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1月5日(日)、大阪・東大阪市花園ラグビー場で「花園」こと、全国高校ラグビー大会の準決勝2試合が行われた。
Aシードの御所実業(奈良)と桐蔭学園(神奈川)がそれぞれ持ち味を発揮し快勝し、7日(火)の決勝に駒を進めた。奈良県勢と神奈川県勢の決勝は初のこと。桐蔭学園が勝てば2度目の優勝、御所実業が勝てば初優勝となる。
写真:2トライの御所WTB安田
◆固い守備を見せた御所実業が決勝進出
1試合目は悲願の初優勝を目指すAシードの御所実業に、準々決勝で京都成章(京都)を下して勢いに乗るBシードの常翔学園(大阪第2)が挑んだ。
先制したのは御所実業。8分、ラックでターンオーバー後、ボールを継続しFL(フランカー)長船鉄心(3年)がトライ。
さらに13分、スクラムを起点にボールを継続して、FB(フルバック)石岡玲英(3年)からWTB(ウィング)安田昂平(2年)がトライを挙げて12-0とリードする。
22分、常翔学園の1年生SO(スタンドオフ)仲間航太がノックオンしたボールを見逃さず、御所実業SH(スクラムハーフ)稲葉聖馬(3年)が拾い上げてトライを上げて、前半は御所実業が19-0で折り返した。
後半も先手を取ったのは御所実業。4分、相手のキックをキャッチしたWTB安田がカウンターを仕掛けて60mを走り切ってトライし、26-0と大きくリードした。
常翔学園もFWを中心に攻め込み、15分にはFL原透和(3年)がトライを挙げたが、その後は御所実業の守備の前に得点を重ねることはできなかった。結局、4トライを挙げた御所実業が26-7で快勝し、4度目の決勝進出を決めた。
写真:ラインブレイクする御所FB石岡
◆御所実業 竹田寛行監督
「常翔学園の大きな体をどうやって倒すか(がテーマだった)。1人が3つの仕事をしないと、このゲームは成り立たないんだろなと。疲労も溜まっていて中々動けなかったですね。大きな身体に立ち向かってくれたこと。キックを上手に使ってくれた。みんな諦めない気持ちを見せたので次に繋がる。
(相手を1トライに抑えたが)もともとは守備のチームなので、後半、相手が風上になるので、3つ(のトライ)では厳しいかなとは思っていました。ここまで来られたので、多くの人に見ていただいて成長させてもらったので、最後までやり切るということが重要なポイントだと思います」
◆御所実業 FB(フルバック)石岡玲英選手
「日本一という結果に届くところまで来たので、感謝の気持ちを表現しつつ、(決勝は)100%成長したことを発揮したい。(準決勝は)相手が大きいからといってひるまず、自分たちの身体は小さいが前に出てディフェンスすることを60分やり切ろうと話していました。
組織でディフェンスしないと勝てないので、前に出るのか、タッチラインに追い出すのかコミュニケーション取って全員で同じディフェンスをしようとしていた。ここまで来たらやり切るしかないので、強みのディフェンスで前に前に出ていきたい」
写真:3位の表彰を受ける常翔学園PR為房
◆常翔学園 野上友一監督
「御所実業は個人が良かったし、よくラグビーを理解していた。ここぞというところで蹴ってくるし、攻めてきた。ベストを尽くしたが相手が強かった。(春から伸びたチームだが?)そうですね、十分健闘しました」
◆常翔学園 PR(プロップ)為房慶次朗キャプテン
「実力の差が出た試合でした。シンプルにFW(フォワード)で当たって、BK(バックス)で取り切るということをテーマにしていたが、なかなかFWで前に出られなかった。そこで予定が狂ってしまった。
(風下取ったのは)前半我慢して、後半勝負という中で、(前半)ミス連発してしまった。間違った選択してしまったかなと思います。3年間やってきて、過去2年ベスト4にいけなかったが、今年度はベスト4に仲間たちに連れて来てもらってうれしい」
