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いよいよ12月27日から始まる「花園」こと、全国高校ラグビー大会。今大会の注目選手を紹介していきたい。
まず、今大会には別格の3人がいる。かつての日本代表WTB(ウィング)松島幸太朗(桐蔭学園出身)のように高校2年ながら、昨年度の高校日本代表に選ばれたメンバーだ。
写真:左:奥井、右:江良(大阪桐蔭)
昨年度の花園で初優勝し、今大会も優勝候補の一角・大阪桐蔭(大阪第1)の主将FL(フランカー)奥井章仁、PR(プロップ)江良颯(ともに3年)の2人と、ノーシードの注目校・報徳学園(兵庫)の主将FB(フルバック)山田響(3年)だ。
奥井と江良はそれぞれ、178cm、171cmと身長こそ大きくないが、突破力に優れた選手で決定力もある。この2人がゴール前で飛び込んだり、ねじ込んだりとトライを挙げるシーンを多く見ることになりそうだ。
写真:
山田は昨年度、高校日本代表だけでなく、高校2年生で唯一ユース五輪代表に選ばれ、銅メダル獲得に貢献した。鋭いステップとスピードでカウンター能力に長けた選手だ。報徳学園が上位に進出するためには山田のランが欠かせない。
写真:桐蔭学園のNO8佐藤 タックルで成長した姿を見せたい
もう1人、注目を集めるのは昨年度は1年生ながら桐蔭学園(神奈川県)のNO8(ナンバーエイト)として準優勝に貢献し、存在感を見せた佐藤健次(2年)だ。8月にはU17日本代表主将も務めた。
「昨年度の決勝の大阪桐蔭戦でフィジカルの重要性がわかった。タックルに力を入れてきた」という佐藤は大阪桐蔭の奥井との再戦を心待ちにしている。
写真:左:ウォーナー(流経大柏)、右:ブル(大分東明)
また、今大会は例年よりも190cm近くやそれを超えるような「ビッグマン」が多い大会だ。
昨年度初めてベスト4に入った流経大柏(千葉)には、ニュージーランド出身で身長2mのLO(ロック)ディアンズ・ウォーナー、初出場の大分東明(大分)にはフィジー出身のNO8セコナイヤ・ブル(ともに2年)がいる。
写真:京都成章のFWの要の1人、LO山本
そして、Aシードの京都成章(京都)にはLO山本嶺二郎、岡大翔(ともに3年)、本橋拓馬(2年)と3人が身長190cmを超えている。
さらに大阪桐蔭には196cmのLO新屋快(3年)、長崎北陽台(長崎)には身長190cmのLO亀井茜風(3年)、桐蔭学園には189cmのLO安達航洋(3年)がいる。強豪チームの長身ロックが勝敗の鍵を握る存在とるかもしれない。
また、ワールドカップで日本代表SH(スクラムハーフ)田中史朗、流大が活躍したように、高校生レベルのスクラムハーフも上手い、速い選手が並ぶ。
御所実業のSH稲葉聖馬(3年)、東海大仰星の主将SH松井翔(3年)、京都成章のSH宮尾昌典(2年)は優勝候補チームのキーマンだ。
兄・元気がサントリーでプレーする茗渓学園(茨城)のSH大越勇気、城東(徳島)SH遠藤岳歩、高鍋(宮崎)のSH白栄拓也(いずれも3年)はチームを引っ張る。
報徳学園のSH金築達也(3年)はSHで唯一180cm台の選手で、強さを武器としたSHとして成長してほしい。
この他、各ポジションの注目選手をあげていくと、左PR東福岡(福岡)の川崎太雅、東海大仰星の高橋凜、桐蔭学園の床田淳貴(いずれも3年)が有望株。
右PRは東福岡の小西優治、御所実業の島田彪雅、常翔学園(大阪第2)の為房慶次朗、京都成章の西野拓真、国学院栃木(栃木)の藤倉大介(いずれも3年)と大柄な選手が並ぶ。将来、日本代表のスクラムを担うような選手が現れてほしい。
フッカーは機動力、ボールキャリアーに長けた選手が並ぶ。東海大仰星の安部薫平、桐蔭学園の平石颯、バックローとしてもプレーする本郷(東京第2)の福沢慎太郎(いずれも3年)らがいる。
FL(フランカー)、NO8(ナンバーエイト)のバックローには「リーチ2世」の札幌山の手(北海道)ヴァア・タモエフォラウ、京都成章の村田陣悟(ともに3年)らがあげられる。
写真:桐蔭学園を引っ張るSO伊藤
BKでは、SO(スタンドオフ)は史上3校目の「高校3冠」を狙う桐蔭学園を引っ張る司令塔・伊藤大祐、国学院栃木の伊藤耕太郎、大阪桐蔭の嘉納一千、東海大大阪仰星の谷口宜顕(いずれも3年)がチームの浮沈の鍵を握る。
CTB(センター)は日本航空石川のテビタ・ポレオ、長崎北陽台の岡崎颯馬、御所事業の谷中廉、東海大仰星の何松健太郎、東福岡の広瀬雄也(いずれも3年)が突破力やスキルに長けている。
WTB(ウィング)、FB(フルバック)はWTBで志氣陸王、高本とむ(ともに3年)の東福岡の2人、桐蔭学園の西川賢哉(3年)、御所実業の安田昴平、東福岡の坂本公平(ともに2年)らスピード自慢の選手が並ぶ。
FBには大阪桐蔭の芦塚仁、御所実業の石岡玲英、長崎北陽台の山口泰輝、高知中央(高知)のマナセ・ハビリ(いずれも3年)らはカウンター能力が高い。
FLリーチ マイケル(札幌山の手出身)を筆頭に、PR稲垣啓太(新潟工業出身)、NO8姫野和樹(中部大春日丘出身)、SO田村優(国学院栃木出身)、WTB松島幸太朗などラグビーワールドカップで活躍した日本代表の多くが花園で育った。
「花園から世界へ」という大会スローガンの通り、近い将来、桜のジャージーを着て世界と戦うポテンシャルを持った選手を探しながら見れば、もっと花園が楽しくなるはずだ。
文/写真:斉藤健仁
全国高校ラグビー大会
~花園ナビ~ 桐蔭学園
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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