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1月19日(日)、2019-20シーズンのトップチャレンジリーグ最終戦が行われ、東京都・秩父宮ラグビー場では午後2時から、近鉄ライナーズと栗田工業ウォーターガッシュの一戦が行われた。
ここまで6戦全勝の近鉄は、日本代表LO(ロック)として、昨年のワールドカップを含む、日本代表史上最多の4大会出場を果たした『鉄人』『東大阪のヒーロー』こと、トンプソン ルークの現役最後の試合となった。
そのため、会場には「トモさん、ありがとう」などのボードや横断幕を持ったファンら、1万4599人が詰めかけ、トンプソンのラストゲームを見守った。
3勝3敗の栗田工業は、ゲームキャプテンを務めるLO中尾光男を始め、FL(フランカー)ジェイコブ・エリソン、SH(スクラムハーフ)レオン・エリソンのエリソン兄弟が先発。
明治大学出身の新人SO(スタンドオフ)忽那鐘太、CTB(センター)にはスーパーラグビーノレベルズでプレーしたトム・イングリッシュ、7人制日本代表のトレーニングスコッドに呼ばれたこともあるWTB(ウィング)ベン・ポルトリッジらも先発に名を連ねた。
近鉄はトンプソンのほか、ゲームキャプテンで、今年のサンウルブズスコッドの1人、LOマイケル・ストーバーグ、PR(プロップ)豊田大樹、FL野中翔平、SHウィル・ゲニア、SOクエイド・クーパーのオーストラリア代表経験のあるハーフ団。
また、昨年サンウルブズで大活躍したFB(フルバック)セミシ・マシレワらが先発し、リザーブにはベテランのFB正面健司らが控えた。
この試合、ホームは紺色ジャージーの栗田工業だったものの、引退するトンプソンのために、近鉄に赤青のファーストジャージを譲り、栗田工業は水色のセカンドジャージで臨んだ。
試合は序盤からFW(フォワード)が優勢な近鉄が優位に進めるが、栗田工業の粘り強いディフェンスの前に点を取ることができなかった。
それでも近鉄は前半12分、モールを起点に展開し、最後はLOストーバーグがトライ。SOクーパーのゴールは外れたものの、5-0と近鉄が先制。
20分には、今後はスクラムからNO8(ナンバーエイト)ロロ・ファカオシレアが、24分にはラインアウトからモールでHO(フッカー)樫本敦がトライを挙げた。
さらに35分にはスクラムを押し込み、ペナルティトライの判定となり、24-0と大きくリードする。
LOトンプソンも果敢にボールに絡み、スクラム、モールでは持ち味の体を張ったプレーを披露した。
さらに前半ロスタイムにもCTBパトリック・ステイリンのトライと、SHゲニアのゴールで7点を追加し、31-0と近鉄が大きくリードして前半を折り返した。
後半に入っても、FW、接点で上回る近鉄のペースは変わらない。6分にはFBマシレワ、12分にFL野中がトライ。後半20分を過ぎると、近鉄はさらに攻撃の勢いを増す。
23分にはSOクーパーがトライし、28分と31にはNO8ファカオシレアがハットトリックとなる連続トライ。
「ラグビーの伝統で引退する選手がキッカーを務める」(LOストーバーグ)と話したように、32分にはサッカー経験もあるLOトンプソンが見事にコンバージョンを決め62-0とする。
多くのファンから「トモ」コールが流れる中、試合終盤の後半38分、トンプソンのトライが期待されたが、「僕は猛スピードない。10年前だったら自分で取っていた(苦笑)」と、LOトンプソンはFBマシレワにパスして、そのままトライ。
50分にも、FBマシレワがハットトリックとなるトライを追加。LOトンプソンは最後にもう一度コンバージョンキックに挑戦したが、右隅からのゴールは外れたものの、11トライを挙げた近鉄が74-0で大勝し、トップチャレンジ優勝を決めた。
なお、今季はワールドカップシーズンのため、トップリーグが変則的なスケジュールの開催になり、トップチャレンジ優勝チームとトップリーグ最下位の自動降昇格はない。
試合後、そのままピッチで引退セレモニーが行われた。トンプソンは「うれしいです。試合に勝ちました。だから、ちょっと疲れた。感謝しています」と話した。
LOトンプソンは近鉄のアンバサダーで、日本語や生活について教えてくれたタウファ統悦、栗田工業から花束を受け取ると、「TOMO 4」と書かれたTシャツを着た近鉄メンバー、スタッフと記念撮影。胴上げされた後、場内を1周してファンとの別れを惜しんだ。
試合後の会見で、栗田工業の山田紘也監督は、「コンディションを作るのが難しかった。だが、たくさんの人に栗田工業のラグビーを見てもらえてうれしい。チームは社業とラグビーの両立をしながらトップリーグ昇格が目標。来シーズン以降も工夫しながら実現を目指したい」と前を向いた。
ゲームキャプテンのLO中尾も「完敗ですね。近鉄は強かった。前半は我慢できたが、後半20分過ぎからは圧力を受け続けた」と話した。
近鉄の有水剛志HC(ヘッドコーチ)は、「優勝できてよかった。前半うまく近鉄のラグビーができない部分もあったが、後半は修正できた。トモ(トンプソン)のたっての希望で80分フル出場させました」と笑顔を見せた。
ゲームキャプテンのLOストーバーグは、「選手全員スタッフ4月から優勝を目指してきました。今日はすばらしいラグビーができました。今後も粘り強くボールを継続するラグビーをしたい」。
「ゲニアやクーパーといった、スター選手が加入してBK(バックス)もすごく良くなりましたが、FWのパックも強いです」。
「トモさんが今日で引退し、寂しい気持ちもありますが、まだこのチームに力を貸してくれると思うので、期待の方が大きいです」と語った。
そして、トンプソンは、「すばらしい仲間といいメモリーができた。会社、チームからのメッセージが入ったジャージもいいメモリー。今はちょっと汗臭くて着替えたいけど(笑)、ずっと大切に取っておくつもり」と笑いを誘った。
「(日本での)16年間はすごく長い。近鉄でプレーしたこと、日本代表になったことも感謝の気持ちでいっぱいです。本当に光栄です。仲間、スタッフ、ファン、家族に感謝している」と締めくくった。
トンプソンは、2年間の三洋電機、14年間の近鉄と日本でのラグビーキャリアを終えて、今後は故郷・ニュージーランドで農業に専念する予定だ。
それでも、日本、東大阪が大好きなトモさんは、何らかの形で日本、そして近鉄のために一肌脱ぐ日も来るはずだ。
文/写真:斉藤健仁
ジャパンラグビー トップチャレンジリーグ
トンプソン・ルーク 近鉄ラストゲーム
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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