全国高校ラグビー大会 準決勝
【ハイライト】常翔学園(大阪第2) vs. 御所実業(奈良)
写真:オフロードパスを試みる桐蔭伊藤主将
◆桐蔭学園が高校3冠、そして初の単独優勝に王手
2試合目は、Aシードで「高校3冠」を目指す桐蔭学園に、過去優勝6回優勝しているBシードの東福岡(福岡)がチャレンジした。
前半5分、大きく展開する東福岡のパスをWTB飯塚稜介(3年)がインターセプトし、そのままトライを挙げて7-0と先制する。
その後も、守備で光った桐蔭学園が相手に得点を許さず、17分にはCTB(センター)渡邉誠人(3年)がトライを挙げて14-0とリードする。
21分には東福岡にトライを許したが、27分にはLO(ロック)青木恵斗(2年)がトライを挙げて、桐蔭学園が21-7とリードして前半を折り返した。
後半、キックを蹴って敵陣で戦おうと意志統一した桐蔭学園は8分、相手反則から迷わずPG(ペナルティゴール)を選択し、これをCTB桑田敬士郎(3年)が決めて24-7とリードを広げた。
守備でリズムを掴んだ桐蔭学園は、22分には再び、LO青木がトライを挙げて31-7、さらに30分には主将SO伊藤大祐(3年)がDG(ドロップゴール)を決めて34-7としてノーサイド。
初の単独優勝を目指す桐蔭学園が、東福岡を34-7で下して7度目の決勝進出を決めた。
写真:DGを決める桐蔭SO伊藤主将
◆桐蔭学園 藤原秀之監督
「いろいろと(東福岡が)準備されているものもあって、かなりブレイクされた。大きなゲインもされた。しんどい中でも選手は頑張った。(ブレイクされても)大きなキズにならないようにしっかりボールをスローダウンさせてしたし、FWも近場頑張っていました。
ディフェンスは『1対1』と『コミュニケーション』がテーマと選手たちが決めていた。(東福岡は)トップリーグやニュージーランドのチームのようにワイドに攻めてくるチームで、日本には(ほとんど)ないチームだと思います。
(アタックでは)取れるところでトライが取ることができていた。ここ(決勝)までは何度も来ている。もう1つの壁を破れていないので今日、明日ともう1回準備をしたい。(決勝は)ミスした方が負ける。いかにチャンスでスコアをするかだと思います」
◆桐蔭学園 SO伊藤大祐キャプテン
「準決勝では中学時代にスクール一緒だった選手もいたので、楽しかった。負けたヒガシさんの分まで戦うのが大事だし、決勝はチャレンジャーとしてやっていきたい。ヒガシさんのアタックをチャレンジャーとして止めようとしたところが上手くいってペースをつかめた。
花園は別大会とずっと言ってきたので、次の一戦にすべてを賭けて高校3冠になればいい。決勝戦という舞台に立てることは光栄ですし、チームで何をやるか決めて自分たちのことを100%出したい」
写真:3位表彰を受ける東福岡CTB廣瀬主将
◆東福岡 藤田雄一郎監督
「桐蔭さんに力負けです。完敗です。アタックもディフェンスも素晴らしかった。あそこまで練習やって、何もできなかったので気持ちよく敗戦を認めます」
◆東福岡 CTB廣瀬雄也キャプテン
「今日も(昨年度主将)福井翔さんにリベンジしてくれとメッセージをもらったり、いろんな先輩の声もらったりしたが、負けて悔しい。4月にケガしてリハビリで7ヶ月プレーできなかったが(共同キャプテンのFL永嶋)仁には助けてもらった。プレーで返そうと思ったができなかったが、仁には感謝したい」
文/写真:斉藤健仁
全国高校ラグビー大会 準決勝
【ハイライト】桐蔭学園(神奈川) vs. 東福岡(福岡)
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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