣に入り、レタリック、CTBラファエレ ティモシー、カーターとパスをつなぎ、最後は日本代表WTBアタアタ・モエアキオラがトライ。22-10とリードを広げる。連続攻撃でディフェンスを崩したかと思えば、PKからの速攻、ターンオーバーからの大幅ゲインと多彩なトライを奪った神戸製鋼が、36-24で勝利した。

この試合は終盤の攻防も激しかった。36-24の内訳は、神戸製鋼のトライ5に対し、ヤマハは3。7点差以内の負けによるボーナスポイントを狙うヤマハと、3トライ差以上で得られるボーナス点を狙う神戸製鋼。1点獲得にしのぎを削る激闘は観客席をも熱くした。今季は16チームの総当たり戦の末、勝ち点の合計で順位を決める。プレーオフによる優勝決定戦がないため、特にボーナス点が大切になるのだ。

同じように、時間切れのホーンが鳴ってからも長く攻防が続いたのが、サントリーサンゴリアス対NTTコミュニケーションズシャイニングアークスだ。18日、秩父宮ラグビー場で行われたこの試合は、後半19分、サントリーWTB中鶴隆彰がトライして22-10となったが、その後は拮抗した展開でスコアが伸びなかった。最後はボーナス点を巡る攻防が86分まで続いた。そのままサントリーが勝ったのだが、互いに力を出し切る好勝負となった。気温2度、冷たい雨が降っていたが、それでもカッパを着て応援を続けた15,826人の大観衆を試合内容で楽しませた。

この他にも、第2節は僅差が多かった。19日に鈴鹿で行われたHondaHEAT対クボタスピアーズでは、後半37分、WTB白井竜馬の同点トライ、SOバーナード・フォーリー(オーストラリア代表)の決勝ゴールでクボタが競り勝った。同日、福岡で行われた宗像サニックスブルース対リコーブラックラムズは、試合終了間際で18-16のリコーリード。ここからサニックスが猛攻を仕掛け、ゴールに迫りながらミスでボールを失っての悔しいノーサイドだった。

第2節もパナソニックWTB福岡堅樹、サントリーFB松島幸太朗が卓越したスピードを披露。神戸製鋼のラファエレも股下パスなど、華麗な個人技が数多く見られた。第3節以降も観客を楽しませるプレーがたくさん見られるだろう。1月26日のノエビアスタジアム神戸では、神戸製鋼とサントリーという注目カードはあるが、強豪同士の戦いは一段落する。今後は、観客を待つのではなく、さらに増やし、その観客を楽しませる運営が望まれる。

文:村上晃一

【ハイライト】ヤマハ発動機ジュビロ vs. 神戸製鋼コベルコスティーラーズ|ジャパンラグビー トップリーグ2020 第2節

村上晃一

村上 晃一

ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。

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