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ラグビー コラム 2019年12月18日

京都産業大学、去りゆく名将・大西健監督のラストゲーム。ラグビー全国大学選手権

ラグビーレポート by 京産大アスレチック
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写真:円陣で選手たちを称える大西監督

「ありがとう、感謝している。悔いはない―」。

80分の激闘を終え、円陣で涙を流す選手たちに、熊谷の夕陽に照らされた大西監督はこう声をかけた。鳴り止まない拍手に深々と頭を下げると「先生を胴上げさせてください」と伊藤鐘平主将が中央へ呼び寄せた。

伊藤、ファカイ、ジェイミー、ラウシらに支えられ、2度宙を舞った。47年間の監督人生、「ひたむきに」追い続けた日本一の夢は次なる世代に託された。

大西監督の姿を1日でも長く、と願う赤紺ファンたちがスタンドに駆け付けた。試合前、メンバーの発表後、大西監督がコールされると会場は拍手に包まれた。

今まで多くの試合で先発してきたSO(スタンドオフ)家村健太(1年・流経大柏)を控えに回し、ともに最終学年のSO山内凌雅(4年・関大北陽とFB(フルバック)栢本光(4年・天理)を起用する布陣。

「最後にスタメンに抜てきしてもらったので、なんとかして先生に恩返しがしたかった」と山内は振り返る。

キックオフ早々に日本大学のディフェンスを崩し、そのまま外に展開。前半1分でWTB(ウィング)堀田礼恩(2年・京都成章)が右隅に飛び込みトライで先制するも、10分、18分に日大にトライを許し7点のビハインド。

写真:トライ後、スタンドの声援に応える伊藤主将

前半25分に山内の好チャージ。こぼれ球を伊藤鐘平(4年・札幌山の手)が拾い、相手ディフェンスを跳ね除けてインゴールまで走りきった。山内の40mのコンバージョンも成功し、12-12の同点となり、スタンドがわっと湧いた。

しかし、直後にトライを許し再び点差を付けられ、12-17で試合を折り返す。吹き荒れた風が止んだが、後半はこう着状態が続いた。

両チーム1本ずつトライを取り合って最後の20分に突入。伊藤主将が「FW(フォワード)戦では通用したが、その後要所でミスをしてしまった」と語るように最後まで攻め切れず、19-24でノーサイド。

「伊藤組」の日本一への挑戦にピリオドが打たれた。

赤紺を着て活躍する兄・伊藤鐘史の姿に憧れ、京産大に入学した伊藤鐘平。小さい頃から慕ってきた大西監督は彼らが入学したとき、4年後の勇退を決意していた。学年全員の前で言った「一緒に卒業するぞ―」。

「先生が最後の年、自分も最後の年にキャプテンになれてよかった。でも、いい結果で終わりたかった」と悔しさをにじませた伊藤だったが、「日本一を目指して最大限の努力をしてきたという面では悔いはない」と前を向いた。

初の留学生として京産大の門をくぐったフェインガ・ファカイ(4年・日本航空石川)には「長男」として手をかけてきた。栄養合宿の帰りにはタロイモを土産に持たせ、時間割を組むなど大学生活の面でもサポートしてきた。

入学時に知った「先生と一緒に卒業」の言葉は彼の心にも深く刻まれていた。日本の親のような存在でもある大西先生との最後の試合を終え、声を上げて泣いた。

ファカイと同じく日本航空石川から入学した寺脇駿(4年)は「ひたむきさ」の象徴でもある。高校時代は補欠だった寺脇だったが、日本一の練習量を誇る京産大で鍛え上げられ、3年時から花開いた。

「高校時代は自信も強みもなかった。京産大に来ていなかったら、大西先生がいなかったら、今の自分はなかった」と感謝を口にした。

47年間の監督人生を終え、グラウンドをあとにした大西監督。

「いついかなる場合でも大学チャンピオンシップを目指す集団」であり、「いついかなる場合でも学生らしくひたむきに」戦い続ける大西イズムは継承され、新たな歴史を作り出す。

文:岩田悠吾、山内美優/写真:山内美優(京産大アスレチック)

ラグビー全国大学選手権 3回戦

【ハイライト】日本大学 vs. 京都産業大学

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