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写真:左から齊野、森田、宮下、萱沼
選手達がフィールドで熱い戦いを繰り広げる陰には、それを支える多くの裏方達の存在がなければ成り立たなない。立命館大学ラグビー部の学生スタッフは大きく分けて4つの部署に分かれる。
今回はそれぞれの部署を代表して、マネージャーの森田彩香(済4・関西大倉)、トレーナーの宮下愛有未(スポ4・立命館守山)、ストレングスの萱沼星志郎(スポ4・富士学苑)、アナライザーの齊野翔(スポ4・県立岐阜)がインタビューに応じてくれた。
◆様々な業務をこなすマネージャー
スケジュール管理やグッズ制作などのチーム運営を行うマネージャー。森田はその他にも年間の経費などを考える会計も務めており、仕事は多岐に渡る。
中学はバレー部、高校は吹奏楽部と、ラグビーとは無縁の団体に所属。「大学受験で失敗し、卑屈になっていた自分に、当時の高校の恩師が『置かれた場所で花咲かせなさい』と熱い言葉を頂き、下を向いてはいけないと感じました」と森田。
恩師の言葉を胸に、当時立命の印象として抱いていた体育会に入部することを決意。その中でも父親や友人がラグビー経験者という点から、ラグビーは馴染みのあるスポーツ。
「(ラグビーは)自分が主体的に行動でき、自分の意見を取り入れてもらえる環境があると思いました」と当時の心境を振り返った。入部当時は慣れない日々が続くも、今では上階生として職務を全うする森田。
「100人を超える部員をまとめる事は大変でしたが、作業の多いマネージャーだからこそ、いかに自分が貪欲にもっとこうしたいという思いが大切かを実感しました」。
「熱くラグビーについて語り合える仲間に出会えたことに感謝しています」。ラグビー部で身につけた向上心が、森田の将来を支えてくれるに違いない。
写真:選手の治療を行うトレーナーの宮下
◆身体だけでなく精神面のケアも重要なトレーナー
トレーナーの宮下も高校時代、ラグビーとは無縁のハンドボール部に所属。「(当時のマネージャーは)とても用意周到で気配りのできる存在でした」。
「選手側の自分が近くで見てきたからこそ、その経験を他の人達へ伝えたい思いがありました」と当時のマネージャーへの感謝を表すとともに学生スタッフの道へ。
ラグビー部へ入部するきっかけは2015年のラグビーワールドカップ。日本代表が強豪・南アフリカに勝利し、全国民が湧いたゲームに宮下もかなり感銘を受けたという。
トレーナーの職務としてケガをした選手への対応はもちろんのことだが、宮下はそれ以上に「ケガをした選手はどうしても焦る気持ちに陥る。その中で自分が選手の気持ちを汲み取り、意思疎通を図ることにとても苦労しました」と裏方としての苦悩を明かした。
その中でも「選手がピッチに立ってベストパフォーマンスを発揮してもらえるよう、楽しいことだけでなく、厳しいことも選手には伝えるようにしています」と宮下はトレーナーとしての責任感を強く持つ。
4年生である宮下は今年がラストイヤーの年。「残り少ない期間の中でも、自分が4年間で得たことをしっかり下の代に伝えていきたいです」と、後輩達へエールを送った。
◆トレーニングをサポートするストレングス
選手のケガを防止するのに欠かせないのがストレングスの存在だ。トレーニングの観察や、ストレングス同士で相談し当日のメニューを決める。
立命館に入学した当初、萱沼はBKC(びわこ・くさつキャンパス)に設置する学生トレーナー団体「RAM」に所属し、ラグビー部へ配属。
「RAMで選手とコミュニケーションをとる中で信頼関係を築けるようになりました。彼らのサポートを最後までして、ともに卒業したい気持ちが強くなりました」。
元々は、トレーニングを計画し、観察する方に興味があった萱沼。入部後はストレングスの道へ進んだ。
選手の朝ウエイトのため、早朝から準備を行うなどハードスケジュールに初めは苦労したと振り返るも、萱沼は「自分がトレーニングやリハビリを指導した選手が、ピッチに立ち活躍している姿を見ると嬉しいです」と、選手の活躍が仕事への原動力と語る。
今後は大学院へ進む萱沼。「4年間携わって、臨機応変な対応の重要性を学びました。選手からの要望にどう応えれば、納得してもらえるか」。
「ここで得たことは、次のステージにおいても必要不可欠な事なので活かしていきたいです」とラグビー部で過ごした4年間に感謝の意を表した。
写真:分析を行うアナライザーの齊野
◆情報戦の鍵を握るアナライザー
アナライザーは主に自チームの分析を行い選手に伝える事や対戦相手のストロングポイントや弱点を研究するといった仕事を行う。
齊野は元々選手としてラグビー部へ入部。しかし、度重なるケガに悩まされ、中・高ラグビーを経験していた知識を活かし、裏方の道へ進む。練習では自らもフィールドに立ち、選手へ的確なアドバイスを送る。
練習後は残ってアナライザーの仕事。長い時は23時まで及ぶこともあるという。齊野は「選手が頭の中で整理しやすいよう、自分が仕入れた情報を取捨選択して伝えるように心掛けています」と語る。
選手としてプレーしたいという思いはあったものの、今では裏方としてラグビー部に関わることに誇りを持つ齊野。
「挫折を味わい、しんどいと思うことはたくさんありました。しかし、卒業された先輩を含め、数多くの人達と関われたことは普通の大学生活を送っていったら経験できないことだと思います」。
そして、「チームが勝利したときはラグビー部に所属して良かったと一番思える瞬間です」とラグビー部での4年間を振り返った。
ラグビーワールドカップが終わり、Aリーグも後半戦がスタートした。愛する選手たちが最善のコンディションでゲームに臨めるよう、今日も学生スタッフたちはサポートに徹している。
文/写真:福清真人(立命スポーツ編集局)
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