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写真:高校3冠を目指す桐蔭学園
12月27日(金)に東大阪市花園ラグビー場で始まる「花園」こと、全国高校ラグビー大会。
優勝候補の1つが、史上3校目の「高校3冠」を狙う、日本代表WTB(ウィング)松島幸太朗(サントリー)の母校でも知られる東のAシード校・桐蔭学園(神奈川)だ。
その桐蔭学園のFW(フォワード)とBK(バックス)の中核を担うのが、1年生から活躍してきた主将SO(スタンドオフ)伊藤大佑(3年)と、今夏、U17日本代表の主将も務めたNO8(ナンバーエイト)佐藤健次(2年)の2人だ。
伊藤と佐藤の2人に、初の単独優勝を狙うチームの現状、そして直前に迫った花園にかける思いを聞いた。
◆SO伊藤大佑
―― 選抜大会は3連覇、サニックスワールドユースで3位、関東大会は優勝、7人制ラグビーの「アシックスカップ」で優勝しました。花園では「3冠」がかかっています。
FWとBKのバランスが取れていますし、人もいる。ディフェンスでもアタックでも何でもできるチームになってきた。
ただ、選抜大会やアシックスカップと花園は別の大会です。全然違う、一番厳しいということはわかっているので、1つ1つ、どの相手でも圧倒して最終的に5回勝てば優勝できる。
完璧なディフェンスはないと思うので、毎試合5本トライを取れれば勝てると思うので、すべての試合で5本を意識したい。最終的に優勝して結果的に「3冠」になればいいなと思います。
―― キャプテンとして、チームを作り上げる上で苦労などはありましたか?
1~3月はキャッチ&パスからやりましたが、練習面からきつかったです。夏合宿は5試合しましたが(東海大)仰星に負けてしまった。リーダーシップが少ないとか、セットプレーが弱いとか課題が出た。
まだまだなので(12月に)大学生と試合して、総仕上げして花園に臨みたい。キャプテンとして、絶対甘さを出さないように、ミスを少なくするように厳しくしてやっています。
昨年度のチームと変えたのはミーティングの仕方です。ミーティングでは相手を分析することはしますが、相手にフォーカスするのではなく 自分たちにフォーカスするようにしています。
今年度のチームは自分たちのチームが何をするのか、決めてから試合しようとやっています。
―― Aシードの京都成章(京都)、御所実業(奈良)、Bシードの大阪桐蔭(大阪第1)など、西のチームは強敵揃いです。特に昨年度の花園決勝で敗れた大阪桐蔭に対する意識は?
五分五分では勝てない。会場の雰囲気もアウェーだし、7:3、6:4に持っていかないとなかなか勝てないと思います。
開会式のときには優勝することが決まっているというような準備がしたい。大阪桐蔭は強いと思うし、対策はしないといけないですが、特に意識はしていません。桐蔭学園としてしっかりやれば勝てると思っています。
―― 花園ではどういったラグビーがしたいですか?
やっぱり、継続ラグビーしながら、どこからアタックを仕掛けるか。ラインアウトからもプレッシャーをかけられますし、ポゼッション取れるところと、セオリー通りキックするところをSOとして判断していきたい。
―― 今シーズンのスローガンは「一心」とお聞きしました。
練習、試合でも1つ1つ心を込めてプレーする、一心不乱に自分たちにフォーカスする、心を1つにして最後まで戦うという意味が込められています。練習も試合も「一心」にやれば必ず単独優勝できると思います。
◆NO8佐藤健次
―― 2年生になり、すっかりチームの主力となり、神奈川予選決勝でも活躍しました。アタックは好調ですね。
アタックは空いたスペースに走り込む、ディフェンスでは前に出て激しく止めることを目標としてやっています。
試合前にこういう形でアタックするということはないです。その場で、空いている人がボールを呼んでスペースに運ぶラグビーをやっている。自分のやりたいところでプレーできているので、楽しくプレーさせてもらっています。
―― ディフェンス面も徐々に向上しているようですね。
昨年度から自分の持ち味はアタックで、昨年度の花園ではアタックだけやっておけばいいという感じでした。だけど2年になって、今年1年間はディフェンスもやってきたつもりです。
U17日本代表などで(ディフェンスの)前に出る動きだをやって、格段に速くなっている自信もあります。
タックル練習も昨年度は「あ~、今日ディフェンスか」と思っていましたが、今年度は「やった、タックル練習だ!」と思うようになりました。1試合に前に出て相手をひっくり返すタックルを1本、2本したい。
タックルのスキルはワールドカップに出場していたイングランド代表の両FL(フランカー)のプレーを何度も見直しました。
ニュージーランド代表との準決勝を見ています。特にサム・アンダーヒルが足をどこに置いて、どうパックしているか細かいところを見直しています。
―― 1年生で出場した昨年度の花園を振り返ると……
昨年度の花園の決勝で大阪桐蔭に負けて、自分のフィジカルの弱さが見えてきた。筋肉を大きくしているので花園前に絞ります。ベンチプレスも10kgほど増えて115kgくらいを上げられるようになりました。
―― やはり、大阪桐蔭のキャプテンFL(フランカー)奥井章仁選手はライバル視していますか?
昨年度、大阪桐蔭の奥井(章仁)さんに、1対1で負けてから意識するようになりました。大阪府予選決勝の試合をテスト期間でしたが、ずっと見ていました(苦笑)。
負けず嫌いなので、奥井さんに負けたままで終わるのは悔しいです。もし、大阪桐蔭さんと対戦したら、奥井さんのことを抜いたり止めたり、激しくプレーできたらいいなと思います。
サニックスワールドユースでチームとしては勝ちましたが、トイメンの奥井さんにゲインされてトライされた。前に出る迫力、インパクト、圧力ある。そういった選手に負けたくない。
花園で負けた借りは花園でしか返せない。花園で対戦して勝つのがベストです。
―― FWの1人としてセットプレーに関してはどうですか?
昨年度は大阪桐蔭に負けたのはセットプレーが大きかった。スクラムのファーストヒットや細かいところをやっていて、チーム内でコミュニケーションする機会が増えて自分たちの組み方が見えてきました。
―― ワールドカップで活躍した日本代表に刺激を受けましたか?
日本代表の試合を見て、自分たちも(アタックもディフェンスも)セットを速く、リロードしようと話しています。リロードを意識することでいいアタックができるようになりました。
ワールドカップに出たいとは思っていましたが、あまり意識していなかった。だけど、今回のワールドカップで20歳、21歳といった選手がワールドカップに出ているのを見て、より意識するようになりましたし、出てみたいと強く思うようになりました。
―― 2度目の花園に向けて意気込みをお願いします。
練習のときにできるだけ、チームに声をかけたり、自分から声を出したりしています。昨年度より主体的に練習に取り組めるようになったと思います。
まだ細かいズレやミスがあり、チームとして1つになりきれていない部分ありますが、そこを詰めていって、花園では勝てるチームになっていたいと思います。
*****
松島選手たちの代でも成し遂げることができなかった花園単独優勝。SO伊藤、NO8佐藤の2人が期待通りの活躍をすれば、きっと桐蔭学園の歴史を塗りかえることができるはずだ。
文/写真:斉藤健仁
全国高校ラグビー大会
~花園ナビ~ 桐蔭学園
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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