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ラグビー コラム 2019年11月23日

筑波大学、大学選手権出場をかけた大一番に挑む。ラグビー関東大学対抗戦

ラグビーレポート by 筑波大学新聞
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「あと一歩届かない」チームから「勝ち切る」チームへ。

ワールドカップ中の中断期間を経て、再開した関東大学対抗戦。筑波大学は後半戦の初戦、帝京大学に22-24で惜敗した。

主将のSH(スクラムハーフ)杉山優平(4年・大阪桐蔭)は言う。「全国大学選手権で勝つためには、緊迫した状況で勝ち切るチームにならないといけない」。目標はあくまで「日本一」だからだ。

気持ちを新たにして臨んだ筑波。帝京戦後の2試合は、いずれも緊張感のある試合となった。

10日の成蹊大学戦はケガ人続出で、スタメンを大幅に変更。帝京戦からスタメンを7人入れ替え、1年生2人を含む5人が対抗戦初スタメンを飾った。立ち上がりこそ不安定だったものの、徐々にトライを重ね、87-19で快勝した。

嶋崎達也監督(体育系・助教)は「メンバーが変わったり、新たなポジションでやるメンバーもいた。それでも、集中を切らさなかった姿勢はポジティブに評価したい」と語った。

筑波は今年の対抗戦で先制した試合がない。成蹊戦でも、メンバーが変わった緊張からプレーが硬く、前半10分にラインアウトモールで簡単に押され、先制トライを許した。

FL(フランカー)土谷深浩(4年・福岡)は「一番の反省。試合の入りから力が出せるように浮き足立つことがないようにしたい」と話す。

だが、「先制されて、みんなのスイッチが入った」(土谷)。グラウンドを広く使った素早い攻撃で、前半は5連続トライを奪うと、後半も8トライを挙げ、引き離した。

試合を見た杉山は「メンバーが代わり、当然ミスが出ることがわかっていた中で、コミュニケーションを取って修正していけたことはチームとして収穫だった」と話す。

杉山に代わりゲームキャプテンを務めた土谷は「もう負けられないという一戦一戦の重みをみんなが理解して戦えている」と語った。

写真:日体戦でも期待がかかるルーキー植村

続く17日にはジュニア選手権で流通経済大学と対戦。カテゴリー2で戦う筑波にとって、勝てばカテゴリー1昇格の入れ替え戦に臨める大事な一戦だ。

副主将のCTB(センター)石川千暁(4年・洛北)は「日本一を目指すチームがカテゴリー2にいてはいけない。そして、Cチームで戦う4年生のためにも絶対に勝たないといけない」と部員に訴えた。

試合予定のなかったCチームが入れ替え戦の相手と試合を組むことができるからだ。それでも、「プレッシャーをかけたいわけではなかった」と微笑む石川は下級生のフォローも忘れなかった。

石川を中心に「4年生がカバーするから、どんどんチャレンジして欲しい」と声をかけ、下級生もそれに応えた。

WTB(ウイング)植村陽彦(茗溪学園)とSO松島聡(大分舞鶴)、2人の1年生が最初の2トライを挙げる活躍を見せた。「プレッシャーはあったが、下級生でもチャレンジできる雰囲気を作ってくれた」と植村。

後半36分、WTB山本悠翔(3年・刀根山)の独走で同点に追いつくと、FL鳥越賢太郎(3年・福岡)のタックルでボールを奪い、最後はピック&ゴーでロスタイムに勝ち越しトライ。

28-21で逆転勝利を収めた。石川は「ジュニアでも勝ち切るチームになる目標を少しは体現できた」と語った。

2試合を通して更なる結束を強めた筑波。次戦の相手は日本体育大学だ。どちらも慶應義塾大学に勝利して昨年の上位校との戦いを終え、2勝3敗で並んでいる。選手権進出のための残り1枠をかけた、負けられない戦いとなる。

日体は留学生選手を起点とした多彩なアッタクに強みを持つ。土谷は「勢いづかせたら脅威になる。そこで焦れば自滅することになる」と警戒。

特に注意したい選手は、U20日本代表のNO8(ナンバーエイト)ハラトア・ヴァイレア(2年・日体大柏)に加え、クリスチャン・ラウイ(2年・日体大柏)と主将石田大河(4年・九州学院)の両CTBは高い突破力がある。

それでも、嶋崎監督は特別な警戒はしないという。「注意を向ければ、他に隙ができる。だから、1人がはじかれてもすぐ2人目がカバーにいくような、泥臭いディフェンスをしたい」と話す。

写真:センターでも持ち味を発揮する山田

一方、筑波は主力の野中亮志(4年・東海大仰星)と岡崎航大(3年・長崎北陽台)の両CTBをけがで欠いている。成蹊戦ではSO(スタンドオフ)の山田雅也(3年・桐蔭学園)とWTBの嶋田修(3年・大分上野丘)が代わりに抜擢された。

山田がCTBに回ったことで、WTB島田悠平(4年・國學院久我山)が対抗戦では1年ぶりにSOに復帰。島田と山田の配置はイングランドの「ダブル司令塔」を彷彿とさせる。

島田はランでボールを運ぶのが持ち味。そのため、「WTBの時とやることは大きく変わらない」と言う。

一方、山田は「自分の強みは広く見て、ボールを動かすこと。(SOよりも引いた位置にいる)CTBの場所を活かして、より外側の声を聞きながら、島田さんとゲームメイクしたい」と話す。

もう1人のCTB、嶋田を嶋崎監督は「派手さはないが、堅実でプレーが安定している」と評価。日体戦のキープレーヤーとなる両CTBの攻守の働きに注目したい。

山田は「絶対勝たなければいけないのは相手も同じ。それでも勝つことに意識を向け過ぎるとプレーが硬くなる。だから自分たちがやってきたことを100%出すだけ」と意気込む。

大学選手権出場を懸けた大一番が始まる。

文/写真:明石尚之(筑波大学新聞)

【関東大学対抗戦 試合日程】

◆11月23日(土・祝)
・午後02:00 早稲田大学 vs. 慶應義塾大学 秩父宮

◆11月24日(日)
・午前11:30 成蹊大学 vs. 青山学院大学 前橋敷島
・午後02:00 明治大学 vs. 帝京大学 秩父宮
・午後02:00 日本体育大学 vs. 筑波大学 前橋敷島

◆11月30日(土)
・午前11:30 帝京大学 vs. 慶應義塾大学 秩父宮
・午前11:30 日本体育大学 vs. 成蹊大学 江戸川陸上
・午後02:00 筑波大学 vs. 青山学院大学 江戸川陸上

◆12月1日(日)
・午後02:00 明治大学 vs. 早稲田大学 秩父宮

ラグビー関東大学対抗戦2019

【ハイライト】帝京大学 vs. 筑波大学

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