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ラグビー コラム 2020年1月6日

初の単独優勝狙う桐蔭学園。御所実業なら初優勝。ラグビー理解深い両校の駆け引きは必見

村上晃一ラグビーコラム by 村上 晃一
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高校大会の頂上決戦は、1月7日、桐蔭学園(神奈川)対御所実業(奈良)という東西のAシード同士の間で行われることになった。桐蔭学園は優勝1回、準優勝5回の実績を誇るが、第90回大会は東福岡との引き分け両校優勝だった。悲願の単独優勝に王手をかけたわけだ。一方、御所実業は準優勝3回。4度目の挑戦で初の頂点を狙う。両校とも、あと一歩で優勝を逃がしてきた過去があり、桐蔭学園の藤原秀之監督、御所実業の竹田寛行監督ともに頂点に立つ難しさを熟知する。周到な準備で臨むハイレベルの攻防になりそうだ。

桐蔭vs東福岡

写真:準決勝 桐蔭vs東福岡

春の選抜大会で三連覇を成し遂げた桐蔭学園は、今大会も安定感ある戦いを続けている。鍛え抜かれたコンタクトプレーの強さを武器に、攻撃的なディフェンスで圧力をかけ、ターンオーバーから効率よく得点する。進境著しいLO青木恵斗、抜群の突破力を誇るNO8佐藤健次らがボールを前に運び、久松春陽大、石塚勝己の両FLが攻守に動き回り、キャプテンのSO伊藤大祐が判断よくゲームを組み立てる。CTB渡邉誠人は突破力もあるが、相手の攻撃を寸断するタックルにも優れ、チーム全体のバランスの良さが際立っている。準々決勝では昨年の決勝で敗れた大阪桐蔭とのフィジカル対決を制し、ブレイクダウン(ボール争奪局面)では力強く相手選手を押し込んで何度もターンオーバーを決めて見せた。ラインアウトがやや不安定な以外スキは見当たらない。

御所実vs常翔

写真:準決勝 御所実vs常翔

対する御所実業もブレイクダウンで抜群の強さを見せている。準々決勝では試合巧者の東海大大阪仰星から何度もターンオーバーを勝ち取り、準決勝の常翔学園戦でも体格では劣りながら判断良くブレイクダウンに圧力をかけた。卒業後、パナソニックワイルドナイツ入りが決まっているPR島田彪雅、ハードタックラーのNO8西林勇登、小柄ながら力強いプレーを見せるSH稲葉聖馬、決定力あるWTB安田昂平、FB石岡玲英ら好選手が揃う。体格では桐蔭学園に劣るが、モールの推進力は大会随一。キック戦略にも長けてる。

今大会の戦いぶりで比較すれば、桐蔭学園がやや有利か。御所実業FWは全員が170㎝台。桐蔭学園は、安達航洋(190㎝)、青木(187㎝)の両LO、182㎝のFL石塚と、サイズは大きく上回り、結束力もある。がっぷり四つのFW戦になれば桐蔭学園が有利だろう。御所実業とすれば、消耗戦は避けたい。ボールを効率よく動かして先制し、ロースコアの勝負に持ち込めれば勝機は訪れる。ここまで4試合で1トライしか奪われていない鉄壁のディフェンスは、タックルした選手がすぐに起き上がって次に備える仕事量の多さと、緻密なコミュニケーションに支えられている。圧倒的な攻撃力を誇る桐蔭学園を最後まで止め続けられるかどうか。

竹田監督は31年目、藤原監督は18年目というベテラン指導者だ。長年積み重ねてきた努力が、教え子たちによってフィールドで表現されるだろう。そんな決勝戦に出会うことができた幸せをかみしめつつ観戦したい。ゲーム理解が深く、高校生レベルでは卓越したスキルを身に着けた両チームの選手たちが力を出し切り、悔いなくノーサイドの笛が聞けることを祈りたい。

文:村上 晃一

村上晃一

村上 晃一

ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。

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