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ラグビー コラム 2019年11月9日

帝京大学を追い詰めた筑波大学、大学選手権出場へ向けリスタート。ラグビー関東大学対抗戦

ラグビーレポート by 筑波大学新聞
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「4年間で1度も(帝京大学に)勝てなかった…」。1年時からスタメンで帝京大学と戦ったFL(フランカー)土谷深浩(4年・福岡)は振り返る。22-24。あと一歩及ばなかった。

最後の約20分間はまさに「死闘」。後半30分過ぎからゴール前での局地戦が始まった。

22-17と1トライ1ゴールで逆転される展開。すでにPR(プロップ)の鎌田慎平(4年・東福岡)と木原優作(1年・東福岡)の足はつっていた。

それでも、嶋崎達也監督(体育系・助教)は「2人はスクラムも強い。局地戦だけなら戦える」と2人を信じた。

WTB(ウィング)仁熊秀斗(3年・石見智翠館)が、FW(フォワード)の選手一人ひとりに声をかければ、WTB島田悠平(4年・國學院久我山)も「ここだぞ。筑波!」と鼓舞した。

ピック&ゴーで攻め続ける帝京に対し、FW陣は粘り強く耐えた。ロスタイムは4分。帝京は満を持して、主将・本郷泰司(4年・京都成章)を投入。最後はその本郷の判断が光った。

本郷は「FWでトライを取れると思っていた」一方で、スクラムの位置が下がったこともあり、「BK(バックス)もサインプレーを用意していた」という。

最後の最後でBKに回し、WTB木村朋也(3年・伏見工業)がトライ。時計の針は50分を越えていた。SO北村将大(3年・御所実業)のコンバージョンキックが決まり、ノーサイド。

筑波大学は目前まで迫った勝利がスルリと手から滑り落ちた。試合後、嶋崎監督は「最後の一歩。乗り越えなければいけばいけないところを乗り越えられなかった。残念です」と話した。

先制トライは帝京。ラックから一瞬の隙を突かれた。ライン際の狭いスペースをSH(スクラムハーフ)土永雷(3年・光泉)とWTB尾崎泰雅(3年・伏見工業)の2人で崩された。

自陣での攻防は続いたが、FW勝負では負けてなかった。15分、相手のラインアウトでボールを奪取すると、一気に大外に展開。

島田のビックゲインから最後は主将のSH杉山優平(4年・大阪桐蔭)が走り切り、7-5と逆転。「準備してきたことができたトライだった」(杉山)と振り返る。

21分には敵陣でフェーズを重ね、最後はFB(フルバック)松永貫汰(2年・大阪産業大附)が飛び込み、筑波が連続トライ。

写真:幾度となくラインブレイクを見せた岡崎

だが36分、自陣のゴール前でまさかのターンオーバーを許すと、簡単にトライを奪われ、12-12の同点で前半を折り返した。

それでも、後半はリードを最大10点まで広げた。7分に島田のペナルティゴールが決まると、12分には松永のゲインを皮切りに、自陣から仁熊、杉山、松永の3人で一気に駆け上がった。最後は杉山が2本目のトライを決め、22-12。

このまま逃げ切りたい筑波だったが、相手の速いテンポに切り替えた攻撃に対応できず、5点差まで迫られた。

途中出場のHO(フッカー)吉田隼人(4年・長崎北陽台)は「追いかけられるのが怖かった。初めての経験だった」と振り返る。

「筑波はこれまで僅差での戦いをしてこなかった」(杉山)。最後の約20分間の攻防の差はここに出た。緊迫した中で勝ち切る力が深紅の常勝軍団にはあった。

ロスタイムで逆転負けを喫した筑波だが、島田は「FWは本当に頑張ってくれた。」と仲間を称えた。一方、「勝てる土俵を作ってくれたからこそBKで決めきれなかったことの責任は大きい」と悔やんだ。

だが、BKも1ヶ月半の取り組みの成果は見せた。外のランナーを活かしたアタックやCTB(センター)岡崎航大(3年・長崎北陽台)のラインブレイクで、確実にトライを決めた。

「帝京相手に自分からギャップを突けたことは自信になった」(岡崎)。嶋崎監督は「全員が同じイメージを持って、準備してきたことを発揮してくれた分、悔しい気持ちが大きい」と話した。

ワールドカップ開催期間の約1ヶ月半、帝京戦に向け、相当の準備をしてきた。嶋崎監督は「(帝京は)基本的にFWを使いながら、いい状態でBKに回す戦い方をしてくる」と分析。

この攻撃を止める要望にFW陣は応えた。「準備してきたことは最大限出せた」(鎌田)とゲインを許さない粘りのディフェンスで、相手BKにボールを回させなかった。

前半30分にはゴール前のピンチも、相手の反則を誘い、粘り勝ちした。更に、相手のラインアウトでボール奪取を何度も決め、嶋崎監督も「FWは100点に近い活躍だった」と評価。

一方、アンストラクチャーでのディフェンスは精彩を欠いた。「(帝京の)バックスリーは1番の脅威。わかっていたが、対応しきれなかった」(嶋崎先生)。

簡単にバックスリーに渡らないよう、キックを極力避けたが、いざボールを持たれると幾度となくゲインを許した。岡崎は「予想以上の強さ。組織で対応できなかった」と話した。

更に、キックを使わず攻撃を展開すると、自陣でのプレーを余儀なくされた。嶋崎監督は「BKで自陣を脱するプレーを確認しきれなかった」と反省を口にした。

これで筑波は1勝3敗で、昨年の上位校との戦いを終えた。全国大学選手権に出場するためには、残りの3戦負けは許されない。

次戦の相手は成蹊大学。昨年101-0で勝利しているだけに、危なげない試合を期待したい。だが、筑波にとっての痛手はけが人の多さだ。

帝京戦では好調の岡崎とLO(ロック)石松大空(4年・明善)が負傷交代。BKを支えたCTB野中亮志(4年・東海大仰星)の離脱もあり、CTBの不足は否めない。

残す3戦の懸念材料となりそうだ。嶋崎監督は「全員がレベルを上げて、層を厚くしていかなければいけない。課題はまだまだある」と語った。

筑波にとっては一戦一戦、気の抜けない戦いになる。他大学に緊張感を与えられるような筑波の奮闘に期待したい。

文:明石尚之/写真:明石、飯田健介(筑波大学新聞)

◆11月10日(日)関東大学対抗戦 試合日程
・11:30 慶應義塾大学 vs. 明治大学 秩父宮
・11:30 日本体育大学 vs. 青山学院大学 熊谷B
・14:00 早稲田大学 vs. 帝京大学 秩父宮
・14:00 筑波大学 vs. 成蹊大学 熊谷B

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筑波大学やつくば市内のニューズを扱う、筑波大学公認の新聞。発行は年7回で発行部数は2万部以上。取材や原稿執筆、紙面の作成などは学生中心で行う。»Twitter »Facebook

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