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元ラグビー日本代表がトップリーグ2020の1位から5位を予想!
今シーズンのトップリーグは1月12日(日)に開幕。参加16チームによる総当たり戦(全120試合)で優勝が決まる。
今回は、コーチや解説等でマルチな才能を発揮している元日本代表、大西将太郎さんが登場。
啓光学園(現常翔啓光学園)で花園準優勝を経験したのち、高校日本代表ではキャプテンに。同志社大を経てワールド、ヤマハ発動機、近鉄、豊田自動織機と渡り歩き、スタンドオフやセンターとして、トップリーグで通算143試合に出場。
通算33キャップを重ねた日本代表では、2007年ワールドカップ(W杯)カナダ戦で、終了直前に同点のゴールキックを成功。日本のW杯連敗記録を13で止め、2007年大会のヒーローになった。
そんな大西さんにトップリーグ2020のベスト5予想、注目選手を挙げてもらった。
1位予想 パナソニック ワイルドナイツ(昨季6位)
パナソニックは2015年度から4シーズン優勝から遠ざかっています。ただ選手達の優勝に対するモチベーションは高い。日本代表のPR稲垣啓太も、このチームで優勝したいと意気込んでいるようです。
田中史朗(キヤノン)や山田章仁(NTTコム)が退団してメンバーが変わりましたが、選手層はまだまだ厚いです。マネジメントの変化が良いように運べば期待ができると思います。
2位予想 神戸製鋼コベルコスティーラーズ(昨季1位)
パナソニックと迷いました。優勝候補であることは間違いないでしょう。昨年15シーズンぶりに優勝したことで、チームのスタンダードが高くなりました。
そこへ日本代表のウイング(WTB)アタアタ・モエアキオラが大卒新人として、センター(CTB)ラファエレ ティモシーが移籍選手として入りました。
さらに新加入の外国人選手として、ニュージーランド(NZ)代表でロック(LO)のブロディー・レタリックも加わりました。外国人選手の強化も進んで戦力が上がっています。
これから「常に優勝していくチームになる」という意思表示が感じられます。連覇の可能性は十分あります。
これはパナソニックと神戸製鋼に共通する印象ですが、スタンダードが日本のトップリーグではなく、世界にあると感じます。どちらも海外に目を向けている海外志向のチームという感じです。
世界を知っている外国人スタッフ・選手が多く、チームに良い影響を与えています。
3位予想 トヨタ自動車ヴェルブリッツ(昨季4位)
なんと言っても、W杯でNZ代表を指揮したスティーブ・ハンセン(ディレクター・オブ・ラグビー)と、NZ代表の元キャプテンであるNO8キアラン・リードの存在感は大きい。
トヨタ自動車はこれまで南アフリカのスタイルでしたが、これからNZのスタイルへ持っていくのかもしれません。神戸製鋼はそのスタイル変更により、優勝を勝ち取りました。
そのスタイル変更がトヨタ自動車にハマるかどうか、という部分は見どころです。“勝ち癖”を知っている元NZ代表の彼らが、チームのマインドセットを変えられるかどうか。もちろん、日本代表の姫野和樹などメンツは揃っています。
4位予想 サントリーサンゴリアス(昨季2位)
優勝できる力は十分に持っていると思います。
新加入したオーストラリア代表のCTBサム・ケレビ、WTBテヴィタ・リーは、昨年少なかったペネトレーター(突破役)です。彼らが活躍できれば、他の日本人FWがさらに活きてくると思います。
新しいヘッドコーチは、W杯でジョージア代表を率いたミルトン・ヘイグさん。どんな結果を残してくれるのかが楽しみです。
今シーズンからサントリーの元指揮官(2010~12年度)で、イングランド代表ヘッドコーチのエディー(・ジョーンズ)さんがアドバイザーに加わりました。
イングランド代表の仕事があるので戦術・戦略に関してそれほど介入しないと思いますが、連敗が続いた場合などはアドバイスがあるかもしれません。エディーさんの仕事ぶりも楽しみです。
サントリーは「動き続けるラグビー」です。ただ、これまでのサントリーラグビーの“プラスアルファ”が見られる可能性はあります。どういったラグビーを見せてくれるのかが楽しみです。
5位予想 東芝ブレイブルーパス(昨季11位)
2018年度は所属カンファレンスで2勝5敗でした。しかしサントリーとの今シーズン開幕戦で勝ったりすると、流れが変わるのではと思っています。
新しいヘッドコーチは、元NZ代表のトッド・ブラッカダー。スーパーラグビーで2009年から2016年まで常勝軍団の古巣クルセイダーズを率いました。優勝はできませんでしたが、東芝は化けそうな気がしています。もともと良い選手が多いチームでもあります。
注目選手
注目は、NTTコミュニケーションズの南アフリカ代表フッカー(HO)、マルコム・マークスですね。フッカーは最前列でスクラムを組んだり、ラインアウトのスローイングをすることの多いポジションですが、彼はフッカーとは思えないような仕事を見せてくれると思います。
パナソニックのHO堀江翔太と共に「世界的なフッカーはこんなに色んなことができるんだ」というプレーを見せてくれそう。なんでもできる選手こそ、マークスです。
リコーのスタンドオフ(SO)ベリック・バーンズにも注目しています。パナソニックから今シーズンから移籍してきました。リコーの選手を化けさせてくれそうな気がします。
注目新人は、パナソニックのWTB/FB竹山晃暉(帝京大)。
トライを取るセンスは素晴らしいです。センターに南アフリカ代表で新加入のダミアン・デアリエンディ、ディラン・ライリーなど強力な選手がおり、外にいる竹山を活かす選手たちが多い。トライを量産する可能性は十分あります。
もう一人の注目新人は、サントリーのバックローであるテビタ・タタフ(東海大)。ずっと良い選手だと思っていました。
サントリーに入って身体も絞れて、走れるようになってきました。しなやかなプレーをする選手で、突破だけではなくカウンターもできる。献身性など、強さ以外の能力も兼ね備えています。
目黒学院、東海大学で同期だったアタアタ・モエアキオラ(神戸製鋼)が日本代表に選ばれていますし、4年後のW杯フランス大会に出たい、という思いは強いでしょう。トップリーグで爆発してほしいですね。
文:多羅 正崇
多羅 正崇
スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。
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